平成14年 予算特別委員会
自民党 比留間敏夫
(関連質疑 田島和明)
今定例会において我が党と都議会公明党は、職員給与の削減措置を新たに実施する条例案を提出をいたしました。これは、現在実施中の給与削減措置について、都と職員団体が労使の問題のみにこだわり、都議会軽視、都民不在の中で一方的に打ち切りを決めたことに対しまして、都民を代表する都議会議員として、議会の権能を行使し、異を訴えまして、当然の行為だというふうに思っております。
我が党は、この後も委員会審議などを経て、議員提出の趣旨を主張しつつ、この問題について都側の姿勢をただし続けてきましたが、先週末、ようやく都労連との団体交渉を経て、都としての具体策がまとまったとのことであります。この八月から一年間、四%削減という内容は、我々が条例提案した内容に比べれば、規模は確かに小さいのですが、我が党の主張に対し、都として最大限こたえられた成果としてまず受けとめ、決意表明のとおり実行された知事初め、交渉責任者である副知事と担当局長のご努力を評価したいと思います。
しかしながら、会期末まであとわずかの期間を残すのみとなり、都議会としても、この問題にどう結論をつけるか、都民に明確に示すべき時期が迫っております。
我が党は、みずから条例案を提出し、都議会のあり方について新しい一石を投じました。このまま条例案を敢然と可決に持ち込み、都民の期待にこたえていくことが、責任政党としての本来の使命と考えております。
知事は、みずからこの問題について、都民に理解を得られる形で解決する決意を表明されました。今後、議会に対してどのように臨まれ、事態解決を図っていかれるのか、まずその決意のほどをお伺いをいたします。
知事 今回の労使合意は、都議会決議や都議会議員による条例提案など、都議会の強い意思を重く受けとめたものであります。
昨年、一たん労使合意をした後での私の発言もありまして、到来した困難な状況の中で、都労連の理解と協力を得て、都として、これに最大限こたえた結果であると思います。この内容をもって、直ちに関係条例案を提案し、議会の審議を仰ぐ予定でございます。
大変にご心配をおかけしました都議会の皆様にこたえるとともに、今後の円滑な都政運営を図るため、ぜひとも労使合意の内容を実現したいと考えております。
なお、現在提案されている議員提案については、ぜひ取り下げていただきたいと思います。
〔1〕 平成十四年度の予算案は、都税収入が大幅に落ち込むなど、大変厳しい中での編成でありました。財政調整基金と社会資本等整備基金を合わせて千三百五十四億円を取り崩して、何とかしのいだということだと思います。その結果として、財政調整基金など、活用可能な基金の残高はどうなっているのでしょうか、お伺いをいたします。
〔2〕 普通預金のように、自由に活用ができる基金は、可能な限り多い方が財政運営上安心なわけですが、基金には、ただいま述べたもの以外にも果実活用型の基金があります。
果実活用型の基金はどういう目的で設置されたのか、また、現在どのようなものがありますか、残高はどうなっているのでしょうか、お尋ねをいたします。
〔3〕 基金の運用から生じる利子を活用して事業を行うということですが、今の低金利の時代です。
それでは、十四年度の予算では利子はどれくらい見込まれているのでしょうか、お尋ねをいたします。
〔4〕 都財政は、今後とも厳しい状況が続くと見込まれており、財源の確保にはあらゆる工夫を講じる必要があります。したがって、基金についても、ただいま取り上げた果実活用型基金を含め、財源としてより効果的、効率的に活用するという観点から、そのあり方を再検討すべき時期に来ているというふうに考えますが、知事の所見を伺います。
知事 〔4〕 都は、法人二税を中心とした都税収入に非常に大きく依存する不安定な財政構造でありますことから、財政調整基金などの年度間の財源調整の役割は極めて重要であります。
都財政は、今後とも、巨額の財源不足が避けられない状況にありまして、このような年度間の財源調整の役割を果たす基金をより一層効果的に活用していくことがますます必要となっていると認識しております。
したがって、ご指摘のありましたように、果実活用型基金の財政調整基金への統合なども含めまして、社会経済状況の変化の中で、基金のあり方を今後十分に検討していく必要があると考えております。
財務局長 〔1〕 財源として活用可能な基金は、ご指摘の財政調整基金と社会資本等整備基金でありまして、十三年度末では、両基金で三千三百三十七億円の残高となります。十四年度予算では、お話ありましたが、財源対策として、これらの基金から千三百五十四億円を取り崩す予定でありまして、その結果、十四年度末の残高は二千億円となる見込みであります。
〔2〕 果実活用型基金は、一定額の資金を基金に積み立てまして、その運用から生じる利子によりまして目的の事業を進めようとするものであります。昭和六十二年度から平成三年度にかけまして設置された中小企業振興基金、国際平和文化交流基金、環境保全基金など五つの基金がございます。これらの十三年度末の残高合計は千三百九十三億円でございます。
〔3〕 十四年度予算には五つの基金を合わせまして、八億七千百万円の利子を計上しております。これは、十三年度末の基金残高千三百九十三億円に対しまして、わずか〇・六%ということになります。基金を設置した当初に期待した金額とは、およそほど遠いものとなっております。
都市再生特別措置法と国の十四年度の予算の年度内成立が確実な見通しとなりました。この法律を積極的に都で活用するおぜん立てが整ってまいりました。都民の期待にこたえ、都の指導のもとに、都市再生に向けて速やかに第一歩を踏み出すべきと考えますが、知事の決意をお伺いをいたします。
知事 小渕内閣の当時から、東京から申し込みまして、都市再生についていろいろ建言もいたしてまいりました。これまでの東京都の行動がようやく効果を上げまして、首都圏の再生がようやく緒についたところだと思います。
今回の都市再生特別措置法は、民間開発を誘導することにより、都市機能の高度化や居住環境の向上を図り、それをてことして我が国の経済の再生や国際競争力の回復を図ろうとするものでありまして、東京都としてもこれを大いに活用すべきと考えております。民間の創意と工夫がより有効に生かされますよう、今後とも国に対して積極的に意見を述べてまいります。この二十八日も、総理と長い時間、この問題について協議することになっておりますが、都の意向を十分に伝えて、東京だけではなしに、日本の大都市が、この法律をてこにして再生していくことを祈念しております。
また、東京みずからも、十四年度の重要施策に掲げました幹線道路の整備や活力と魅力のある市街地の形成などを推進し、首都圏の再生につなげていきたいと思っております。
〔1〕 今週末の二十九日には、圏央道の青梅インターチェンジから日の出インターチェンジまでがめでたく開通をいたします。多摩地域から選出された都議会議員の一人として喜びにたえないところでございます。ご協力された工事関係者には、深甚なる敬意を表したいと思っております。
圏央道に寄せる地元の期待もますます高まりを見せており、日の出インターチェンジ以南についての早期供用が待たれるところです。しかし、適正な手続のもとで計画され、整備が進められているにもかかわらず、一部の反対運動により用地取得が難航しています。中央道とのジャンクションまでの開通が平成十六年度と二年間ほどおくれる予定と聞いております。
ところで、圏央道は、道路と自然との調和を図るためのさまざまな取り組みがなされているなど、環境面からも評価されるべき事業と考えますが、環境局長の見解を伺います。
〔2〕 圏央道の用地については、あきる野インターチェンジから八王子ジャンクションまで、既に九八%が取得されていると聞いております。しかし、わずか一部の反対運動のために完成予定が大幅におくれることは地元の期待に反するものでございます。昨年、収用手続の合理化と透明性を確保するため、土地収用法が改正され、本年七月までに施行される予定と聞いております。
そこで伺いますが、現在までの収用手続の状況及び今後の収用に関する対応はどうなっているのでしょうか、収用委員会の見解をお伺いをいたします。
〔3〕 圏央道は、当然、中央道から東名高速方面への延伸も不可欠であります。これらの整備によって、首都圏の再生にも大きく寄与することとなり、さらなる多摩地域の発展にもつながりますが、圏央道の整備促進に向け、知事の決意のほどをお伺いいたします。
知事 〔3〕 今週の二十九日の日の出インターでの開通式典には、私もお招きをいただいて、出席する予定でございます。
圏央道は、首都圏における環状方向の交通ネットワークを形成し、交通渋滞の緩和を図るとともに、環境の改善に資する重要な役割を担うと思います。多摩地域のためにも大きく寄与いたしますし、引き続き、早期全線完成に向けて積極的な取り組みを行うつもりでございます。
環境局長 〔1〕 圏央道は、東京都の環境影響評価条例に基づきます環境アセスメントを実施した事業でございます。事業者は、環境アセスメントの結果を踏まえまして、カタクリやオオチゴユリなど、注目すべき植物の生育環境に適した場所への移植や、けもの道を分断する箇所における動物のための横断通路の確保などを環境保全のための措置として実施しております。
また、事業者が環境アセスメント手続終了後に独自の取り組みとして、トウキョウサンショウウオの産卵池の造成、営巣中のオオタカの保護策としてトンネル坑口への工事騒音遮断のための防音ドームの設置など、さまざまな環境保全対策を講じていることは評価しております。
収用委員会事務局長 〔2〕 日の出インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの間の圏央道関係土地収用事件二十二件につきましては、昨年五月から本年二月まで、事業の概要など共通する事項についての審理を七期日行ったところでございます。
土地の区域や損失の補償など、個別の補償事項についての審理は、本日及び四月十一日に行う予定でございます。審理終了後、速やかに裁決が出せるよう、事務局として収用委員会を補佐してまいります。
