平成14年第1回定例会各会派討論

食品安全行政の更なる充実に
取り組まれることを求める

河西のぶみ

民主党 河西のぶみ

 私は都議会民主党を代表して第一五五号議案、第一五六号議案に反対、第一号議案、第一一号議案、第一二号議案、一七号議案から第三一号議案、一五八号議案については付帯決議を付して原案に賛成、その他の議案については原案に賛成の立場から、討論を行います。
 まず冒頭に昨日言い渡された銀行業に対する外形標準課税に関する判決について述べさせていただきます。
 東京地裁は東京都が定めた条例を無効とし銀行側が既に納付し、税金並びに損害賠償金を支払うよう命じました。
 東京都の全面敗訴であり課税自主権が認められず極めて残念と言わざるを得ません。
 自治体の課税自主権を拡充していくためには、今回の銀行業に対する外形標準課税も含めて、自治体がその課税権を行使することによって、税制は国が定めるという既存の固定観念を覆していくことが重要であります。しかし、今回の判決は、そのために乗り越えなければならない大きな壁となります。
 都議会民主党としては、この判決によって都の財政運営に不確実な要素が生じたという意見や、その対策の必要性を主張する声もあります。今後の裁判の過程を、冷静に注目しつつ引き続き自治体の東京都の課税自主権拡充に努めていくことを表明させていただきます。
 次に、第一号議案「平成十四年度東京都一般会計予算」について申し上げます。
 十四年度予算案は、既存の施策を聖域なく見直すとともに、重要施策を選定し、財源を重点的に振り向けることによってメリハリのある予算編成を行っている点は評価できるところですが、重要施策の選定基準や財源が不明確だったため、選定された事業が総花的な嫌いがあります。今後も同様の手法を講じられる場合は、目標、基準、財源を明確にして取り組まれるよう求めるものです。
 また、政策的経費である一般歳出を四兆三七六三億円確保し、福祉と保健に七○六七億円、教育と文化に九七五八億円あて、それぞれ構成比を高めるなど、限られた財源を都民福祉の向上に重点的に投じていることを評価されて良いと考えます。
 その一方で、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し・再構築などの財政再建の取り組みを進めていますが、事業評価にバランスシートが活用しきれていないなど、十三年度から本格的に実施された行政評価制度の活用が不十分で、施策の見直し・再構築に的確に反映できたとはいえません。今後、施策の見直し・再構築を都民とともに考え、実行していくためにも、事業毎に行政コスト計算書や貸借対照表などの事業別バランスシートを作成し、行政評価制度に組み込んでいくことが必要だと考えます。
 いずれにしても、東京都の財政は都税収入の主要な部分を、法人二税が占めるため、景気動向に大きく左右されています。地方税財政制度の抜本的改革が強く求められるところですが、同時に、今後の都政の安定的運営を確保するために、バブル崩壊以降のこれまでの経験を総括し、財政運営の基本原則を定める条例の制定をも視野に入れるべきです。
 次に、第五十八号議案「東京都消費生活条例の一部を改正する条例」について申し上げます。
 近年消費者を取り巻く状況は急速に変化し、特に大消費地である東京都においては深刻です。青少年をターゲットとする、携帯電話によるインターネットサービス等を利用した、悪質商法の被害が激増しています。このたびの条例改正で、手続きの簡素化・迅速化が図られます。今後の運用に関しては、消費生活センターの再編等とあわせて、被害者の迅速な救済と、悪質業者の摘発等を通じて、条例前文にもうたっている「健康で安全かつ豊かな生活」に資するよう取り組みを求めるものです。
 また、消費者行政に関連して、昨今社会問題となっている食品の偽装表示問題に対応するために、東京都として食品安全行政に一体的に取り組むとともに、食品衛生法及びJAS法の改正やトレーサビリティーの実現などを国に働きかけるなど、食品安全行政のさらなる充実に取り組まれることを求めておきます。
