平成14年 予算特別委員会
ネット 大西由紀子
〔1〕 私は、これからの時代の都市再生で大事なことは、東京都といえども、人口が減少する社会に向かう中で、ゆとりのある、そして水辺や緑を大切にする、自然環境を生かした都市の空間を形成していくことだと考えております。
しかし、現実には、住宅地にいきなり高層マンションが建設され、景観が破壊されたり、都心には高層ビルが林立し、それから電波障害が広域的に広がっている状況があるわけです。また、電車や道路のラッシュも改善されないなど、東京都の都市計画は機能しているのかという不信感が強まっています。
こうした中で、現在、国会で都市再生特別措置法案が審議されています。きょうは、その中でも、今回の法改正で問題になろうと考えられる総合設計について伺いたいと思います。
この改正が行われれば、周囲の市街地の環境に特段メリットがあるかないかはともかく、公開空地を名目的につければ、建築確認だけで容積率を緩和することができます。
今、建築確認は民間でもできるわけで、自治体が知らないということがあり得るのではないかというところが不安なんですが、その辺はいかがでしょうか。
〔2〕 こうした緩和によって、今でさえ建築紛争が多いわけですが、ますますマンションの紛争や建築紛争などが激化するのではないかと危惧いたします。
他の法改正事項でも、基礎自治体の定める基本構想あるいは都市マスタープランとの整合性はどう担保されるのか、心配であります。都としての対応を検討すべきではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
〔3〕 総合設計開発が進みそうな地区では、早目に市区町村が地元住民の参加を求めて、そういう合意形成をしていくための総合設計誘導地区ガイドラインというようなものを策定するのが、余計な紛争を回避するので、非常に効果的だと思っております。このようなことに取り組むことによって、このガイドラインがちゃんと機能すれば、民間事業者にとっても良質な開発を保証する道具となるはずです。
ぜひそういう市区町村の取り組みを--やはり広域の行政を担当する都として、単に国に任せる、民間に任せるとほうり投げるだけじゃなく、そういうものを主導的にとっていただきたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
〔4〕 都市再生特別措置法では、都市再生をスピード感を持って進めることが極めて重要な課題という認識のもと、アセス手続の簡素効率化、さらに手続期間の短縮化がいわれています。そのことによって、評価内容の低下や都民意見の反映が損なわれてはならないと考えますが、いかがでしょうか。
〔5〕 先日問題になっておりました秋葉原ITセンターのように、たった十センチでアセスの対象から逃れるという事態も起きてきます。一メーターじゃありません、十センチです。これは普通の感覚からいっても理解に苦しみますし、局長の答弁を聞いているときも、非常に理解に苦しみました。
そこで、スピードアップをするにはそれなりの手法が大事です。そしてさらに、悪質なアセス逃れを防ぐため、また余計な紛争を回避するための手法として、やはり、その対象にするかどうかを住民が必要と考えるときには検討するというような規定を設けるとか、さらにスクリーニングとかスコーピングの手法、こういうことをすることによって、かなりスピード感もできます。
そこで、欧米並みの制度改革も含めた対策というものを同時にしていくことが必要だと考えておりますので、ぜひ検討していただくように要望しておきます。
都市再生は、都でいえば、環状メガロポリス構造にあらわれるように、センター・コアへの集中投資を誘導しているように思います。かつて七都県市では、東京集中を是正するため、展都と分権を目指していました。首都機能を一体として担っていくのはいいとしても、センターへの集中は展都と矛盾しないのか伺いたいと思います。
〔6〕 今、臨海副都心についての答弁もありましたけれども、港湾局としては、都市再生は、ある意味、商売がたきをふやすということになります。本心では、そういうふうに思ってらっしゃるんじゃないかと思います。