また、あきる野インターチェンジから八王子ジャンクションまでの間につきましては、収用委員会手続の前の段階の手続として、昨年十一月に起業者から事業認定申請がなされ、国土交通省は十二月に公聴会を開催しているところでございます。
収用委員会といたしましては、今後、事業認定告示がなされ、法にのっとり裁決申請がなされた場合には、法改正の趣旨を踏まえ的確に対処してまいります。
〔1〕 踏切の解消に向け、都は現在九カ所で連続立体交差事業を実施していますが、これらの事業で解消される踏切は約百三十であり、まだ数多くの踏切が残されております。今後も、踏切解消に向け、連続立体交差事業の一層の推進が必要であります。
そこで、この二月に新たに都市計画決定され、事業化に向け大きく踏み出した京王線調布駅付近の連続立体交差事業について、その事業の内容と平成十四年度における取り組みをお伺いいたします。
〔2〕 連続立体交差事業の実施に当たっては、地元自治体の実施するまちづくりと連携を図りながら進めることが重要だと思います。本事業において、どのように地元のまちづくりとかかわって進められるのか、あわせてお伺いをいたします。
〔3〕 連続立体交差事業は、事業完了までに長期間を要しまして、またその事業費も多額を要しています。都は、厳しい財政状況が続く中、今後どのように事業推進に取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。
〔4〕 昨年の第三回定例会代表質問で我が党の松本幹事長が踏切解消に向けた事業化プランの策定を質問したのに対し、基本方針を取りまとめると答えられましたが、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。
建設局長 〔1〕 本事業は、京王電鉄京王線の柴崎駅から西調布駅間二・九キロ及び相模原線の調布駅から京王多摩川駅間〇・九キロ、合計三・八キロを地下化して、鉄道と道路を立体交差化するものでございます。
これによりまして、鶴川街道や狛江通りなど十八カ所の踏切が解消され、道路交通の円滑化や市街地の一体化が図られます。
平成十四年度は、トンネルや駅部など鉄道施設の詳細設計、鉄道用地確定の測量を行うとともに、事業化に向けた諸課題について、関係機関と協議の上、事業認可を取得する予定でございます。
〔2〕 連続立体交差事業は、沿線のまちづくりと一体的、総合的に進めることによりまして、事業効果を高めることが重要と考えております。
本事業に合わせ、地元調布市が施行する駅前広場や再開発事業などが同時に都市計画決定されたほか、布田駅付近の土地区画整理事業についても調整が進んでいると聞いております。
今後とも、まちづくりと整合を図りながら、地元市や鉄道事業者等と連携して事業を着実に推進してまいります。
〔3〕 連続立体交差事業は、道路交通のボトルネックでございます踏切を一挙に解消できることから、都市再生にとって効果の高い重要な事業でございます。
これまで都といたしましては、首都圏の基盤整備への国費配分拡大や制度改正につきまして、提案要求活動を積極的に展開してまいりました。その結果、連続立体交差事業における鉄道事業者の立てかえ制度が拡充されるなどの成果が得られたところでございます。
今後とも、都議会のご協力を得ながら、国に対して一層の制度拡充を強く要請するとともに、国費等の財源の確保に努め、着実に事業を進めてまいります。
都市計画局長 〔4〕 踏切問題につきましては、本年二月に、中長期的な目標や鉄道と道路の立体化の方策等に関する調査、検討を進めるため、関係局による検討組織を設置いたしました。
今後、踏切の現況調査や立体化などの整備手法について、地元自治体や鉄道事業者と連携を図りながら検討を行い、基本的な考え方を取りまとめていく予定でございます。
多摩地域の用途地域の指定で最大の問題点は、低層戸建て住宅地における建ぺい率三〇%と容積率六〇%など、大変厳しい制限がかかっているところではないかというふうに思います。このような厳しい制限では、極端な話、住民は違反建築を建てざるを得ないようなことにもなりかねません。
そこで、少なくとも建ぺい率五〇%、容積率一〇〇%程度に緩和をし、そのかわり、建築基準法四十二条の二項道路の整備を初め、建築規制を厳格に守っていくことが重要であると考えます。
在宅介護や二世代、三世代同居といった社会的要請もあり、ゆとりのある居住環境を形成していくためにも用途地域の見直しが必要と考えますが、ご所見を伺います。
都市計画局長 多摩地域の住宅地では、区画道路等の整備水準が十分でないところも多く、ご指摘のような容積率等が指定されております。
一方、郊外の住宅地を、高齢社会に対応した三世代同居などが可能となるようなゆとりある居住地域として再生することも重要でございます。
このため、道路等の整備水準や敷地の規模等を勘案しながら、建ぺい率や容積率について一定の見直しを行っていくことも必要でございます。今後、地元市と協議しながら適切に対応してまいります。
〔1〕 海老取川には、古くから多くの漁業者が船をとめており、東京湾の新鮮な海の幸を地元に提供し、喜ばれております。
ところで、この海老取川では、最近、特に土砂の堆積が進み、地元の漁業者から船の航行の支障になっているとの訴えが数多く寄せられています。そのため、我が党は、これまでに大田区選出の大山、松原、中西議員が一丸となって改善を求めてきたところであります。
そこで伺います。昨年来、海老取川では都がしゅんせつ工事を実施していますが、その工事の内容についてお伺いをいたします。
〔2〕 海老取川では、多くの漁船がとまっている箇所は大変川幅が広くなっており、現在行われているしゅんせつ工事では、相当な範囲にわたり、土砂が堆積したまま残されることとなります。
占用者がみずから維持管理するのは当然と考えますが、近年の異常ともいえる土砂堆積の実態を踏まえ、少なくとも航路への船の出入りなどについては、漁業者への配慮も必要と考えます。この点について、今後の都の取り組みについてお伺いをいたします。
建設局長 〔1〕 海老取川では、昨年十月に、船舶の航行に支障の生じるおそれの出ました多摩川分岐点付近をしゅんせついたしました。さらに、現在、稲荷橋から上流の約二百七十メートルの区間について、幅十五メートルの範囲のしゅんせつ工事を実施しているところでございます。
〔2〕 海老取川におきまして、近年、特に土砂などの堆積が激しい箇所につきまして、河川の管理の一環として、必要なしゅんせつを行うこととしたいと存じます。
なお、しゅんせつ工事の実施に当たりましては、工作物を設置したり、船をとめている漁業者の協力が不可欠でございますことから、早急に地元と調整を進め、早期の着工を図ってまいります。
〔1〕 昨年三月には、関係者の努力で、多摩水道橋の全面開通がなされました。このことにより交通渋滞が緩和されたのかどうか、橋の開通による効果について、まずお伺いをいたします。
〔2〕 現在事業中の橋梁について伺います。
多摩川原橋ですが、この橋は、多摩南北道路の調布保谷線と南多摩尾根幹線の接続箇所に位置し、川崎街道や連続立体交差事業を進めているJR南武線も至近で交差するなど、多摩地域でも有数の交通の要所に位置しております。全面開通すれば、多摩水道橋以上の効果が生まれると考えます。
多摩川原橋の今後の取り組みと全面開通の予定についてお伺いをいたします。
〔3〕 四車線の計画のうち、既に二車線が開通してから既に四年が経過しようとしている是政橋についてお伺いをいたします。
この間、周辺では、昨年三月に府中街道の亀里橋北交差点北側の約七百メートルの区間、昨年十月に川崎街道大丸地区が開通するなど、刻々と整備が進んでおります。
しかるに、是政橋の整備は遅々として進んでおらず、橋は相変わらず激しい渋滞が続いております。このままでは、せっかくの周辺の道路整備の効果が十分に生かされないばかりか、橋の取りつけ区間として既に買収した用地についても整備がなされていないために、まちづくりにも支障を来す状況となっております。
加えて、是政橋は、新橋に平行して、まだ古い橋が残されておりまして、現状のままでは河川防災上の問題が大変大きいのではないでしょうか。是政橋の早期整備が必要と考えますが、ご見解をお伺いいたします。
建設局長 〔1〕 多摩川中流部橋梁の整備に当たりましては、都議会を初め地元八市から成る促進協議会などのご支援を得て事業を進めているところでございます。
昨年三月に全面開通いたしました多摩水道橋の整備効果につきましては、開通一年後に調査したところ、最大渋滞長が、東京側では千四百メートルが百五十メートルへ減少いたしまして、また、川崎側では千七百メートルあった渋滞が解消されております。
また、橋を挟んだ二・五キロ区間の所要時間は、最大三十分から十二分に短縮し、これに伴う経済効果は年間約九十億円となってございます。
〔2〕 多摩川原橋の周辺では、現在、街路事業や連続立体交差事業、並びに稲城市が行っております土地区画整理事業を総合的に展開中でございます。多摩川原橋は、これら関連する事業と一体となった整備を進めることで、事業効果を一層高めることができると考えております。
このため、都の重要施策に位置づけておりまして、平成十七年度の全面開通に向け事業を進めてまいります。
〔3〕 多摩南北道路の一つでございます府中清瀬線の是政橋は、平成十年に第一期工事が完成いたしました。本橋につきましては、土地区画整理事業やJR南武線連続立体交差事業などと整合を図りつつ、国費などの財源確保に努め、事業を進めていく必要があると認識しております。
平成十四年度は、四車線化に向けた用地取得を進めるとともに、府中側の取りつけ部工事と旧橋の撤去工事に着手する予定でございます。
〔1〕 多摩地域の下水道は、関係者の努力により、普及率が九〇%を超えました。しかし、一方では、老朽化した施設の維持管理が今、各市の大きな課題となっております。
三鷹市など、古くから下水道を整備し、単独処理場を運営している市では、処理場の更新や高度処理等への対応が必要となっています。今後、整備費や維持管理費が相当かかるものと見込まれ、各市とも苦慮していると聞いています。
将来の水質向上への取り組み、経費の低減のため、流域下水道への編入についてどのように考えておるか、お伺いをいたします。
