ハイセンスなアパルトマン出現!
ノスタルジーとロマン溢れる街 代官山
“ミレニアム”で湧いた今年2000年も残すところあとわずか。今世紀最後の年の瀬を迎える
東京の街にも、過ぎゆく時代を惜しむかのように、どこかノスタルジーな優しさが漂う。20世
紀の記憶と21世紀への希望―そんなノスタルジーとロマンが錯綜する東京の街に今年、また一
つ新しい東京の顔が誕生した。東京でもっとも“アパルトマン”(パリの街の高層アパート)
という言葉の響きが似合う街と聞けば、おしゃれに敏感な方はもうお気づきのはず。そう、モ
ダンでハイセンスな街、『代官山』のことだ。
代官山といえば、そもそも、この地にかつてお代官さまの屋敷があったのがその地名の由来
とか。そんなお代官さまの住んでいた“代官山”のイメージは、昭和の時代からは、ある有名
なアパルトマンに象徴されることになる。そのアパルトマンとは、そう知る人ぞ知る、今は姿
を消してしまった『同潤会アパート』だ。関東大震災後の昭和2年に建てられた同潤会アパート
は、レトロでありながらモダン感覚に溢れ、古いものと新しいものが混在するこの街のシンボ
ルだった。長年、多くの人々に愛されてきたこのアパートも老朽化が進み、再開発へ向けてそ
の歴史にも幕を閉じた。
そして今、同潤会アパートの跡地を訪れた人はきっとびっくりするにちがいない。過去への
記憶は未来への新しい希望を呼ぶように、そこには、あのレトロでモダンな建物に変わって、
ポストモダンなオシャレ感覚あふれる高層アパルトマンがそびえ立っているからだ。東京の超
モダン感覚を見事に体現したこの場所は、その名も『代官山アドレス』。地上36階、高さ120m
の高層アパルトマンを中心に、居住スペースと商業スペースがうまくマッチした新感覚のコミ
ュニティー広場だ。東京の新名所となることまちがいなし!
その証拠にすでに多くの若者や家族連れ、カップルたちが最先端の流行を求めてこの地を訪
れている。もちろん、代官山のすばらしさは、流行を追求する新しさだけにあるのではない。
古いものと新しいものが同居するこの風景にこそ、訪れた人々を魅了してやまない何かがある。
それはまるで過去と未来の糸で織りなす一枚のタピストリー(絨毯)の上を歩くような気分。
ノスタルジーとロマン溢れる代官山……20世紀最後のクリスマスを迎える今年一番のお薦めス
ポットだ。
文/麒麟 写真/武居 英俊 |