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第1回定例会・代表質問(要旨)

 民主党    嶋田 実


  臨海部のまちづくりには
  自然環境に極力配慮せよ


    知事の基本姿勢
    平成十三年度予算案
    教育
    男女平等参画施策の推進
    東京のまちづくりと環境政策
    東京都のエネルギー政策
    臨海部のまちづくり

 はじめに、先月JR新大久保駅で、ホームから転落をした男性を救助しようとして亡くなられた韓国の李秀賢さんと日本の関根史郎さんに対し、深く哀悼の意を表したいと思います。


知事の基本姿勢

 知事は、施政方針で、危機の中にあって、危機を自覚しないところに本当の危機が潜んでいるとした。現下の問題についてどの様に考えているのか。

知 事 こういう問題が起こる根源的な原因は、国の政治家あるいは官僚の非責任体質にあると言わざるを得ない。保身のための、その場の場当たりの状況主義というものが、ばっこしていると言わざるを得ない。せめて東京都では、私たち、私なりの努力をしなくてはいけない。


平成十三年度予算案

 〔1〕日本経済の再生のために国家予算を投じることに対し、反対するものではないが、財政構造改革なきばらまき予算は、国を破綻させかねないと大きな危惧を持つものである。知事は、今の政府の予算編成と財政運営についてどの様に考えているのか、伺う。
 〔2〕今後も厳しい財政運営を強いられることになる。知事は、今後の財政運営についてどの様に考えているのか。見解を伺う。
 〔3〕電子都庁の推進や組織の見直しなどの当面の都政改革プランを示し、十三年度には行政評価制度を本格的に実施するとしている。財政運営において、これらを積極的に活用しながら、より一層の内部努力や施策の見直し、再構築に取り組むことが必要だが。
 〔4〕新たな手法として掲げた民営方式などを採用するに当たり、都民から、行政の責任放棄ととられてはいけないと考える。行政が責任を持って的確に実施していくことが重要である。民間活力を都政に導入するに当たり、東京都としての責任のあり方をどう考えているのか、所見を伺う。
 〔5〕東京都税制調査会は、昨年末の答申で、地方税財政制度の改革案を打ち出すとともに、大型ディーゼル車高速道路利用税、産業廃棄物税、ホテル税、パチンコ税を東京都にふさわしい法定外税とした。知事は、これらの法定外税をどう評価し、今後どうしようと考えているのか、伺う。

知 事 〔1〕歳入の三分の一以上を国債の発行に頼り、国税収入の八倍に近い国債残高を抱えている国家の財政のかじ取りは、残念ながら破綻しているとしか言い得ない。痛みを伴う決断ができなくなったために、事を殊更に回避するという姿勢が繰り返されているわけであり、場合によっては、国民に我慢を訴える、ある意味でストイシズムを説くような政治家が国をリードしなくてはならないと思う。
 〔2〕引き続き、財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成を図るとともに、将来の財政負担の増大に備えた財政基盤の強化など、さらに財政構造改革を推進していく必要がある。
 〔3〕都政改革ビジョンⅠで示した取組を着実に実施するとともに、行政評価制度なども活用しながら、手を休めることなく、財政構造改革に取り組んでいきたい。
 〔4〕都民の暮らしを守り、活動を支えるなど、都が責任を持ってサービスを確保すべき分野については、都自ら事業を実施していくつもりだ。しかし、民間の活力あるいは手法を導入することで、より効果的、効率的な都民サービスの提供が可能な場合には、民営方法や、PFI等による事業を実施したい。
 〔5〕四つの法定外税は、いずれも税収が目的というよりも、むしろ都の掲げている政策課題に焦点を当てた構想である。既に幾つかについては、実施を前提として準備を進めているが、結果として大衆税という印象を与えないような配慮が必要だ。さらに、技術的な問題については検討を深めて、十三年度中に条例の提案をしたい。