〔2〕 三鷹市に限らず、多摩東部地域を中心とした市では、昭和二十年代後半から整備されてきた下水道管が更新時期を迎えているわけであります。各自治体の財政状況も厳しく、維持管理費を少しでも低減させる必要があります。
公共下水道の維持管理は、基本的には市が行うべきものでありますが、都はどのようにして協力していくのか、お伺いをいたします。
都市計画局長 〔1〕 三鷹市などの単独処理場につきましては、昨年、都と関係市町村で設置した検討会におきまして、処理場によっては、市が単独で再整備をするよりも、流域下水道に編入した方が効率的であるという試算も示されております。
今後、こうした場での議論を重ねながら、さらに、放流先の変更に伴う河川への影響や都と関係市町村との適切な経費分担など、総合的に検討してまいります。
〔2〕 市町村が管理する下水道管渠の多くは、昭和四十年代から急速に整備を拡大してきたものでありまして、将来に向けては更新投資の増大が予測されます。このため、更新事業を平準化するため、管渠機能への支障が生ずる前に補修や改良を行う予防保全型の維持管理などにより、管渠の長寿命化を図る必要があります。
今後、市町村との協議の場において、維持管理の効率化についてさらに議論をしてまいります。
〔1〕 消防署は、地域の住民の安全を守るため、地震災害を初め火災や救助などの災害に対応する活動拠点として極めて重要な施設であると考えております。
そこでお伺いをいたしますけれども、東京消防庁として、防災活動拠点である消防署は、どのような機能を有した施設であるべきか、お聞かせを願いたいと思います。
〔2〕 私が住んでいます府中市は、近年、人口の増加とともに市街化が著しく進展し、それに伴って火災などの発生の危険も心配されております。
こうした中、防災活動拠点である府中消防署は、昭和四十四年に建設されて以来、既に三十三年が経過し、老朽化が著しく進む一方、決して十分な機能を持った活動拠点とはいえないと思うんですね。そこで、府中消防署を市民の安全を守るためにふさわしい防災活動拠点に強化すべきと思いますが、お答えを願いたいと思います。
消防総監 〔1〕 消防署は、消防組織法に基づき、地域の消防行政需要を勘案しながら、市区町村と連携して、消防の責任を果たすために設置することとしております。
お尋ねの防災活動拠点としての消防署につきましては、第一に、火災予防行政や地域住民の防火、防災行動力を高めるための防災教育等を推進する機能。第二に、二十四時間常時警戒し、火災などの災害に迅速に対応する機能、精強な消防部隊をつくるための訓練機能及び部隊運用するための署隊本部機能。第三に、震災時の初動要員を確保するための防災員宿舎機能。第四に、特別区での消防署と併設した消防団本部機能。これらの機能を確保するため所要の施設が必要であることから、東京消防庁としては、消防署の敷地面積は二千平方メートル以上を基本としております。
なお、多摩地域の消防署用地につきましては、受託時の経緯から各市町村が処理することとなっております。
〔2〕 現在の府中消防署は、お話のとおり昭和四十四年に建築されたものであり、その後、消防行政需要の増大に対応するため、平成二年に大規模改修工事を行い、都民の窓口となる事務室等の整備も図ってまいりました。
防災活動拠点としての機能をさらに充実させるためには、現在の敷地面積では十分とはいえません。したがいまして、用地の見通しをもとに、消防署の機能強化という観点から改築について検討してまいります。
〔1〕 多摩地域は、研究開発型の企業が数多く立地し、平成十二年度の製品出荷額は八兆一千億円に達し、都内全体の四割を超えているそうです。特にパソコンなどIT関連の製品は、出荷額は全国第一位であり、多摩地域の製造業は、東京のみならず我が国の製造業を牽引しているといっても過言ではありません。
しかしながら、近年の経済のグローバル化に伴う製造業の海外移転やデフレ傾向にある経済の影響を受け、多摩地域の物づくりも厳しい状況に置かれています。今、多くの中小企業は、受注減、製品単価の切り下げ圧力の中で、歯を食いしばって必死に頑張っております。こうしたときだからこそ、多摩地域中小企業が将来にわたって国際競争力を持ち続けられるように、強固な支援体制を今築く必要があります。そのため、多摩地域の産業振興の核となる多摩中小企業振興センターの果たす役割は大きいものがあります。
しかし、センターは、多摩地域に一カ所にすぎません。多摩という地域を踏まえ、このセンターが本当に経営者と技術者が一体となって支援するセンターとして信頼されるためにどのような運営方針でいくのか、まずお尋ねをいたします。
〔2〕 区部には二カ所のセンターがあります。どこに何の機器があるのか、どのような相談に応じているのか知らないという経営者も現実には大勢おいでになります。センターそのものも知らないという方もおられるそうであります。情報を適切に提供しなければ、宝の持ちぐされになりかねません。特に多摩地域は広大ですので、しっかりとしたPRをしていかなければならないと思います。
センターのPRをするにも、相談が実を結ぶにも、関係機関との連携が必要だと考えますが、センターにおけるネットワークの構築の考え方をお伺いいたします。
産業労働局長 〔1〕 本センターは、ハイテク企業、大学、研究機関などが集積した多摩地域の特性を生かし、経営支援機能、技術支援機能とともに、産・学・公連携機能や創業支援機能などを備えた総合的な産業振興拠点と位置づけております。
このため、民間の専門家を活用するなど柔軟な事業運営を行うとともに、これまで以上に大学など他の機関との連携を図り、多摩地域の中小企業のニーズに的確にこたえてまいります。
〔2〕 本センターがその機能を十分に発揮していくためには、ご指摘のとおり、関係機関との広範な連携が必要であります。
このため、国や都の研究機関はもとより、市町村や商工会、商工会議所、社団法人首都圏産業活性化協会や株式会社タマティーエルオー、さらには大学、民間企業などがさまざまな立場から協働して産業振興に取り組むことができるよう、ネットワークの構築に努めてまいります。
〔1〕 これまでの行政のコントロールによる福祉から、利用者が必要なサービスをみずから選択し利用する福祉への転換の中で、単なるサービス利用のシステムの改革にとどまらず、サービスの内容を利用者本位のスタイルに改めるとともに、サービス提供主体を改革し、事業者同士の競い合いを通じて、サービスの質と量の確保を目指すものと理解いたしております。
そうした考え方の一つが、特養のような重装備の施設に偏重した従前の福祉を改め、グループホームなど、地域の中で自立しながら暮らすことのできる福祉の新しいスタイルを東京から構築しようというものであります。
そこで、まず、改革すべき従前の重装備施設に偏重した福祉の問題点、そして、このような状況に至った要因はどこにあったのか、都としての現状認識をまずお伺いいたします。
〔2〕 もう一つの考え方は、社会福祉法人を初め福祉サービスを提供する側も、真の意味での利用者本位のありように変わらなければならないというものであります。
これまでのように、行政の指示どおりにサービスを提供してさえいれば済む福祉は、もはや過去のものとなりました。福祉サービスを提供するものは、利用者ニーズを敏感につかみ、柔軟に対応することによりみずからのサービスを向上させる不断の取り組みを行うことが不可欠であります。
今後、こうした観点に立ち、社会福祉法人を初めとする既存のサービス提供主体の厳しい自己改革が求められるべきであり、都としても、その改革を促すことを重要な責務と位置づけ、施策を進めるべきと考えますが、所見を伺います。
〔3〕 この既存のサービス提供主体の改革という方向性の中で、都立の福祉施設のありようについても改めて問い直すことが不可欠であると考えます。
特に、契約制度が導入された分野では、利用者のサービス選択が基本となるわけですから、たまたま都が直接提供するサービスを利用できた者だけに特別に税が余計に投入されるということでは、他のサービス利用者との公平性の確保という点でも、疑問があるといわざるを得ません。
福祉改革STEP2においては、新しい福祉の実現に合わせて、都立福祉施設を抜本的に改革するとうたっておりますが、今後、都はどのような手順で都立福祉施設の改革を進めようとしているのか、基本的方針をお聞かせ願いたいと思います。
〔4〕 STEP2が掲げるサービス提供のスタイルと提供主体の改革は極めて大きな課題であり、数多くの高いハードルが予想されるテーマであります。ここは、じっくり腰を据えながらも果敢に挑み、力強く改革を推し進めることが不可欠と考え、最後に知事の決意をお伺いいたします。
知事 〔4〕 戦後半世紀にわたって続いてきました行政主導の福祉は、今では制度疲労を起こして、もはや都民の期待にこたえられなくなっておると思います。
都が取り組んでおります福祉改革は、この仕組みを変革し、高齢者や障害者などがケアを必要とする状況になっても、地域の中で自立して生活できるごく当たり前な世界をこの東京では実現したいと思っているわけであります。そのためには、身近な地域にグループホームなどを整備するとともに、社会福祉法人や都立施設など、既存のサービス供給体制自体を改革することが不可欠だと思います。
国によります全国一律の画一的な規制など、東京の現状にそぐわないものがたくさんございまして、乗り越えるべきハードルは少なくありませんが、都独自の施策展開により、これを克服して、新しい福祉の姿を全国に向けて先駆的に示したい、そういう役割を都としても果たしていきたいと思っております。
福祉局長 〔1〕 これまでの社会福祉は、介護などが必要になった場合は施設に入っていただく、これを当然の前提とした上で、施設をいかに確保するかという課題を中心として取り組まれてきたわけであります。
こうした福祉のありようは、サービスが画一的になりがちなこと、地域で培ってきた人とのつながりが失われること、こういった問題がありますけれども、さらにそれに加えて、より根本的には、介護などを必要とする状況になっても、家族や地域社会の支えを得ながら、地域の中で生活を続けていくのが望ましいという人間本来のあり方からいっても問題があるわけであります。
