21世紀への都民仲間
身近な「最先端」で活躍する人
株式会社イー・ウーマン代表取締役社長 佐々木かをりさん(世田谷区在住)
かつて女性たちは、人生の岐路で「仕事か?家庭か?」の選択を迫られた。しかし今、女性たちの多くは、仕事も家庭も手に入れ、人生を心ゆくまで堪能するのが当然と考えている。自分の人生は自分の力で切り開いていきたい。そう考える彼女たちは、自分のライフスタイルにとってどんな情報が必要で、どう役立つのか常にアンテナを廻らせている。
佐々木さんは、そんな女性たちの日常生活に欠かせない最新情報を発信する女性向けコミュニティーサイト、eWomanを9月25日オープンさせた。
eWomanは、インターネットの双方向性を生かして、ショッピングやトレンドに影響力のある女性たちがネットワークするライブ感、日常感あふれる楽しいコミュニケーションとして、女性の日常生活に欠かせない情報をバランスよく配置している。
コンテンツは各界で活躍している50人の著名な「出題者」とユーザーが創り出す。eWomanでは女性のライフスタイルを3つの柱と11のジャンルに分類。それぞれを象徴するカラーとしてMoney&Workは女性の人生の血液であるとして赤、Life & Familyは、パンでありごはんであるので白、Beauty & Entertainmentはビタミン、緑黄色野菜だから緑と色分けしている。
佐々木さんは、「国際女性ビジネス会議」や「ウイメンズ・ゲートウェイ」など、女性のコミュニケーションづくりを実現させてきた。CBSドキュメントでは、ピーターバラカン氏とともに3年間キャスターを努めた。佐々木さんはまた、(株)ユニカルインターナショナルという会社を1987年に設立した。アメリカ留学中通訳をしながら学んだ「ウィン・ウィン(Win‐Win)」の発想が、起業のきっかけになった。また、まず自分から与え、与えられるという「ギブ&ギブン」の発想は、佐々木さんの生き方の基盤になっている。
「自分の人生は自分が主役ですから、自分の存在が常にプラスの存在でありたいと願っています。自分にとってはもちろん、家族や仕事仲間、毎日出会う様々な人たち、そして、直接会うことのない多くの人たちにとってもそういう存在でありたいと思います。eWomanを通して、多くのスタッフや協力者の方々、そして、ユーザーのみなさんたちが、お互いにプラスになるものを与え合い、生かし合える存在になれたら嬉しいですね。また、そのような存在であるためには何がベストなのかをいつも考えています」。
佐々木さんのビジネスパートナーは、あの「とらばーゆ」の編集長で「iモード」開発に従事した松永真理さん。松永さんはエディトリアル・ディレクターとして、毎週土曜日に、その週の「テーマランキング」を要約する。
「2人の経験と感覚を生かした”場づくり“をプロデュースしたいと思っています。これまで女性は、消費者として情報の受手であったわけですが、インターネットの双方向性を生かして、これからは積極的に情報の発信者であってほしいです」。
eWomanのサイトは、サイトにアクセスし、簡単な入力をすれば、その日から投稿ができる。
毎週月曜日に、11人の「出題者」がそれぞれの分野から投げかける各テーマに、ユーザーの女性たちが、意見や体験談、質問等を投稿する。
ユーザーから寄せられた様々な情報は、編集されて毎日サイトアップされる。ユーザーにテーマを投げかけ、その編集を担当する主なゲストエディターの顔触れは、村上龍さん、玉村豊男さん、中井美穂さんら各界で活躍中の方々。イメージキャラクターは、若い女性のファッションリーダー的存在のモデルのはなさん。ニュースキャスターの小宮悦子さんは毎週土曜日にその週のニュースを独自の切り口で紹介する。
「私たちは、多くの働く女性が共感できる仲間に会えたら良いと考えています。また、各分野の企業と積極的に事業提携をしていくことによって、数々のソリューションビジネスをユーザーに提供したいと思っています。消費の決断者の75%が女性であると言われているにもかかわらず経済の主役ではない。この現実を女性が情報の送り手であることによって変えていくことができたらと思います。女性のグローバルスタンダードはeWomanから!といきたいですね」とにこやかに佐々木さんは語る。佐々木さんは、ビジネスクリエーターであるとともに、6才の女の子と1才半の男の子を子育て中の母親であり、家庭人でもある。スタートしたばかりの仕事を抱え、超多忙の毎日ではあるが、家庭のこと、生活のことは何よりも大切に考えている。
「土日や休日は基本的に子供とのコミュニケーションやスキンシップのために使います。また、子供の問題が色々起きていますが、食習慣や食生活など食を通したコミュニケーションを大切にしなくなったことも原因のひとつにあるのではないでしょうか。食べることは生命の源ですから、私は食物については、生産地から栽培の方法にまで徹底してこだわります。食生活をないがしろにすると身体のバランスだけでなく精神的健康にも影響が出てくると思うので。子供の教育に関しても、幼児教育が一面では必要なケースも認めますが、もっと、人や環境に対するマナー、他人の意見に耳を傾けること、集中力を養うといった、生きていくためのルールや、日々に役立つものの考え方や知恵をしっかり教えることの方が大切だと感じるので、教育にも関心を持っています」。
仕事と生活にプライオリティを付けずに臨機応変でバランスよくこなしていく。
「ギブ&ギブン」を意識し、周囲の人間関係に配慮しながら、気負わず自然体でいることが「新たな発想とパワーを生む」という佐々木さんのライフスタイルは、女性だけでなく、男性にも大いに参考になるはずだ。
21世紀への都民仲間
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