“冬来たりならば春遠からじ”というイギリスの詩人の言葉どおり、季節はもうすでに春。 きっとどこかで春の到来を告げるつくしやふきのとう、たんぽぽたちの芽がぬくぬくと 顔を出しているにちがいない。 そこで今回の東京こだわり散歩道は、そんな可愛らしい春の訪れを一足早く見つけに、 荒川沿いのとっておきの散歩道をご紹介しよう。 スタート地点は営団地下鉄東西線西葛西駅。 まずは、駅から10分ほどの「虹の公園」へと足をのばしてみたい。 園内にある噴水の滝をみつけたら、滝のなかをくぐりぬけてみよう。春のうららかな陽光に反射した 水しぶきが七色の虹の輝きをみせてくれるはず。 「虹の公園」からは、「葛西臨海公園」までのびる散歩道でのんびりウォーキングを楽しみたい。 途中、「わかくさ公園」に立ち寄って壁打ちテニスで一汗流すのもいい。 一汗かいたところで、今度はいよいよ「荒川土手」で春の小さな訪れを満喫したいところ。 わかくさ公園から5分ほど歩けば、そこはもう春の匂いでいっぱいだ。 子どもの頃を思い出して目を虫眼鏡にして土手をのぞいてみよう。 おやおや、むくむく飛び出すとんがり頭は何?そう、つくしんぼだ。 その隣にいるのはフリルのついたベビー服を着たふきのとう。 小さな金色のボタンを付けているのはたんぽぽの娘たち。 ほのぼのとした春の荒川土手で、街角ではみられない小さな自然を再発見してほしい。 続いては土手沿いのウォーキングを楽しみながら「新左近川」へと向かおう。 「新左近川親水公園」では区内初のボート場のほか、デイキャンプができる芝生広場もあり、楽しみ方はいろいろだ。 さてさて、いよいよ春の散歩道もそろそろ佳境へと。 全長55メートル、幅6.4メートルの今にも飛び立ちそうなかもめの姿をみせる「穴喰橋」(通称:かもめ橋)をわたり、 15分ほど行けば、そこは一面、春の静かな海が広がる「葛西臨海公園」だ。 海を丸ごと一望したい方は巨大観覧車がおすすめ! 冬の面影が残る春の静かな海がロマンティックなひとときを提供してくれるはず。 向こうにみえる「葛西臨海水族園」で魚と戯れるのもいいかも。 散歩道の終着点は、夕暮れどきに一度は訪れてみたい「西なぎさ」。 黄昏れどきに輝海の色にきっと目を奪われることまちがいなし!
文/麒麟
写真/武居英俊