こうした現行の福祉制度は、敗戦後の困窮状況からの一刻も早い立ち直りを目標として、行政の強いコントロールのもとで運営されてまいりましたが、そのため、社会経済状況の変化に伴って多様化、高度化した利用者ニーズにこたえられなくなっているのが今日の状況であると考えております。
〔2〕 これまでの行政主導の福祉では、サービスの担い手も行政と社会福祉法人が中心となっていたことから、今お話にありましたように、利用者による主体的なサービス選択や事業者同士の競争はないにひとしく、この点でも、福祉ニーズの多様化、高度化にこたえられなくなっている状況がございます。福祉改革では、こうした閉鎖的な体制を改め、多様なサービス供給主体に門戸を開き、相互の競い合いによって、質量両面にわたってサービス向上を図っていく方針であります。
そのため、社会福祉法人などがサービス向上を目指して努力すれば、その努力が報われる仕組みをつくることを改革の中心課題の一つとして位置づけ、都の施策についても、そうした方向で再構築を図ってまいります。
〔3〕 これまで都は、福祉施設が不十分な時代を通じて、みずから施設を設置、運営してまいりましたが、現在では民間施設の整備が進んで、都立施設のシェアは低くなっている現況にあります。
今後は、従来のサービス提供者としての役割を見直して、福祉サービスのインフラ整備など福祉水準全体の向上を図ることにその重点を移すこととし、こうした観点から都立福祉施設の抜本的な改革を図っていく考えでございます。
改革を推進するに当たっては、福祉改革STEP2で示した基本的方向に沿って、各分野や施設の特性を考慮しながら、民間の力を活用するために整備すべき条件などについて検討を深め、来年度、できるだけ早い時期に具体的な方針を策定し、着実に都立福祉施設の改革を進めてまいりたいと考えております。
〔1〕 さきの予算特別委員会で、我が党の山崎議員が花粉症対策について質問をいたしました。都は来年度から、花粉症予防情報ネットワーク構築へ向けた検討を行うとのことであり、都が進めている花粉症対策に大いに期待をいたしているところです。しかしながら、花粉症やアレルギー性疾患などを初めとする疾患対策については、各種予防対策とともに、発症にかかわる基礎的な研究の推進、さらには基礎研究を新薬開発などへつなげていく対策が重要であります。このような視点からお伺いをいたします。
都が都民一万人を対象にしたディーゼル車排出ガスと花粉症との関連に関する調査研究を開始したと聞いております。こうした疫学的調査はぜひ積極的に進めてもらいたいと思いますが、花粉症やアレルギー性疾患に対する基礎研究の推進も重要であります。今回の調査で、疫学調査と並行して発症メカニズムの解明等の研究を行うとのことですが、その内容について、まずお伺いをいたします。
〔2〕 財団法人東京都医学研究機構では、アレルギー研究に関して、遺伝子組みかえ技術により、特定のアレルゲンに過敏な反応をし、アレルギー症状を引き起こすアレルギーマウスの作製に成功しています。今回の調査研究にもこうした成果を活用するのでしょうか、お伺いをいたします。
〔3〕 医学研究機構では、アレルギーマウスの作製だけでなく、パーキンソン病の発生メカニズムの解明や、世界で初めてC型肝炎ウイルスの発見など、先進的な研究成果を数多く上げており、多くの知的資源が蓄積されています。こうした知的資源を、具体的に治療方法の開発や新薬開発として実用化するなど、都民に積極的に還元していく必要があるのではないでしょうか。
そこで、お伺いをいたしますが、医学研究機構とバイオ・医療系ベンチャー企業、製薬企業との連携に向けた取り組みとして、昨年の十一月に研究交流フォーラムを開催したとのことですが、どのような内容だったのでしょうか、お伺いをいたします。
〔4〕 東京には高度医療、専門医療を行う病院、大手の製薬会社などが集積しており、バイオベンチャー企業の進出する条件が整っています。これらの事業や企業が生まれるためには、基礎となる先端技術が不可欠でございます。医学研究機構とバイオ関連企業等との連携を一層強化すべきものと考えます。今後、この取り組みをどのように発展させていくのでしょうか、お伺いをいたします。
衛生局長 〔1〕 現在、花粉症発症メカニズム研究として、マウスを用いた花粉症発症にかかわる遺伝子の解明研究、ディーゼル車排出ガスがラットの免疫機能に及ぼす影響の研究、スギ花粉症患者のリンパ球に対するディーゼル車排出微粒子の影響に関する研究の三つの研究を、財団法人東京都医学研究機構を初めとする研究機関において進めておるところでございます。
〔2〕 財団法人東京都医学研究機構では、平成八年度から遺伝子組みかえ技術を用いたアレルギーマウスの作製に取り組んでおります。これまでに、卵の白身やダニなどに反応して、アレルギー症状を引き起こすマウスの作製に世界で初めて成功しておりまして、高い評価を得ております。
今回の花粉症発症メカニズム研究では、スギ花粉に反応するスギ花粉症マウスの作製に取り組んでいるところであります。このマウスができれば、これを用いた応用研究が一層進展していくことが期待できると考えております。
〔3〕 研究交流フォーラムの内容といたしましては、バイオ、医薬ベンチャー、製薬企業、投資ファンドなど、約四十社、百人近くが参加いたしまして、医学研究機構の先端的研究の紹介や、企業側のニーズに関する活発な情報交換が行われました。
また、事業化等の可能性がある研究成果を取りまとめた研究シーズ集も配布いたしまして、民間企業等との連携の第一歩となったところであります。
〔4〕 今後の取り組みにつきましては、医学研究機構では、ただいま、好評でありました研究交流フォーラムを定例化していく予定であります。
また、平成十四年度に、知的財産を活用するために、民間事業者への技術移転を円滑に進める、いわゆるTLО部門を発足させまして、医学研究機構がこれまで蓄積してきた研究成果の情報提供や共同研究の推進、特許権の取得等、知的資源の一層の活用を図り、治療法の開発や、創薬の実用化に向けた民間企業等との連携を促進していきたいと考えております。
〔1〕 我が党はかねてより、公平性の観点から、都営住宅制度の抜本的改革を主張してきました。特に、使用承継制度は、都民共有の財産である都営住宅に一度入居すると何世代にもわたって住み続けるとの批判もあり、公平性の観点から大きな問題であると考えていたところであります。今回の見直しは、まさに我々の主張を具体化するものであり、大いに評価をしております。
そこで、公営住宅法の使用承継とはどのような制度なのか、また、最近の使用承継の実績はどのくらいあるのか、お伺いをいたします。
〔2〕 今回の使用承継制度の見直しのポイントと、見直しの考え方をお伺いをいたします。
また、今回のような見直しは、他にも例があるのかどうか、お伺いをいたします。
〔3〕 マンションは大都市の居住形態として定着しており、これを良好な状態で維持し、円滑に建てかえられる仕組みをつくることは、東京の住宅政策の重要かつ緊急の課題であります。
都が強く要望してきた法整備については、今国会で実現する運びとなりました。これにより、建てかえ事業主体となる建てかえ組合の法的位置づけが確立するとともに、権利変換手法による権利の円滑な移行が実現するなど、建てかえの促進に向けて大きな第一歩が踏み出されたものと期待をいたしております。
しかし、今回の立法化だけで、すべての問題が解決するわけではありません。今回都は、法整備に加え、都独自の支援策として容積率の緩和や都営住宅を活用した仮住居の提供など、思い切った建てかえ支援策を国に先駆けて打ち出しており、まことに時宜を得たものと評価をしております。
マンション建てかえの際に、仮住居として都営住宅を活用することは、これまでの常識を破る画期的なことと思いますが、具体的にはどのように活用していくのか、お伺いをいたします。
〔4〕 分譲マンション対策は、維持管理の施策を含め、総合的に推進することが重要であると思いますが、改めて分譲マンション対策への取り組みについて、知事の所見を伺います。
知事 〔4〕 分譲マンションは、東京のような大都市の居住形態としては広く定着をしたと思います。その一方、老朽分譲マンションは今後急激に増加すると予測されておりまして、マンションの維持、更新は、東京の再生のためにも緊急かつ重大な課題と認識しております。
都は、機会あるごとに法制度化を主張し、今回実現する運びになりましたことは一歩前進でありますが、さらに実効性のあるものとするため、都独自の支援策を打ち出しました。今後とも、適正な維持管理を進め、円滑な建てかえを支援するなど、総合的マンション対策を強力に推進していきたいと思っております。
住宅局長 〔1〕 公営住宅法では、知事は使用承継を承認することができると規定されております。この規定は、名義人の死亡等の場合に、残された同居者は事業主体の承認を得て適法に同居したのであるから、居住の安定についても一定の配慮を受けるべき地位にあるとの観点から、同居者に一定の条件のもとに引き続き使用を認めることができる旨を定めたものでございます。
また、平成十二年度における都営住宅の使用承継の実績は、約四千件でございまして、過去五年間もほぼ同数となっております。
〔2〕 今回の見直しのポイントは、これまで認めてきた収入超過者に対しては原則として使用承継を認めないとしたこと、また、承継の範囲をこれまでの三親等から一親等に見直したことでございます。
見直しに当たっての考え方でございますが、都営住宅の利用機会の公平を図る観点から、収入基準につきましては、使用承継の許可が新たに都営住宅を使用する権利を付与する行為にほかならないことから、入居収入基準との整合を図ったこと、また、承継の範囲を一親等といたしましたのは、夫婦及び親子関係が家族を構成する最も基本的な核であることから、この基本的な家族形態の安定にも十分配慮したことなどでございます。
他の道府県及び政令指定都市でございますが、大阪府が二親等までとしているのみで、ほかは東京都のこれまでの基準と同様となっております。したがって、今回の見直しは、東京都独自のものでございます。
〔3〕 分譲マンションの建てかえ期間中の仮住居の確保が困難な低所得者に対しまして、都営住宅の空き家を活用し、その期間に限った優先入居枠を設定いたします。また、都営住宅の建てかえ事業に伴いまして、用途廃止をする団地を一定期間提供いたします。さらに、住宅供給公社の賃貸住宅につきましても、仮住居として活用してまいります。