教育

 〔1〕区市町村教育委員会の教科書採択事務にかかわる東京都教育委員会通知について、一部には、ある特定の教科書の採択を強要するものとの意見がある。決してその様なものではないし、そうあってはならないと考えるが。
 〔2〕これまでのように、ただ決められた知識を詰め込むような教育だけではなく、各学校が知恵と工夫を凝らし、継続して学ぶ力を付ける教育機会の提供が期待されている。学習指導要領について、弾力的に取り扱い、学校現場に知恵と工夫を促すべき。
 〔3〕都立高校の管理運営を私学法人並みに自由化し、また、私学の土地、施設を定期借地、借家し、その管理運営を私学法人に任せるなど、私立高校と都立高校を同じ土俵に乗せ、教育を受ける権利を保障する教育券を都民に交付するというバウチャー制度の導入を検討すべきだ。都民は、この教育券を行使することにより、公立、私立を問わず同額の公費負担を得て、高校を選択することができるようになる。このようなバウチャー制度の導入について、見解を伺う。
 〔4〕ア 都立大学の大学改革基本方針をまとめ、外部識者から成る運営監理委員会を設置するとした。 単に意見反映にとどまらない意思決定機関、大学の管理運営について、教授陣と車の両輪を担う理事会機能を設けるべきと考えるが。イ 今の日本は、情報技術分野にとどまらず、あらゆる分野で知識労働者が不足している。都立の大学が、これらの需要に応えるには、その施設の容量に限界がある。インターネット上にバーチャル大学の開設を検討すべき。

教育長 〔1〕趣旨は、各区市町村教育委員会が自らの責任と判断で、教科書の採択に当たることの重要性とその際の留意点を示したもの。特に来年度は、新学習指導要領に基づき発行される小中学校の教科書を同時に採択することから、改めて通知をし、指導の徹底を図ったものだ。
 〔2〕都教育委員会は、二十一世紀を担う人材の育成を目指し、各学校が新学習指導要領に基づき創意工夫して、教育活動を展開できるよう支援する。
 〔3〕わが国の現行教育制度においては導入は困難であるが、バウチャー制度のねらいの一つである公立高校への適切な競争原理の導入については、推進していく。
 〔4〕ア 理事会機能について、経営責任の明確化の観点から、この法人化を検討する中で具体化を図っていく。イ 国の大学審議会において、情報通信技術を活用した形態の授業について、提言が行われた。これを受け、今年度中に、大学設置基準等の改正が行われる見込みだ。都においても、大学改革の取組の中で、インターネットを活用した授業形態や都民に対する多様な学習機会の提供などのあり方について検討していく。


男女平等参画施策の推進

 〔1〕財団廃止イコール施策の後退という認識になっている。男女平等施策推進の姿勢を鮮明にすべき。
 〔2〕東京女性財団を十二年度で廃止するとしたが、財団のこれまでの八年間は何だったのか。団体活用のメリットが十分に発揮されていない具体的な原因を伺う。
 〔3〕女性財団の廃止の方針は最悪の結果と言わざるを得ない。財団廃止をいったん凍結し、財団の現状改革のため協力を求めるべき。

知 事 〔1〕あくまでも平等である。今後は、雇用分野における参画促進等、現在の重要課題への具体的対応を盛り込んだ行動計画を平成十三年中に策定し、男女平等参画社会の実現に取り組む。
 〔3〕決して、廃止すなわち女性問題に対する対処の後退ということではない。自立した組織として、存続が困難であり、男女平等参画の新たな段階に対応して、行政が責任を持って施策を推進する必要があるということから、事業を直営化し、廃止することとした。今後の財団のあり方については、自らの自助努力というものを自分で勘案し、その存在を含めて根本的に見直し、十三年度以内に結論を出していただきたい。

生活文化局長 〔2〕監理団体総点検の中で、民間の資金や人材の活用という団体のメリットの発揮が困難であると判断した。また、家庭内暴力等への対応の充実という点から、直営化がふさわしいものと評価する。