というのも、先ほど触れられましたけれども、オフィス二〇〇三年問題、そして来年には二十三区には二〇〇〇年の二.二倍のオフィスが供給されます。臨海に殊さら方を持つわけではないですが、汐留に手を出し、さらに都市再生に乗る。果たして全体としてどうかが、やはり問題となります。
知事も再三、総力を挙げてこの臨海の問題に取り組むといってらっしゃいますが、こういうことの影響が、すぐさま臨海の開発の収支に影響するのではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
〔7〕 今回、三会計の統合によりまして、一兆円のバランスシートも消し去ったことで、プランが新しく立てられました。そして、収支均衡が前倒しとなったわけですが、土地運用の収入は総体として減ります。開発の原則として、都民負担はこれまでもないといってらっしゃいましたが、それをそのまま継続できるんでしょうか。
〔8〕 暫定利用の事実上の恒常化や、今回の各種の規制緩和によって、当初の開発目標が実態として揺らいでいるように思いますが、いかがでしょうか。
都市計画局長
〔1〕 今回の改正法案では、住宅系建築物について、空地等を設けることにより、許可によらず、建築確認の手続のみで容積率を緩和できることとされております。
都といたしましては、その実施に当たって、市街地環境の整備改善を図る観点から、対象区域や容積率の限度を定めるなど、適切に運用してまいります。
〔2〕 今回の法改正は、都市再生の視点から、適正な土地利用の促進、居住環境の改善に資するため、建築規制などを合理的かつ機動的に行うことを目的としております。
その運用に当たりましては、今後とも、区市町村の都市計画マスタープランと必要な調整を図ってまいります。
〔3〕 総合設計の運用に当たっては、既に総合設計の基準を東京都が設けておりまして、そうしたものに基づいて、今後とも適切な運用を図ってまいります。
環境局長 〔4〕 環境アセスメントにつきましては、これまで二十年間にわたって扱ってきました、二百件を超える実施事例によります知見を活用して、都市再生に係る高層建築物の予測、評価項目を標準化いたしますとともに、制度面及び運用面から簡素効率化を図りつつ、評価内容や都民意見に適切に対応してまいります。
知事本部長 〔5〕 環状メガロポリス構造は、首都圏の各都市に、行政、経済、居住、文化などの機能を適切に配置をするとともに、特に環状方向の結びつきを強化をいたしまして、首都圏全体としてバランスのとれた都市構造を目指すものであります。まさに展都の考えに合致をいたしますと考えます。
首都圏再生、ひいては我が国の再生を目指す都市再生は、こうした都市構造の実現を前提にしておりまして、都市部や臨海部だけではなく、区部や多摩、さらには首都圏全体を視野に入れまして、例えば圏央道などの環状道路整備、広域防災拠点の形成、ごみゼロ型都市への再構築など、さまざまな事業を展開するものであります。
このように、都市再生事業は、七都県市の目指す展都に通じるものであると考えております。
港湾局長 〔6〕 臨海副都心開発は、新産業の創造、都心居住、研究開発など、新たなチャンスと可能性を都民にもたらすとともに、経済や雇用への波及効果を生み出すものであります。
また、この地域は、センター・コアとウオーターフロント都市軸の結節点となっており、国の都市再生プロジェクトにおきましても、有明の丘が首都圏広域防災拠点に選定されるなど、都市再生上も重要な位置づけがなされております。
〔7〕 今回の長期収支の試算においても、都市基盤整備費を土地処分収入により賄う開発利益の還元方式を前提としており、平成三十一年度に収支が均衡することとなっております。
今後とも、都市基盤整備に当たりましては、この方式を維持してまいります。
〔8〕 お話の暫定利用は、当面処分を予定していない用地を、十年を限度に期間を区切って有効活用し、町のにぎわいを創出して、臨海副都心の発展を促進するために行っているものであります。
また、土地利用計画の弾力的運用につきましては、既定の開発フレームの中で、企業の進出しやすい条件を整えるために行うものであり、いずれも開発目標に影響を与えるものではございません。