〔1〕 ニューヨークを初め、世界の大都市には、内外の人々を引きつける美術館や劇場など、魅力的な文化施設があります。都市の顔となっております。東京にも歌舞伎座など、歴史と伝統を持つ施設がありますが、今後は、都立の文化施設も魅力を高め、東京の新たな顔となるようにしていくことが重要であると思います。
昨年は江戸東京博物館のポンペイ展など、開館以来の最高の入場者となった企画が続いていたと聞いております。また、ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「千と千尋の神隠し」に出てくるまちは、江戸東京たてもの園からイメージされたとのことであります。このように、多くの人が興味を持ち、行ってみたいと思う魅力と価値のある企画が都立の文化施設で行われることが重要であります。
都立文化施設は都民の貴重な財産であり、十分に活用していくことでこれまでの投資が生きてまいります。そのためには、各館が経営感覚を持ち、努力をすることが必要であります。
今回、こうした努力を後押しする仕組みとして、料金制を導入するとのことですが、利用料金制により、各館の管理運営に自主性と創意工夫の余地がふえると思いますが、具体的にはどのようなことを実施するのか、お伺いをいたします。
〔2〕 各館が独自に利用料金の設定を行う際、高過ぎたり、あるいは逆に低くなり過ぎて不都合がないのかどうか、その辺もお伺いをいたします。
〔3〕 利用料金制の導入の成果を、事業の充実など、文化施設の魅力を一層向上させるために活用することが必要ではないかと思いますが、お伺いをいたします。
〔4〕 各館が利用料金制のメリットを最大限生かす努力を払い、多くの人を引きつける施設運営を行っていただきたいと思いますが、各館がそれぞれ特色を持った運営を行い、魅力ある施設とすることが、東京からの文化発信という意味で重要であります。各館はどのように重点を置いて特色を出していくのか、お伺いをいたします。
生活文化局長 〔1〕 今回、文化施設に導入いたします利用料金制は、施設の利用料金を施設の管理受託者である財団の収入とすることにより、財団の経営責任を明確にし、経営努力を発揮させやすくするものであります。このため、財団がみずからの経営判断に基づきまして、条例の範囲内でございますが、各館の利用料金の設定を行います。また、より多くの利用者を獲得するため、学生や複数館利用者などへの割引制度を創設いたします。さらに、ツアー客等の誘致を行いやすくするため、旅行会社等による入館料の後払い精算ができる仕組みも導入する予定であります。
このような料金面での創意工夫とともに、集客効果の高い事業展開や広報活動を行うほか、一層の経費節減に努めることにより、自主的な経営努力が図られると考えております。
〔2〕 利用料金の設定につきましては、公の施設であることから、著しく高くならないよう原価や同様の施設の料金との均衡等を考慮し、上限額を条例で定め、その範囲内で都の承認を得て設定されることとなっております。また、集客などのために低い料金を設定することも可能でありますが、そのことによる経営責任は、財団が負うことになると考えます。
〔3〕 利用料金制は、財団の経営努力と経営責任を明らかにすることにより、財団に魅力ある施設運営を行わせようとするものでございます。
このため、ご指摘のように、財団の経営努力の成果の結果、見込み額を上回るような収入等があった場合には、その成果を新たな文化事業の企画などに活用できるよう工夫してまいりたいと考えております。
〔4〕 江戸東京博物館では、江戸、東京の歴史と文化の総合的な展示に加えまして、伝統芸能公演の充実を図り、生きた伝統文化を体験できる施設としていきたいと考えています。
また、たてもの園等では、建物を単に見せるだけではなく、さまざまな建物の特色を生かし、年中行事や昔の遊びなど、かつての生活情景を再現し、その時代の生活を実感できるような施設としてまいりたいと考えております。
また、写真美術館等では、写真の魅力を引き出す複合的な展示を行うことなどにより、芸術としての写真と映像文化に対する関心を高め、新たな利用者の開拓を図ってまいります。
また、現代美術館では、企画展示で幅広いジャンルの現代美術を取り上げるとともに、パフォーマンスやイベントを実施するなどして、先端的な創造活動の魅力を伝えていきます。
また、芸術劇場や文化会館などでは、単なる貸出施設にとどまらず、一定の条件のもとで新進・若手アーチストに対し、施設利用料を免除する等の施策を検討し、新進・若手アーチスト等の創造活動の場を提供してまいります。
このように、文化施設の一元化を契機として、各館が特色がある企画により、東京の魅力を発信する施設となるよう努めてまいります。
〔1〕 近年、学校教育をめぐる現状は大変厳しいものがございます。いじめや不登校、学校、学級崩壊、さらには情報機器を使った問題など、子どもたちをめぐる課題は多くあります。一方、子どもたちを指導する立場にある教員についても、指導力不足教員や不適格教員、さらには組織の一員としての自覚を欠いた教員など、多くの課題を抱えております。こうした学校教育の現状を見ますと、子どもを学校に通わせている保護者の心配は当然のことながら、一都民といたしましても、日本の将来に不安を抱かざるを得ません。
学校は、なぜここまで落ち込んでしまったのでしょうか。これは、ひとえに子どもたちを正しく導く責任を担っている教員にあることは、一昨年の国立市の学校で起きた一連の問題を挙げるまでもなく、今や周知の事実でございます。民主だ、平等だとただひたすら美しい言葉を隠れみのにして、子どもたちや保護者の悲痛な叫びを顧みず、世間知らずで身勝手な主義主張を繰り返す一部の教員集団が、学校教育、ひいては我が国の将来をも危うくさせようとしているものであります。
さて、さきの石原知事の施政方針で、硬直的な組織、機能が問題になっている学校運営を改善するために、我が国で初めて公立学校に主幹職を設置すると表明されました。また、さきの代表質問においても、我が党は主幹制度の導入を評価しているところであります。
そこで、この主幹制度について、幾つかお伺いをいたします。
主幹制度の導入を検討する前に、円滑な学校運営を整備する目的で実施されている主任制度の見直しを行うべきではないでしょうか。また、主幹職の設置は、全国に先駆けての新たな制度となりますが、国の動きを待たずに、この時期に実施する理由についてもあわせてお伺いをいたします。
〔2〕 主幹職は、東京都の公立学校の教育環境を一定水準に確保する必要から、都立高校だけでなく、小中学校にも設置すると聞いております。小中学校への主幹職の設置は区市町村教育委員会の権限でありますが、校種の別なく、すべての区市町村で主幹制度を定着させることにより、新たな職、主幹の必要性を全国に発信することができると考えますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
〔3〕 都内のすべての公立学校に主幹を置くとのことですが、ただ単に主幹を配置すれば児童生徒の教育環境の向上が図れるものではないというふうに考えます。このため、主幹を含めた教員の資質、能力の開発向上を図ることが必要不可欠と考えますが、このことについて都教委の方策についてお伺いをいたします。
教育長 〔1〕 都の教育委員会としましては、主任制度を適正に機能させるために、これまでさまざまな取り組みを行ってまいりました。しかし、主任といいますのは、監督権限を持たずに、職として設置されていないなど、制度上の限界がございますことから、他の道府県と共同しまして、平成十一年度から主任制度の抜本的な見直しを国に要請してきておりますが、国においては見直しの動きが見られないのが現状でございます。
現在、学校には解決すべき課題が山積しておりまして、学校の課題対応力を高めることは喫緊の課題でございまして、とても国の動きを待っておられる状況ではございません。そのため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に規定されております教育委員会が持つ組織編制権によりまして、主幹制度を導入することとしたものでございます。
〔2〕 東京都の公立学校の教育環境を一定の水準に確保する必要がございますため、平成十五年四月から、全校種、全区市町村で同時に主幹制度を導入したいと考えております。
このため、各区市町村教育委員会及び小中学校長の代表者を検討委員会の委員とするなど、この制度の同時実施に向けまして、区市町村教育委員会と綿密に連絡調整を行っておりまして、各区市町村教育委員会においても同様に主幹制度の導入がなされるよう要請しているところでございます。
東京都が導入します主幹制度は、学校運営の適正化を願う全国の自治体から強い関心を寄せられているところでございまして、今後とも関係機関と一層の連携を図りまして、本制度を都内すべての公立学校で定着させることによりまして、国の主任制度見直しの動きに拍車をかけたいと考えております。
〔3〕 児童生徒の教育環境の向上を図るためには、学校運営組織を整備すれば足りるというものではございません。教員の資質、能力の開発向上を図ることが必要不可欠でございます。
このため、都教育委員会としましては、全国に先駆けて人事考課制度を実施しますとともに、教員のライフステージに応じた研修体制を整備しているところでございますが、さらに主幹制度が導入されることによりまして、さまざまな教育課題に対する組織的な対応や、あるいは開かれた学校づくりが推進されまして、教員の意識改革を図る上で重要な契機になるものと考えております。
アメリカ経済の立て役者、ロバート・ルービンという人が、ウオールストリートの実力者でもあったし、ホワイトハウスに入った、いうなら民間から官の立場に入ってきたことについてどう思われるか、答弁をいただきたいと思います。
濱渦副知事 それぞれの議会あるいはそれぞれの政治には、それぞれの方法があろうかと思っております。
〔1〕 昭和五十六年に、都は全国に先駆けて環境影響評価制度を条例として定め、都市環境の維持、改善に成果を上げてきたところです。
