平成14年第1回定例会各会派討論

職員定数削減や監理団体の見直し等
都民の要望に応えている予算と評価

真鍋よしゆき

自民党 真鍋よしゆき

 私は、東京都議会自由民主党を代表して、今定例会に提案された議案中、第155号 議案「職員の給与の特例に関する条例」、第156号議案「学校職員の給与の特例に関する条例」及び第158号議案「指定金融機関の指定について」に付帯決議を付して賛成し、その他の知事提出議案については全議案賛成の立場から討論を行います。
 まず、東京都一般会計予算について申し上げます。
 我が国経済は、政府の景気対策やデフレ阻止に向けた強い取り組みなどにより、株価の上昇など明るい兆しもみられ、景気の底打ちという言葉も、少しづつですが耳にするようになりました。しかしながら、依然、失業率はこれまでにない高さで推移し、東京の経済や雇用を支え、地域社会を支える中小零細企業の経営は大変厳しい状況下におかれております。
 平成十四年度予算案の審議は、このような経済状況のもとで行われました。
 知事は今回の予算を、「東京が直面する危機に積極的に対応する予算」と位置づけ、財政再建への取組をより一層進めると同時に、首都圏の再生と都民生活の不安を解消するための優先課題に財源を重点的に振り向け、積極的に取り組むことを基本に編成されたとしています。
 我が党も、職員定数の削減や監理団体への支出の見直しなど厳しい内部努力や、経常経費・投資的経費の見直しなどにより財源を捻出しつつ、首都東京の再生に向けた都市基盤の整備や雇用・中小企業対策、福祉改革の推進など都政の重要課題には適切な対応が図られており、都民の切実な要望に正面から応えている予算であると評価しております。
 次に、予算特別委員会及び各常任委員会の中で行われた議論を踏まえて、各分野の重要事項について申し上げます。
 まず、歳入について申し上げます。
 都税収入についてでありますが、十四年度予算案における都税収入は、四兆三百四十二億円と、前年度に比べて三千五百六十二億円、八.一%の大幅な減となっております。
 その主な要因は、国内外の景気の大幅な悪化による影響などによる、法人二税の大幅な落ち込みであります。景気や企業収益の回復に楽観視が許されない状況のなか、引き続き、税収の安定確保に向けた取り組みを要望いたします。
 次に、都債でありますが、三千七百十五億円と、前年度に比べ百三十八億円の増を見込んでおります。起債依存度は六.三%にとどまるなど、都債の抑制基調に変わりはないものと考えますが、将来の都税収入に期待を寄せることが難しい中で、今後、都債の大量償還時期を迎えることから、引き続き都債発行の抑制に努める必要があります。
 次に、基金についてでありますが、財政調整基金及び社会資本等整備基金から、あわせて千三百五十四億円の取り崩しを行った結果、両基金の残高はあわせて二千億円となり、都財政の規模からすれば心許ない水準となっております。
 一方、果実活用型の基金については、全体として約千四百億円もの規模がありながら、低金利時代を反映して、その特性が十分発揮できなくなっております。資金の有効活用という観点や社会経済状況の変化を踏まえ、果実活用型基金も含め、基金のあり方について、十分に検討されるよう要望します。
 歳入の最後に、税財政制度の改善について申し上げます。
 外形標準課税に関する訴訟の東京地裁判決が、一昨日行われ、都側敗訴という結果となりました。今回の外形標準課税は、都財政にとって安定的な税収の確保が急務である中で、地方税法の規定に基づき都が課税自主権を行使し導入したものであり、都民の代表である都議会で審議を行い、圧倒的多数により可決成立したものであります。
 地方自治の根幹であり、地方分権を推進するためにも、課税自主権の確保に向け、都議会とともに、この裁判を戦い抜かれることを要望します。
 さらに、地方自治体が、自らの権限と財源により地域の実状にあった施策を柔軟に展開するとの地方分権の理念が、名実ともに実現するよう、引き続き税源移譲など地方税財政制度の抜本的な改善に向けて、国に対して強く働きかけられることを要望します。
 歳出について申し上げます。
 はじめに、首都圏再生への取り組みについてでありますが、首都東京が国内外の激しい都市間競争に勝ち残っていくためには、経済のグローバル化など時代の流れを的確にとらえ、国際競争力の向上に向けて都市としての機能を強化していく必要があります。
 環状第8号線や調布保谷線など区部環状・多摩南北方向を重視した幹線道路網の重点整備や、りんかい線などの公共交通網の整備、効果満点道路事業や鉄道の連続立体交差事業の推進による交通渋滞解消への取り組みなど、投資効果の高い事業を一層推進されることを要望します。
 次に、雇用・中小企業対策でありますが、経営基盤の脆弱な中小企業等に対する緊急・特別な支援として、知事の英断により十四年度については、小規模な非住宅用地を対象に固定資産税、都市計画税の減免が図られることとなりましたが、さらに東京の経済が将来にわたり発展していくためには、雇用の創出や中小企業の支援・育成などを通じて、人材や技術など東京の潜在力を有効に活かしていく方策が求められております。
 緊急地域雇用創出特別基金事業や中高年リストラ対策など、雇用対策を推進するとともに、制度融資の充実や商店街の活性化対策など中小企業対策の一層の推進を要望します。