〔1〕 今回、BSE問題、そして各種の目を覆うばかりの表示偽装問題は、私たちも率直に驚いております。食品表示を偽るということは、消費者の食品選択に関する権利を奪うものであり、国では新たな組織が検討されておりますが、消費者の参加とチェックシステム、そして専門家とのリスク評価が必要であると考えております。
都では、消費生活条例や東京都における食品安全確保の指針に基づき、従来から消費者の参加やチェックシステムを培っていますが、今後なお一層発展させていく必要がありますが、いかがでしょうか。
〔2〕 今回は牛肉の緊急事態でありましたが、こうした画期的なチェックの仕組みを、他の食品も含め活用していくべきではないかと考えますが、衛生局に伺いたいと思います。
〔3〕 国でも、基本法改正や食品衛生法の改正を検討するとしております。しかし、国ではやるんですけれども、食品のチェックシステムは、実際は自治体がやるわけです。そしてさらに、最も大切な食品の信頼を回復していくため、そしてもう一つ、大きな消費地を抱えている東京という立場から、ぜひこの際、今ある安全指針を条例まで格上げすることが必要じゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
知事 〔3〕 私も消費者の一人でございまして、やはり、これだけ広大な市場というものを抱えている消費地で、東京が率先して条例も設けて追及を図るということは、非常に、日本全体にとっても、新しいパターンをつくる意味で、意味があることだと思います。
今、どういう形で、どういう資格で、どういう人が活躍しているか知りませんが、食品に関するGメンのようなものを講じまして、その人たちの活動というものがはっきり、そういうものに対するペナルティーも含めて、行政に反映されてくるためにも、私は、やっぱり、きちっとした法的な整備が必要じゃないかなとかねてから思ってまいりました。
生活文化局長 〔1〕 東京都では、消費生活条例に基づく申し出制度を活用しまして、都民の意見を行政施策に反映する道が開かれております。従来から、都民要望にこたえ、国に先駆けて環境ホルモンや食品添加物の調査などを実施してまいりました。
また、食品の安全に関しましては、食品安全方針に基づく食品安全行政連絡会議を開催し、監視、指導の連携などの施策の充実に努めるとともに、施策の内容や結果などについては、適時適切に都民への情報提供を行ってまいりました。
今後、国における表示制度などの法改正の動きを見ながら、食品安全方針の見直しを含め、食品安全行政施策の仕組みについて充実強化を図ることを検討したいと思います。
衛生局長 〔2〕 都は、二月二十日から三月末まで、衛生局と生活文化局が連携して、食肉表示に対する緊急調査、監視を実施しております。
調査結果につきましては、調査終了後、できる限り速やかに公表したいと考えております。
今後、食肉を含めた他の生鮮食品や加工食品についても、流通形態や加工実態などを踏まえ、関係機関が連携して調査、監視を行い、適正表示の徹底に努めてまいります。
広域的な対応が必要な、例えば防災などの課題が山積する中--先ほどもいいましたけれども、広域的な対応が必要ということ、そして道州制を視野に入れた首都圏庁の議論はあります。しかし、私は、当面、七都県市では、共同の具体的な取り組みを積み重ねていくべきと思います。
事務局は、現在、輪番制で行っているそうですが、今後、このような体制を強化していくためにも、ぜひかつて都が提案していたような常設事務局の設置、これを再度提案すべきじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
知事 食品問題に限らず、安全対策、災害対策も含めまして、これだけ限られた地域の中に三千三百万という人が住んでいらっしゃる首都圏でありますから、当然、七都県市が多角的に連携をとることで、広域の行政というものが実を上げていくと思います。それがやがては道州制につながるかもしれませんけれども、いずれにしろ、現実の問題として、きちっとした連携のもとでの広域行政が、食品に関しても、その他の問題に関しても、必要な時代になっていると私は心得ております。
そのために、当然、連絡網を含めまして、そういうネットワークは必要だと思います。