現在、計画段階アセスの導入が検討されていると聞いています。都市環境の保全という立場から、このような制度を検討することは意義のあることですが、一方で、民間の創意工夫を十分生かし、都市再生を進めることが、今、東京にとって喫緊の課題となっています。
こうした観点から見ると、制度発足後二十年以上もたった現在の事業アセス制度そのものを見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。
今定例会における我が党の松本幹事長の代表質問で明らかにしたように、民間事業者は、早期に事業を立ち上げていくためには、都の事業アセスの手続期間が支障となりかねない、高層建築物にかかわる現行の事業アセスの適用要件の改善、手続の簡素合理化、スピードアップが必要といっています。
そこでお伺いしますが、これまでの事例では、高層建築物のアセスに要する期間はどのくらいかかるのでしょうか。
〔2〕 都条例のアセスは、市区町村長などからの意見に対する見解書についても、事業者に対し説明会を義務づけているなど、国のアセス法と比べても手続が多く、時間がかかるのではないでしょうか。
今回の予算委員会では、我が党の佐藤裕彦委員の一般質問に対し、都市再生にかかわる高層建築物の予測評価を標準化するとの前向きの答弁がありました。我が党としては、標準化だけではなく、条例そのものを見直し、公示、説明会開催などの手続簡素化が不可欠と考えます。所見をお伺いします。
〔3〕 知事は、今定例会における我が党の代表質問に対し、環境アセスメントなどの手続の期間の短縮に努め、民間事業の促進を支援したいとの答弁をされました。知事の認識は、我が党と同じであると思います。都市再生を促進する観点から、よりよいアセス制度の構築に向けての知事の決意を伺います。
知事 〔3〕 二十年前にアセスメント法ができたときに、私、実は環境庁におりまして、あのころは、佐藤内閣の時代に、四日市公害それから水俣といった、非常に無残な固定発生源での公害に住民たちがほとほと本当に懲りて、また、被害感が非常に蔓延しておりまして、環境影響というものを十分に時間かけて審議しようというのは、時代の一つの兆候として是といたしましたが、しかし、今日、大都市で特にいわれている公害というのは、全く種類の違うものでありまして、そういった質的な変化、あるいは形の上での変化というものをしんしゃくしませんと、日々激しい変化をします大都会というもので、アセスメント法が、アセスメントそのものがプロジェクトを逆に妨害するということにもなりかねません。
そういうことで、アセスメントを決して手抜きをするということじゃなしに、合理的にスピード感を持って進めるということは、非常に大事な課題と認識し直しております。
同時にまた、良好な環境を確保することも都の責任でもあります。ゆえにも、民間の知恵と努力を引き出して、民間事業者の手による都市の再生を促進するためにも、都は独自の工夫を行いまして、都市再生に関する、特に高層建築物の環境アセスメントや都市計画の手続の期間短縮に努め、民間が手がける事業の促進を支援していきたいと思っております。
さきの政府の決めました羽田の沖合展開についても、国交省は一年半を上回るアセスメントの期間が必要と、法律を盾にいっておりますけれども、これは、この間、あれを建言して実行に移しました亀井前政調会長に諮りまして、もっと国交省もこのアセスメントを合理的に短縮しろということを強く申し入れましたが、都内においても、都の行政の責任範囲においても、その姿勢で進みたいと思っております。
環境局長 〔1〕 環境影響評価条例の施行以来、環境影響評価を受理いたしました高層建築物の案件二十三件について見ますと、アセスメント手続に要しました期間は、最短で九カ月、最長で二十三カ月、平均で十三カ月となっております。
〔2〕 高層建築物に係ります事業アセスメントの規模要件でございます高さ百メートルという基準のことでございますが、これは、今後基準を見直した場合、どのような影響があるのか、地域の実態も加味して検討してまいります。
次に、公聴会や説明会等につきましては、先日、環境影響評価審議会から、計画段階環境影響評価制度の導入等についての中間のまとめが出されたところでございます。
その中で、事業アセスメントにつきまして、公聴会の内容の充実に合わせた評価書案に係る見解書の説明会及び都民等の意見書に係る手続の簡素化、二百件以上の事業アセスメントの実施により蓄積されたさまざまな知見を活用し、合理的な制度運用を図ることなどに言及されております。今後、最終答申を待って、具体化について早期に検討してまいります。
〔1〕 まず、亀戸・大島・小松川地区再開発事業についてであります。
ご承知のとおり、本事業は、江東デルタ地帯を大震災から守り、安全で快適な都市環境を整備する目的のもと、全国にも例のない大規模な再開発事業として進められてきました。いよいよ本事業も、本年夏には防災拠点がおおむね完成し、間もなく収束を迎えると聞いております。
そこで、本事業にこれまでどの程度の歳月と事業費が費やされ、この結果、まちがどのように変わったのか、お尋ねします。
〔2〕 本事業がこれまでに至ったのは、多くの関係者のご支援と協力があってのことだと思います。
そこで、この多くの関係者の参加を得て、都としても記念式典を行う意義は極めて大きいものと思います。都も、地元区との連携により、完成イベントを開催したいとの意向のようですが、いつ、どのような方法で行われるか、お答え願います。
〔3〕 亀・大・小地区のほか、白鬚西地区、赤羽北地区を含むいわゆる既施行三地区の事業収支の改善状況でございます。
昨年の第一回定例会における我が党の三宅議員の収支改善に対する一般質問に対し、民間ノウハウの積極的な活用によって事業コストのさらなる縮減を図るなど、収支改善に向けて努力することの答弁をいただきました。その後の取り組み内容と成果について伺います。
〔4〕 厳しい経済環境のもとで大変なご苦労をし、収支改善に努めていることに対しては評価できると思います。事業終了時まで引き続きご努力をお願いするとともに、そして、これから再開発事業が本格化する北新宿地区と環状第二号線地区について伺います。
これらの地区の事業は、都市の再生を図る上で極めて重要なものと認識をしております。これらについては、十四年度より、全国でも初めて再開発事業に公営企業会計を導入すると聞いております。この会計の導入目的と効果についてお尋ねをします。
建設局長 〔1〕 亀戸・大島・小松川地区市街地再開発事業につきましては、昭和五十年の都市計画決定以降、二十六年の歳月と約四千六百億円の事業費を投入してまいりました。
当地区は、かつては木造住宅や工場等が混在密集し、災害に対し極めて脆弱な地域でございました。
再開発事業の実施によりまして、二十万人が避難できる防災公園など、地区面積百ヘクタールの六割に及ぶオープンスペースの確保、用途の適正配置、建物の完全不燃化など、防災性が飛躍的に向上したところでございます。
さらに、リバーフロントの景観に恵まれた良質な住宅供給や、都心への交通アクセスの向上により、定住人口が着実に増加し、地域の活力とにぎわいが生まれるなど、安全で快適なまちへと大きく変貌したところでございます。
〔2〕 亀戸・大島・小松川地区防災拠点の整備は、全国でも類を見ない大規模な事業でございまして、ご指摘のとおり、都はもとより地元区にとっても、完成イベント開催の意義は大きいものと考えております。
このため、防災拠点の完成を祝い、この夏、江東、江戸川両区及び地元住民との連携によりまして、記念式典を初めとする完成イベントを開催したいと考えております。具体的な内容につきましては、今後、地元区及び住民の代表の方々を交えた実行委員会を設置し、検討してまいります。
〔3〕 収支改善に向けまして、民間特定建築者制度の導入による敷地処分の促進を図る一方、分譲住宅の販売に当たりましては、プレセールスによる顧客動向の把握や、銀行による優遇融資制度の創設など、新たな取り組みを行い、収入確保に努めてまいりました。
これらに加え、建築コストのさらなる圧縮や、都債の発行停止による利子負担の軽減など、事業コストを縮減することとし、その結果、約三百億円の収支が改善される見込みでございます。
〔4〕 公営企業会計を導入する目的は、貸借対照表などの財務諸表の作成によりまして、再開発事業の資産状況と財務内容を明らかにし、収支をより一層明確化することでございます。
また、導入効果といたしましては、これら会計情報を事業に反映することにより、採算性を一層重視した運営が可能となること、事業の透明性をさらに高めることにより、都民への説明責任が果たせることなどでございます。
両地区の再開発事業は、都市再生を図る上で極めて重要な事業でございまして、公営企業会計の導入を機に、より経営的な視点に立ち、効率的な事業を推進してまいります。
〔1〕 長引く景気低迷や、金融改革の中で進められる不良債権処理、ペイオフ解禁などの影響で、中小企業を取り巻く経済環境は一段と厳しさを加えています。
先月末、国は経済財政諮問会議でデフレ対応策を決定し、売り掛け債権担保融資保証の積極活用や、安定化特別保証融資の返済弾力化などの貸し渋り対策を打ち出しました。
それに先立って、昨年末、都においては、我が党の要請にこたえ、売り上げ減少への対策資金として、経営基盤特別強化資金の融資枠拡大や、経営安定支援資金のうち、金融機関破綻関連の環境変化対策の金利引き下げ、複数借入金の一本化措置など、タイムリーな改善策を五項目にまとめ、緊急金融支援対策を講じたことは多としております。
そこでお伺いしますが、三カ月余りを経過した現在、これらの対策のここまでの効果をどのように見ていらっしゃるのか、伺います。
〔2〕 複数の借入金の一本化については、この措置を歓迎する経営者の話を聞くこともありますが、まだ広く中小企業に知られていない面もあります。利用者への周知について一層の努力が必要と考えますが、ご所見を伺います。
〔3〕 現在の長期的な景気低迷下では、なお一層の既存制度の効果を高めるための工夫に努めると同時に、より一層の信用補完制度の改善などを通じて、中小企業の経営実態をよく把握している金融機関の力をさらに活用できる仕組みづくりを推進していくために、国への提案等も行いながら、あらゆる取り組みを行うことが必要だと考えますが、所見を伺います。