 次に、第九十八号議案「東京都動物の保護及び管埋に関する条例の一部を改正する条例」について申し上げます。昨今、私たちと動物とはパートナーとして深い関わりをもって生活しています。動物とよりよい関係をつくり、動物が命あるのものであることを再認識し、共に生きる社会を目指す必要があります。一方で適切に飼養されるよう飼い主が動物の習性をよく理解し責任を持つことが求められています。
 これらをあわせ、動物を保護・管理の対象である物から、生命あるものとした真に「愛護」の対象としたこのたびの改正の精神にのっとった運用を求めるものです。
 次に、第百二十九号議案「東京都船舶の係留保管の適正化に関する条例」について申し上げます。
 この条例は、プレジャーボートや工事用作業船、屋形船などの放置船舶に対して移動措置などを規定するとともに、所有者等に係留保管場所の確保や船舶の適正な管理に関わる責務を明確にしたものであり、こうした問題に正面から取り組もうとする東京都の姿勢は評価するものです。一方、保管場所の義務化など、より実効性のある施策の実施も求められますが、そのためには係留保管施設を整備していかなければなりません。
 係留保管施設の整備は、PFIの活用などによってコスト削減を図るとともに、特に、プレジャーボートについては、都民の理解が得られるよう、所有者に対して適正な利用料を課すべきだと考えます。また、営業船の中でも、屋形船については、伝統的な江戸の風物詩の流れをくむ庶民の憩いの場であり、貴重な観光資源であることを踏まえ、関係者と十分協議しながら、適正な船舶の管理に努めていくことを求めておきます。
 次に、第一五五号議案、一五六号議案について述べます。
 私たちは、これまでにも東京都職員の給与については、労使の合意が必要としてきましたが、これは、人事委員会勧告にもかかわらず、それ以上の所謂不利益処分を行うには当事者である労使の合意が必要であるという、ごく当たり前の主張をしてきたにすぎません。
 これを、一部に労使が合意すれば何でもできる、或いは労使合意がなければ何もできないかのごとく曲解する向きもありますが、私たちは、あくまでも東京都職員の給与について、人事委員会勧告にもかかわらず、それ以上の所謂不利益処分を行うには当事者の合意が必要であるとしているのであって、労使合意一般について言っているのではありません。
 その点で、第一五五号議案、一五六号議案において、労使合意に基づいて一般職員の給与削減措置を定めていること自体は評価するものでありますが、それに併せて管理職職員の給与削減措置の実施時期を遅らせていることには疑問を持たざるを得ません。同時に、四月以降も継続して給与削減措置を実施するよう求めていた自民党・公明党が、このような内容に素直に同意するのもまた不可解であります。
 そこで私たちは、指定職職員、管理職職員については、四月一日より実施することを求める修正案を提案させていただきました。期間を平成一五年三月三一日までとしているのは期間を一年間とすることについて、昨年の第四回定例会に知事自ら条例案を提案したことから、指定職職員、管理職職員の合意事項と見なせること、また、平成一五年三月三一日以降の措置については、指定職職員、管理職職員自らが判断すべきことであるからであります。
 このような内容であれば、自民党・公明党の皆様にもご理解いただけると考えます。是非ご賛同いただきますようお願いいたします。
 最後に、本年は我が国でもワールドカップ・サッカー大会が開催され、多くの外国人の来訪が予測されるなかで、フーリガン等による各種不法事件、また、国際テロの発生さえ懸念されています。
 さらには、不法滞在の外国人による組織的な凶悪事件が、頻繁に起きている現状に鑑み治安対策には万全を期すよう、強く要望しておきます。
 また、先進国の名に値しない代用監獄を早急に解消し、かつ、犯罪の増加に伴う拘置所、刑務所不足を早期に是正するよう国に対して強く働きかけるよう求めるものです。
 私たちは、それぞれの警察署に必要な留置場を増設することについては決して反対するものではありませんが、地元の意見を尊重することが重要であります。また、代用監獄の増設は容認できるものではありません。同時に、都民が求めている安全対策は、あくまでも犯罪抑止のための対策強化であることを、強く、申し添えておきます。

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