平成14年第1回定例会各会派討論

東京ERは医療スタッフ充実など
環境づくりが不可欠

谷村孝彦

公明党 谷村孝彦

 私は、都議会公明党を代表して、知事提出議案第一号議案「平成一四年度東京都一般会計予算」ほか、二〇議案に付帯決議を付して賛成し、また、第一五五号議案「職員の給与の特例に関する条例」ほか、一議案に対する、民主党からの修正案に反対し、その他の全ての議案に、賛成の立場から、討論を行います。
 平成十四年度東京都予算は、長引く経済不況のもと、都税収入が三千六百億円減と大幅に落ち込み、一般会計全体では、対前年度比四・八%減という、緊縮型予算となっております。
 さらに、「隠れ借金」や今後の退職手当の増大など、都財政の先行きは、予断を許さない状況にありますが、我が党は、徹底した行財政改革により、都の財政構造を変革するとともに、限られた財源を有効に使いながら、景気、雇用、福祉、環境、教育、首都再生などの諸課題の解決と、さらに都民生活の明るい将来展望を、開くことができる予算となるよう、主張してまいりました。
 その意味で、財政再建推進プランの達成を目指して、職員定数及び給与関係費の削減を初め、管理事務費等の削減、監理団一体の統廃合などを行った結果、五千七十五億円の財源を捻出し、それを、新たな都民サービスの向上に充てたことを、評価するものであります。
 さらに、今日の最大課題である雇用、中小企業、観光振興、都市再生などの重要施策には、財源を優先的に配分する一方、都民生活を守る観点から、生活環境分野で四・七%増、福祉・保健分野では、構成比において過去最高の一二%とするなど、工夫の跡が伺われ、その努力を多とするものであります。
 なお中長期の財政再建戦略としては、都財攻においてもバランスシートの活用が不可欠であり、今後は、複式簿記と発生主義会計を導入し、真に機能するバランスシートを作成すべきであります。
 また、今定例会のもう一つの焦点であります、外形標準課税訴訟についてであります。
 財政危機にある都独自の試みが、違法と判断されたことは、誠に残念であります。
 しかし、敗訴したとは言え、地方分権の流れの中で、自治体の課税自主権を、広く認識させた意義は、大きいものと確信致します。
 今後はすかさず訴訟すべきであり、我が党は、知事と共に、この判決を機に、抜本的な税制改正を国に、強力に要求していく決意であります。
 福祉・医療対策について我が党は、厳しい財攻状況下にあっても、一律に削減すべきではないとして、財源対策を含めて、具体的な提案を行ってまいりました。
 これに対し都は、このほど「東京福祉改革ステップ2」を新たに策定し、認証保育所の推進による待機児解消、痴呆性高齢者「グループホーム」の整備、生きがい支援型サービスの充実など、我が党の提案が数多く実現されております。
 また本年、「都立病院改革マスター・プラン」が発表されましたが、実施に当たっては、地元自治体や、地域住民の二-ズに配慮した、きめ細かな対応が、極めて重要であります。
 なお小児病院の統廃合に当たっては、地元自治体や、地域医療機関と、十二分に協議を尽くし、地域に必要な小児医療の確保に、万全を期すよう要望しておきます。
 また、東京ERについては、医療スタッフの充実と、周辺の地域医療機関との連携で、ER本来の救急医療に専念できる、環境づくりが不可欠であります。
 中小企業対策については、日本経済を第一線で支える、中小企業の再生・支援策の一つとして、我が党は「東京産業再生プロジェクト」の立ち上げ、臨海地域における「経済特区」構想の実現、敗者復活のための「再チャレンジ支援システム」の構築など、東京の製造業、そして中小企業に、光を当てる数多くの提案をしてまいりました。
 また商店街振興対策については、元気を出せ商店街事業の予算が確保され、商店街活性化事業も大幅に拡充されました。
 観光産業の振興については、観光資源開発への取り組み、さらに、我が党が提案した「ウエルカムカード」によって、ワールドカップ等で来訪する観光客への、文化施設利用料金割引サービスなどが、実施されることになりました。
 住宅政策においては、建替え・スーパーリフオームの推進に取り組むとしておりますが、今後は、地域におけるソーシャル・ミックスに着目した、住宅政策を確立し、住宅・住環境の整備に、当たっていくべきであります。
 教育については、高校中退者を出さない、新たな学習意欲を育む「スーパー・チャレンジ・スクール」が、我が党の提案を反映して、十四年度中に、二校が指定されることになったことを評価致します。
 さらに、我が党は、一貫して教育における、私学の果たす役割の重要性を強調してまいりましたが、十四年度予算においては、我が党の主張を反映して、私立幼稚園経常費補助の標準的運営費を五○%にするとともに、私立幼稚園の父母負担軽減措置については経過措置を設け、また同時就園の第二子・第三子については、従来の補助単価の継続を行うことになり、高く評価するものであります。
 環境問題については、十五年十月から、国に先駆けて、ディーゼル車の粒子状物質(PM)の規制が始まります。
 DPFの装着費補助の実施、DPF価格の低廉化と供給の安定、信頼性や耐久性の向上などに、万全を期すとともに、都に流入してくる車両への、効果的な規制策が必要であります。早急に関係自治体との協力関係を築き、共通の条例施行に全力で取り組むべきであります。
 新年度予算案には、首都圏の再生と都市基盤整備の一環として、渋滞対策としての効果満点道路整備事業、鉄道の連続立体交差化の推進、区部環状・多摩南北道路の整備、首都圏の航空機能の充実、「アジア大都市ネットワークニ十一」の推進など、多くのプログラムが盛り込まれており、事業の積極的な推進を、強く要望するものであります。
 この際、職員給与削減措置について申し上げます。
 我が党は、この問題については、一貫して、不況に苦しむ納税者である「都民の心情」と、都攻の最前線で働く十八万「都職員の心情」を考慮し、一目も早い労使合意がなされるよう主張して参りましたが、この度の労使合意に基づく、新たな知事提案を評価するものであります。
 なお、付帯決議にあるように、今後とも、厳しい都財政の状況に対応し、労使協議の努力を、引き続き、払われることを要請しておきます。
 最後に申し上げます。十四年度予算は、都財政を取り巻く、厳しい制約条件の中で、しかも、都民の皆様の汗と涙の税金を頂き、編成された予算であります。
 予算の執行に当たっては、景気・雇用など、都政の緊急課題の解決と、活力と希望の持てる都民生活に連動するよう、その経済波及効果をしっかりとカウントし、進行管理を厳正に行いつつ、取り組まれるよう強く要望し、公明党を代表しての討論を終わります。

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