産業労働局長 〔1〕 緊急金融支援対策の主な実績でございますが、売り上げ減少に対応する経営基盤特別強化資金においては、融資目標を三百億円ふやしたところでございますが、対策前の月平均九十二億円の融資に対しまして、対策後は約一・八倍の月平均百六十三億円となりました。特に、年末年始の三カ月間で、融資目標の増額を上回る五百十六億円の融資を行ったところでございます。
また、金融機関破綻関連の環境変化対策では、対策前に比べ、対策後は月平均融資金額で十四倍も伸びております。さらに、新しい制度であります売り掛け債権担保融資では、五十二件の申し込みがございました。これらによりまして、中小企業の資金調達に一定の効果があったと考えております。
〔2〕 新たな保証申し込みに際しまして、既存の制度融資の返済を条件にすることで保証承諾する、いわゆる複数借入金の一本化は、月々の返済の負担を軽減できる有効な手段でございます。
都では、これまでも、関係機関への通知や、東京都中小企業ネットクラブの会員への配信などを通じまして利用を呼びかけてきたところです。
今後、さらに中小企業に直接対応する金融機関の窓口向けのチラシを作成するとともに、都庁や中小企業振興公社のホームページ、また、現在開設準備中の東京信用保証協会のホームページで、複数借入金の一本化について、より一層の周知を図ってまいります。
〔3〕 金融機関を活用した信用保証の仕組みづくりについては、今後、資金需要の実態や各金融機関の意向などの把握を行い、国への提案要求も含め、種々対応を検討してまいります。
〔1〕 中国を初めとする東アジア諸国の成長、国内企業の海外移転と国際分業が進展する中で、国内需要の多様化、商品需要の短サイクル化が進み、企業の経営は、従来のようなスケールメリットの追求型では機能しなくなっています。
一方、民間金融機関は、経営体力が低下しているものも多く、取引先の審査を厳格にしたり、リスクに見合った金利の適用や担保の提出を強く求めるなどの状況が広がっています。そのために、資金調達の大部分を間接金融に依存せざるを得ない中小企業にとっては、調達量とコストの両面で困難性が高まっており、厳しい資金調達環境が続くと思われます。
そうした中で、今後の経済の活性化を図る上で、中小企業、とりわけ、すぐれた技術や発想を持って新規事業分野への進出を目指す意欲的な創業者やベンチャー企業の活躍に期待が集まっています。
しかしながら、こうしたベンチャー企業は、創業資金や人材が質的、量的にも不足していること、技術開発のリスクが経営規模に比して大きいことや、技術開発から企業化までの懐妊期間が長く、担保力にも欠けるなどから、研究開発やその成果の事業化に必要な資金調達が困難な企業が少なくありません。
中小企業は、その資金調達の多くを銀行からの借り入れなどの融資に頼らざるを得ません。特に、創業企業やベンチャー企業は、すぐれた技術を持っているものの、担保力、信用力の不足、事業のリスクが高いことなどから、資金調達が困難な企業が少なくありません。そうした中で、民間金融機関の融資態度が変化して、ますます厳しさを増してきています。
そこで、中小企業の資金調達の道を多様化していくことの必要性が指摘されていますが、そうした環境整備はまだ十分なものとなっておりません。そこで、創業時の中小企業の資金調達の現状について伺います。
〔2〕 都は、そうした創業間もないベンチャー企業に対する資金支援策として、中小企業等投資事業有限責任組合を設立しましたが、都が出資した投資組合のこれまでの実績について伺います。
〔3〕 多くの創業者やベンチャー企業が直接金融による資金調達を円滑に行えるようにするためには、ベンチャーキャピタルやエンジェルと呼ばれる個人投資家からのリスクマネーの供給が促進されるような環境整備が必要であります。
例えば、アメリカでは、エンジェルからの投資が日本とは比較にならないほどの大きな規模で行われているのは、個人の投資家が投資に失敗しても所得から相殺できるなど、日本の税制との違いが大きいと思われます。
そこで、日本のエンジェル税制の現状について伺います。
〔4〕 エンジェル税制の利用が意外に少ないのではないかと感じられますけれども、これは、制度が十分周知されていないのと、アメリカなどに比べてエンジェル税制の条件が要は厳しいため、そのためにエンジェルがなかなか思うように進まない。
そこで、ベンチャー企業に対する資金の供給を円滑化させるためには、エンジェル税制をもっと拡充させていくべきと考えます。例えば、現行のエンジェル税制では、個人投資家がベンチャー企業に投資して、損失を受けた場合には、これまでは他の株式譲渡益に限り通算して控除されますが、これを株式譲渡益以外の所得にも通算して控除できるようにする、あるいは損失の繰り延べ期間を、三年ではなくして五年とか六年とか、もっと長期にわたって延長させるなどの改善が必要であると思います。
こうしたエンジェルに対する税制の改善について、都としても積極的に国に働きかけをしていくべきだと考えますが、所見を伺います。
〔5〕 ベンチャーキャピタルやエンジェルによる資金供給が活発に行われるように、都も人力していただきたいと思います。
そうした点からも、都がCLOによる新しい資金調達の道を広げる取り組みを行ってきたことは、高く評価するものであります。CLOについては、我が党の三宅議員が質疑を行いましたので、ここでは中小企業制度融資について質問いたします。
創業者やベンチャー企業がすべて、出資等を通じて直接資金を調達することは困難だと思います。したがって、都が行っている中小企業制度融資についても、新規創業や経営革新など積極的な事業活動を行う中小企業の自助努力を支援するなど、中小企業金融を取り巻く環境の変化に対応した新たな役割を検討する必要があると考えます。
そこで都では、制度融資において、創業支援融資を設け、これから創業しようとする者や創業間もない事業者への融資を行っていますが、この創業支援融資の実績を、前年度の実績とあわせて伺います。
〔6〕 創業を志す人は多いと考えられているのに、融資の実績が現実には伸びていないのは、消費と市場が収縮状態にある中で、新規開業が難しくなっている点もあるかと思われます。
しかし、創業支援融資も、当該企業の技術性、市場性、経営者の能力等の非財務的な要素も踏まえて、無担保で融資できる限度額の改善なども必要なのではないでしょうか、伺います。
産業労働局長 〔1〕 平成十二年の中小企業白書によりますと、創業時の資金の調達先は、複数回答ではございますが、自己資金が七九%、金融機関からの借り入れが五三・四%、個人投資家、いわゆるエンジェルからの出資が三・三%、ベンチャーキャピタルからの出資が〇・六%となっています。
一方、日本の起業家が求めている支援者は、エンジェルについては六一・四%、ベンチャーキャピタルについては五六%になっております。
こうした調査結果からすると、エンジェルやベンチャーキャピタルに対する期待感の高さがうかがえます。
〔2〕 平成十二年度に、都は、中小企業総合事業団や東京中小企業投資育成株式会社などのベンチャーキャピタルと協力をして、東京中小企業投資事業有限責任組合及びジャイク・バイオ壱号投資事業有限責任組合の二組合を設立いたしました。この二組合の投資累計は、基金総額四十五億円のうち、既に六十五企業に対し四十四億円を超えております。
また、投資組合は、この投資のみならず、ベンチャー企業の早期成長を促進するために、企業のニーズに応じて、人事、財務、生産、販売など経営全般にわたる課題への相談や指導などの支援を行っております。
〔3〕 エンジェル税制は、中小企業に対する個人投資家、いわゆるエンジェルの投資を促進するため、平成九年六月に創設されたものでございます。
これは、一定要件を満たす企業の株式を取得した個人投資家が、当該株式の譲渡等によりまして生じる損益を、利益については課税対象利益を四分の一に圧縮でき、また損失については、当該損失を三年間にわたり繰り越しできる課税の特例制度でございます。
この制度の適用を受けた中小企業は、制度創設以来この三月初めまでで、全国で十六企業、都内企業では六企業となっております。また、これらの企業と投資契約を行ったエンジェルの数は、全国で二百二十六でございます。
〔4〕 個人投資家によるベンチャー企業への投資を促進していくためには、ご指摘のとおり、エンジェル税制の普及啓発とともに、個人投資家がより利用しやすいものに改善していくことが必要であると考えます。このため都は、ご指摘の点を踏まえて、国に対して制度の改善について働きかけてまいります。
〔5〕 創業支援融資の実績でございますが、今年度については、平成十四年二月末までで八百六十四件、六十五億八千万余円となっております。これを対前年同期と比べますと、件数で四百二十五件、金額で三十三億九千万余円の減となっております。
〔6〕 都は、創業者の計画性や技術力、市場性などに着目しながら、創業支援融資を実施しております。その際、無担保で利用できる限度額については、これまで、創業前の者については一千万円、創業後三年未満の者には一千五百万円までとしてきたところでございます。
今後、企業の成長段階に応じた資金調達の円滑化を一層推進するため、本年四月からは、無担保融資限度額を二千万円に引き上げるとともに、創業後五年未満の者まで対象を拡大する予定でございます。
〔1〕 臨海副都心は、そのまちとしての発展の中で、一昨年、パレットタウン、アクアシティお台場、さらには昨年の国際研究交流大学村と、次々に人を引きつける新たな付加価値を生み出し続けることで、吸引力を維持してまいりました。
今後とも、休むことなく魅力の創出に努め、東京全体の活性化の推進役を果たしていってもらいたいと思いますが、ことしはどんな魅力がこのまちに加わるのか、お伺いします。
〔2〕 臨海副都心の開発を単に局所的な開発とは考えず、その経済波及効果や雇用創出効果はいうに及ばず、知事がいわれるハブの地位を占め得るまちの開発であることをしっかり押さえておくべきであります。
この開発の判断基準の本質がどこにあるかといえば、これが東京の産業、経済にとって必要か否かであろうと思います。不必要な開発ならば、即刻中止して会計を閉じてしまえばよいわけで、逆に必要不可欠なものであるならば、どんなに苦労してでもやり遂げなければならないわけです。今さら引き返すこともできず、しかも東京にとって重要な役割を担いつつあるという厳然たる現実を直視するならば、答えは一つ、頑張るのみであります。
