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あつまれ!都民仲間

『市民活動のためのワークショップ』

アートを通して
人間の可能性を追求する
新しい時代の
ヒューマン・ムーブメント 
アトリエポレポレ1枚目
社会の芸術化、芸術の社会化をめざして

 エイブル・アート・ジャパンの前身は、1993年9月から12月にかけて、各地で活動をスタートした「障害者芸術文化ネットワーク準備委員会」である。この活動を推進していくに当たって浮かび上がってきた問題があった。それは、それぞれの活動を結び交流を活発化させていくための全国横断的なネットワークがないという点だった。 そこで、1994年にこれまで障害のある人たちの芸術文化運動に携わってきた人々が力を合わせて「日本障害者芸術文化協会」を設立。1995年からは、「エイブル・アート・ムーブメント(可能性の芸術運動)」を(財)たんぽぽの家と共に提唱している。
 これまで東京都美術館で2度にわたる「エイブル・アート展」の開催をはじめ、各地で展覧会やシンポジウム、ワークショップなどを開催。2000年6月には「エイブル・アート・ジャパン」に名称を変更し、エイブルアートの精神を全国の人々と共有するための新たなネットワークづくりを推進している。
 エイブル・アート・ジャパンでは、障害のある人たちが様々な表現活動を通して、生きる喜びを発見していくことをバックアップしていくとともに、彼らの感性から発信されるみずみずしい表現力が、社会に新しい芸術観や価値観をつくっていくことを活動の主な目的としている。これまでに、全国公募展、企画展、フォーラム、実験的アトリエ活動、調査研究事業、支援事業、出版など様々な活動を展開しており、活動を支える会員数は、現在約400名となっている。 
アートが可能にした新しい出会い

 人間には誰にでも、何らかのかたちで創造表現をしてみたいという欲求がある。そして、表現活動を通して自己実現し、他者に存在を認められたいという思いがある。 しかし、これまで創造活動は、特別な才能を与えられた人や恵まれた環境にある人だけに、その表現活動の場があると思われがちだった。
 障害のある人たちが創造するアートは、こうした既成概念をみごとに打ち破り、新しい表現の世界を多くの人たちの前に表してくれた。彼らは創造活動を通して、それまで拓かれていなかった自らの思いをアート作品として表現する機会を得た。さらに、障害があるということで「適性がない」と誤解されてきた「アートによる自己表現の世界」をごく日常的なものとして楽しむ喜びをも得たのである。
 彼らはアートを通して、人や自然、そして社会との新たな出会いを体験した。
 アートは人間を解放し、生きようとする意欲を呼び覚ます。それは、アートに様々な条件を超越して、人の心と心を瞬時に結びつける不思議なパワーがあるからだろう。
アトリエポレポレ3枚目 アトリエポレポレ4枚目
アトリエポレポレ5枚目
心を病む人の癒しとしてのアート

 障害のある人たちの表現活動の中で、もっとも情報が少なかったのが、心を病んでいる人たちの表現活動についてだった。エイブル・アート・ジャパンでは、この分野においても積極的に独自の調査研究を進めてきた。2000年には調査研究委員会を設置。
 1年をかけて実態調査等を実施し、それぞれの現場が抱えている問題点や今後の対策を整理した。この調査活動の具体的成果となったのが34年間にわたって東京の精神病院で絵画教室を実践してきた安彦講平氏の軌跡である。安彦氏の活動の具体的な方法は「癒しとしての自己表現」という1冊の本にまとめられ、その信念や精神を伝えることができた。一般的に治療・療法的立場で患者に関わるケースが多い中、安彦氏は彼らを同じ表現者としてとらえ、一人一人と真摯に向き合ってきた。この活動は、障害の種別や有無を超えて、すべての人々に表現活動の意味を訴えかけるものとして高く評価された。 2001年3月には、一連の取組のまとめとしてフォーラムを開催。このイベントは新聞発表される以前に申込みが殺到し、当日は入場を断るほどの盛況だった。この反響の大きさは、人間の心にとって表現とは?癒しとは?数々の問題を多角的な視点でとらえた、これまでにない画期的な企画が多くの人の関心を呼んだ結果だろう。
 この他にも、企業メセナ活動による「アートフォーラム」「ワークショップ」を各地で開催している。資金、人材、プログラム開発など様々な面で全面的支援を受けたかたちでのこうした取組は、企業とNPOを結ぶ新しいスタイルとして各方面から大きな注目を集めている。
アトリエポレポレ6枚目 アトリエポレポレ7枚目
アートスペースをもっと確保したい