 次に、臨海副都心開発についてであります。
 臨海副都心は、お台場や国際展示場など商業・観光スポットとして、また生活の場として賑いを増しており、まさに都民共有の財産であります。今後とも、「財政基盤強化プラン」に基づき、臨海副都心をはじめとする東京臨海地域の整備に着実に取り組む必要があります。
 なお、ある会派は、臨海副都心開発を破綻していると決めつけ、あたかも浪費・無駄使いの象徴として扱っておりますが、臨海副都心開発の意義やこれまでの都の取り組みを全く理解していない無責任な批判であり、とうてい看過できるものではないことを申し上げておきます。
 次に、環境対策について申し上げます。
 東京が都市として持続的に発展していくためには、大気汚染や有害化学物質による健康被害をくい止めるとともに、温暖化防止など環境対策が不可欠であります。
 事業者の負担軽減にも十分配慮しつつ、低公害車の導入やディーゼル車規制などを着実に推進するとともに、水資源の涵養や大気保全といった森林が持つ多面的機能を守るため、新たに環境の視点から、荒廃している多摩地域の森林の再生に取り組む必要があります。
 次に、都市の安全について申し上げます。
 東京は、急速な都市化の過程で生じた木造住宅密集市街地が未だかなり存在しています。また、凶悪化し、増加する犯罪や雑居ビル火災対策などへの対応も喫緊の課題です。
 今回の予算案には、こうした状況を打開するため、新たな防火地域制度の創設など災害に強いまちづくりに向けての施策が盛り込まれております。また、警察官の増員や、新宿歌舞伎町の雑居ビル火災を教訓に、火災予防査察業務の強化にも取り組むこととされております。なお、日本社会事業大学跡地の利用計画策定にあたっては、地元区等と十分な 協議を行うことを要望します。
 今後とも都市の安全に向けて、万全な取り組みをお願いします。
 次に、福祉対策についてでありますが、本格的な少子・高齢社会を迎え、都民ニーズの多様化・高度化にきめ細かく対応し、利用者本位が徹底された「地域での自立を支える新しい福祉」の実現は、ますます重要になっております。
 十五年度に障害者施設が措置制度から支援費制度に移行することを踏まえ、受け皿となるデイサービスセンターや知的障害者生活寮などの施設整備を促進するとともに、「暮らしの福祉インフラ緊急整備」や認証保育所の一層の拡充など、「福祉改革」の取り組みを、引き続き、強力に推進することを要望します。
 なお、ある会派はこれまでの福祉施策の継続に固執する余り、私ども都議会の議決を得、市区町村も含め着実に実施している案件について元に戻せなどと主張しておりますが、全く時代認識を欠き、無責任な議論であることをこの場を借りて強く指摘しておきます。
 次に、医療対策についてでありますが、 二十四時間いつでも、どこでも、安心できる保健・医療体制の実現は都民の切実な願いであります。精神科救急医療体制や「東京ER」の整備にしっかり取り組むとともに、東京全体の医療サービスの向上や患者中心の医療を一層推進するため、「都立病院改革」マスタープランの早期実現を図る必要があります。
 次に、教育問題についてであります。
 次代を担う子供たちに対し、正義感や倫理観、思いやりの心を育む教育を行うことは、我々大人の責任であります。そのためには、家庭・学校・地域が緊密に連携し、「心の東京革命」の本格的な事業展開を図るとともに、青少年健全育成対策を積極的に推進すべきであります。また、都立高校改革や都立4大学の改革など、東京の教育の立て直しにしっかり取り組むことを要望します。
 次に、多摩・島しょ振興であります。
 三宅島の噴火以来、約1年半にわたり慣れない場所で避難生活を強いられている三宅島島民の方々に対し、引き続き生活支援をはじめとする都として最大限の対応を実施すべきであります。また、三宅島を始め、神津・新島等の復旧・復興に向け、引き続き適切な対応を求めるとともに、島しょ地域の振興に向けて、観光や農林水産業の育成・発展に、しっかり取り組まれることを要望します。
 さらに、多摩地域の振興にあたっては、都市基盤整備を着実に推進するとともに、市町村合併への支援や、市町村の創意と地域特性を活かした諸施策の推進に努められることを要望します。
 最後に、「職員給与の特例条例」の改正については、平成十五年八月以降も、都財政の状況や社会経済情勢如何によっては給与削減の協議が必要なこと、また、「指定金融機関の指定」についても、都の施策や、地域経済社会への貢献を踏まえるべきであることなど、必要な対応策を講じることを要望し、付帯決議を付すことといたしました。
 以上、十四年度予算案に関連して申し上げてきましたが、我が東京都議会自由民主党は、危機的な財政状況にあっても、首都東京の再生により都民一人ひとりが夢と希望を持ち続けられるような輝かしい社会を築き上げていくことを目指し、今後も引き続き、首都圏の再生や都民生活の不安解消など都政の緊急課題に全力をあげて取り組んでまいります。
 そして、十四年度が、二十一世紀に明るい日本を展望する第一歩となりますよう、全力をあげて取り組む決意であることを申し上げ、私の討論を終わります。

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