であるならば、景気の低迷が長引く中、この開発の財政を何としても立て直していかなければならず、まさにバブルの清算が求められているわけで、今回の財政基盤強化プランも、そうした脈絡において理解するべきであります。
このプランについては、我が党としても、都を挙げた大胆な見直しにより、一千三百四十億円もの支出削減を図るなど、一定の成果を上げたと評価いたしますが、バブルの清算という観点から、当局みずからはどう評価しておりますか、お伺いいたします。
〔3〕 バブル清算に向けて、昨年の三会計統合に続き、大きな一歩を踏み出したということかと思います。要は、今後これをどう実行に移していくかであります。このプランが絵にかいたもちとならないよう、都の総力を挙げて取り組んでもらいたいと思いますが、知事の決意をお伺いいたします。
知事 〔3〕 バブルの崩壊、しかもその後の総量規制という、非常に稚拙な、粗暴な国の対処のおかげで、臨海副都心に限らず、あちこちの大きなプロジェクトが大きな痛手を受けたわけでありますが、個々の責任でこれを解消しなくちゃいけないと思います。
いずれにしろ、船はもう既に出たわけでありまして、もとへ戻すのも難しいし、まして沈めるわけにもまいりません。そういうことでいろいろ手を尽くしてまいりましたが、今、局長からも答弁がありましたように、アクセスを含めて非常に新しい可能性がこれから芽生えてまいりますし、東京にとっていろいろな新しい可能性をはらんでいる地域でございますから、何とかこれを再生発展に向けて手を尽くして、育てていきたいと思います。
ちなみに、同じ東京でありますけど、あの隣接した汐留などに比べますと、私は、地政学的にも、アクセスの点からいっても、お台場というか、あの地域の臨海副都心の方が、左右前後に動きがとれる、また、他県からの来入者も非常に便宜な足を持ち得る可能性がありますので、必ず東京にとってのみならず国民全体の大きな財産となるものと確信しております。引き続き都の総力を挙げてこの開発、完成に取り組んでいきたいと思います。
港湾局長 〔1〕 四月には臨海トンネルが開通します。また、十二月にはりんかい線が全面開通することによりまして、臨海副都心への交通アクセスが飛躍的に向上いたします。これにより、これまで台場地区を中心に開発が進んでまいりましたが、これからは、青海地区、そして有明南地区が大きく発展していくものと考えております。
ことしは、この両地区に、ヨーロッパスタイルの庭園式結婚式場、体験型ショールームでありますパナソニックセンター、江戸文化をモチーフにした温泉テーマパークなど、若者のみならず、ファミリー層を含んだ幅広い年齢層をも呼び込む施設が次々にオープンいたします。このように、ことしは臨海副都心の魅力がさらに拡大する年になるものと確信をしております。
〔2〕 臨海副都心開発では、土地処分による多額の開発利益を見込み、レインボーブリッジや清掃工場の整備などに臨海会計が過重な役割を担ってまいりました。さらに、施設の整備水準も高いグレードに設定されたままとなっており、バブル期の考え方が現在まで色濃く残っていたのが現状でございます。
今回の見直しでは、会計の本来の役割に立ち戻り、維持管理費等の負担のあり方について見直すとともに、施設ごとに、その必要性も含め、整備内容や手法を一つ一つ検証し、その結果として、臨海副都心地域内の施設は原則として整備を凍結することにいたしました。こうした取り組みにより、バブル期の発想を払拭することができたものと考えております。
〔1〕 特に、区部初め市街化区域内を中心に行われる、いわゆる都市農業についてであります。都民に、新鮮で季節感豊かな農産物を提供しています。また、市街化区域内の農地は、都市住民が最も身近に触れ合える自然であるとともに、都市の中に豊かな緑の空間を形成し、安らぎや潤いをもたらします。
しかし、都市農業については、周辺の住宅化などに伴い、日照りや風通しの問題や、街路灯による農産物の生育障害など、生産環境の悪化が懸念されています。さらに、都市の農地に課せられる高額の相続税などは、農業者の営業努力ではあがなうことができない状況にあり、市街化区域内の農地の減少に拍車をかける結果となっております。
国はこれまで、市街化区域の農業については、農政のらち外とした姿勢をとり続け、施策らしい施策を行ってきていません。平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法では、都市農業の振興が明確に位置づけられましたが、国がどういう形で都市地域の農地を守り、都市農業の振興を図ろうとしているのかがいまだに見えてきません。
東京の農地については、その大半が市街化区域にあり、そのうちの七割近くが生産緑地に指定されていると聞いています。この比率は全国でトップであると思いますが、そうした意味でも、東京は都市農業のメッカとして全国をリードしていくべきと考えます。
そこで、都市農業を振興する観点から、その基礎的基盤である農地の保全策などについて何点かお聞きします。
市街化区域内の農地につきましては、ご承知のとおり、計画的に宅地化を図るべきものとして、農地としての現況にかかわらず、基本的には宅地並みの課税となっております。農地課税に比べ数十倍、時には百倍を超える重い税が課せられるとあっては、農業生産の収益によって農地を維持することは困難な状況にあります。
一方、市街化区域内にあっても、生産緑地については農地課税が適用され、安心して農業生産を続けることが可能です。つまり、都市農業、中でも市街化区域内の農業の存亡は生産緑地にかかっているといっても過言でありません。
そこでお伺いしますが、市街化区域内の農地は、現在の生産緑地法が施行されて以降、どのように推移しているのでしょうか、また、その減少をどう認識されているのか、伺います。
〔2〕 非常に多くの農地が減っているわけなんですが、都としても、都市の緑を守るとともに、都市農業を振興する上からも、生産緑地の追加指定を積極的に行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
〔3〕 その生産緑地の指定を受けるについて、例えば水耕栽培だとか、あるいは鉢でつくった場合には生産緑地としてはだめですよと、国のそういうあれがあるらしいですが、むしろ生産性を高めるという点において、農業従事者が一生懸命そこに励むのであるならば、そういうことにおいてもきちっと国の方にも、その制度が適用されるよう都としてどう考えるのか、お答えを願いたいと思います。
〔4〕 今後の都市農業における農地の保全と農業振興をどのように進めていくのか、お答えをお聞かせください。
産業労働局長 〔1〕 現行の生産緑地法は平成四年に施行されておりまして、施行直後の平成五年一月における市街化区域内の農地面積は約七千七十ヘクタール、そのうち生産緑地面積は約三千九百八十ヘクタールであったものが、平成十三年一月には、農地面積約五千六百六十ヘクタール、生産緑地面積約三千八百八十ヘクタールとなっております。
この間、農地面積は、千四百十ヘクタール、二〇%の大幅な減少でありますが、一方、生産緑地面積は、百ヘクタール、二・五%の減少にとどまっております。農地面積の大幅な減少の理由は、相続税などの高額な税負担が大きく影響しているものと考えております。
〔3〕 生産緑地に対しましては、相続税の納税猶予制度が特例として適用されております。しかし、水耕栽培施設の床にコンクリートが敷設されているものなどは、その土地が耕作できないことから、課税上、農地として認められず、納税猶予制度は適用されておりません。また、市民農園や他の農業者に貸し付けている場合には、農家みずからが耕作していないことから、猶予制度は適用されておりません。
これらの農地は、現実に農業のために利用されており、都としては、都市農業の振興を進める上で、納税猶予制度が実情に即して適用されるべきものと考え、猶予制度の適用拡大を国に対して提案、要求してきているところでございます。
〔4〕 都市地域の農地を保全していくためには、税制など解決していくべきさまざまな課題がございます。都市農業の振興については、こうした課題の解決とともに、農業を活力ある産業として育成することも重要であります。
このため、都としては、魅力ある農業経営者の育成を目指して、収益性の高いブランド農産物の生産や、乳製品の加工、販売など、農業者みずからの創意工夫を生かした多様な取り組みを支援してきたところでございます。
今後とも、都民が求める新鮮で安全な農産物を供給していくため、積極的に都市農業の振興を図ってまいります。
都市計画局長 〔2〕 生産緑地地区は、市街化区域内の農地等で生産緑地法の要件を満たすものを区市が指定をしておりまして、その追加指定につきましても、区市が定める緑の基本計画などに基づき行っているところでございます。都としても、都市環境の保全の観点などから、制度の適切な運用に努めていきます。
昨年の第四回定例会において、我が党の宮崎議員から、島しょ沿岸漁業者に深刻な影響を与えているまき網漁業の操業問題について質問したところであります。島しょにおける水産資源の漁獲量は、十年前に比べて半分に減少しており、漁業を取り巻く状況は大変厳しいものがありますが、ここで、これまで都として国に対しどのような働きかけをしたのか、また、その状況はどうかお伺いします。
産業労働局長 水産業の健全な発展のためには、水産資源の適切な管理と持続的な利用が重要でございます。このため、東京の海域においても他の海域と同様に、まき網漁業の操業禁止区域を設けるなど、適切な措置を講ずるべきものと考えております。
都としては、これまで、東京都漁業協同組合連合会や東京都島嶼町村会・議長会と共同して、まき網漁業の操業禁止区域を設定することなどを、水産庁長官を初め国に対し強く求めてきたところでございます。私も、これまで二度にわたりまして水産庁長官にお会いし、申し入れをしてきたところでございます。
国は、現在、内容について検討中とのことでございますが、これまでの国との折衝においては厳しい状況でございます。