 障害のある人が創造的な活動を行うためには、それなりのスペースが必要になってくる。どこかの場所をアートスペースとして使用するためには、建物に段差などがないなどの物理的なバリアフリーはもちろん、その場に、差別や偏見がないといった精神的なバリアフリーも重要である。たとえ物理的に厳しい条件であったとしても、彼らがその場所で創作の喜びを見い出すことができるのであれば、そこはアートスペースとしてふさわしい機能をもっていることになる。
 現在、こうしたアートスペースとしては、東京では中野区に「アトリエポレポレ」がある。
 ここでは、小学校入学前の子供から中高年の人まで、車椅子の人も、知的障害のある人も、障害の有無や年齢職業に関係なく、様々な人たちが月2回、自由に作品づくりを楽しんでいる。
 「アトリエポレポレ」には現在50人のメンバーが登録しており、毎回20人程度の人が参加している。 ポレポレは当初、協会の事務局であるオフィスビルを使用していたが、現在は事務局の並びにある専門学校のアトリエを使用している。専門学校のアトリエが使えるようになったのは、学校側が学生だけを対象にするのではなく、社会人を中心にした生涯教育や地域活動にも関心を持ち、学校経営のための戦略として積極的に取り組んでいるからだ。
 最近では福祉の現場をはじめとする様々な場所で、障害のある人たちが創作活動をするアートスペースをつくろうという多様な動きが生まれつつある。
アトリエポレポレ8枚目
援助することで大きな夢を共有できる!

 障害のある人たちの創造活動を推進していくには、彼らが個々に持っている能力を発揮しやすい環境づくりが必要だ。さらに、人材は重要である。身体的、知的、精神的な障害に対して、それぞれの障害を認識しながらも、それにとらわれることなく、あせらず気長に彼らの心に働きかけ、可能性を引き出していかなければならないからだ。
 人間同士として対等に向き合い、創作意欲を高め、表現しようとする気持ちを理解し、支援していく姿勢からは、人間対人間の新たな関係性のあり方が見えてくるかも知れない。現在、協会の活動をバックアップしているのは、プロのアーティスト、教育関係者、施設勤務経験者、ボランティアなどの人たちである。
個々の可能性を引き出すには

 「アトリエポレポレ」に限らず、日本におけるNPO活動にとって最大の課題は運営資金の確保である。数々の企業や個人から資金や物質援助を受けているが、援助する側にとって、こうした好意は単なる援助にはとどまらない。事務局の太田さんは「援助することで大きな夢を共有し、目的に向かって心をひとつにすることができる喜びがある。また、寄付や助成を受けることは、活動の存在を不特定多数の人に知ってもらうための最大のPR活動でもある」という。
 エイブル・アート・ジャパンは、アートムーブメントを通して、新しい動き、新しい視点で福祉の世界に少しずつ、しかし、目に見える変化をもたらしていくだろう。様々な新しい試みによって、コミュニティづくり、街づくり、やがては新しい文化づくりをも可能にすることができるに違いない。今後の活動を大いに期待したい。
全国公募展「ワンダー・アート・コンテスト2001」入選作品
■エイブル・アート・ジャパン 中野区

7月 「エイブル・アート・ワークショップ2001」
8月 エイブル・アート・アワード展覧会支援の部入選作家展
   「エイブル・アート・フォーラム千葉」
秋  全国公募展「ワンダー・アート・コンテスト2001」入選作品展
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