東京のまちづくりと環境政策

 〔1〕環境への取組は二十一世紀の重要なテーマである。知事の見解は。
 〔2〕今後策定する都市づくりビジョンにおいて、抽象的な環境的視点の提唱にとどまらない、より踏み込んだ方針を打ち出すべき。
 〔3〕ヒートアイランド現象の緩和を図るために、東京の都市のあり方を、水と調和する親水性のものにすることが挙げられる。一歩踏み込んだ対策が必要と考えるが。
 〔4〕幹線道路の整備や自動車交通量の抑制を図った上で、自動車公害の深刻な地域の沿道の緑化を図り、併せて自転車道や歩道を整備していくべき。見解を。
 〔5〕河川行政において、生態系に配慮した水辺の再生、創造に取り組むとともに、可能な河川について既設の護岸を撤去し、自然豊かな河川の再生を図るべきと考えるが、見解を伺う。

知 事 〔1〕世界有数の大都市として、文明の便益を享受してきた東京には、大気汚染、温暖化、有害化学物質の氾濫など、環境の危機が集約的に現れており、都市としての存立の基盤が脅かされかねない事態だ。価値観を大胆に転換し、環境の視点に立った都市政策を展開し、東京を持続可能な都市によみがえらせていきたい。

都市計画局長 〔2〕河川や公園緑地、市街地のオープンスペースなどを取り込んだ、水と緑のネットワークの形成を図るなど、環境にも十分配慮していく。

環境局長 〔3〕この現象の緩和を図るため、省エネルギー施策の徹底に加え、道路、駐車場等における透水性舗装の一層の拡大、公園における緑の保水機能の活用など、雨水浸透の働きを大切にした都市づくりを推進していく。

建設局長 〔4〕幹線道路ネットワークの整備により、環状七号線などの交通量は適度に分散され、環境面に効果があるものと認識している。今後、三環状などの整備促進を図る中で、可能な箇所から幅員構成を見直すことにより緑化を進めるなど、ゆとりある歩行者空間の確保に努めていく。
 〔5〕河川が本来有している自然を一層生かした潤いのある水辺空間の創出に取り組んでいる。今後とも、様々な工夫を凝らし、安全で自然豊かな河川の再生に努めていく。


東京都のエネルギー政策

 〔1〕二十世紀まで、都市の発展を支えてきたのは、石油に代表される化石燃料であった。しかし、化石燃料がやがて枯渇することは明らかであり、二十一世紀の都市エネルギーのあり方は、これまでとは異なったものにならなければならない。見解を伺う。
 〔2〕大量の電力を消費し、これまでその供給のほとんどを他の地域に依存してきた東京都であるからこそ、取組の遅い国に先んじ、風力発電など新エネルギーの普及に取り組むべきと考えるが、見解を伺う。
 〔3〕様々な新エネルギーの中で、特に注目に値するものとして、バイオマスがある。バイオマスの最大のメリットは、自然のサイクルや日常生活の結果として生み出される廃棄物からつくられるもので、いわば永久資源である。その中でも、間伐材や製材廃材等を原料とする木質バイオマスは、林業の活性化にも寄与するものとして注目をされている。産業振興の観点からも、木質バイオの開発と利用を進めていくべきと考えるが、所見を伺う。

知 事 〔1〕環境確保条例において、大規模事業所に、省資源・省エネルギーの取組を義務付けた。今後とも、効果的、効率的なエネルギー使用を徹底し、地球環境との調和を基本とした省エネルギー型都市づくりを心がけていく。

環境局長 〔2〕地球環境保全のために、化石燃料の消費量を削減することが求められており、新エネルギーの普及の拡大が必要だと考える。そのため、普及に向けた施策の方向を、今年度中に改定予定の環境基本計画の中で明らかにしていく。

労働経済局長 〔3〕化石燃料に頼らないエネルギーの確保の面からも有効であり、利用とその事業化について、平成十三年度から調査研究に着手する。


臨海部のまちづくり

 〔1〕東京港全体を視野に入れた自然環境への取組が必要であると考えるが、見解を伺う。
 〔2〕東京港を仮に埋め立てるのであっても、その後の土地利用については、自然環境に極力配慮する必要がある。中央防波堤内側の土地利用も含めて、今後の土地利用のあり方について伺う。
 〔3〕ベイエリア21の策定目的は、三会計を統合し、臨海会計を救済するためのものだとも言われている。具体的な改革案の検討に早急に着手するとともに、それを踏まえた臨海開発の長期収支試算を、できるだけ早い時期に都民に明示すべきと考えるが、見解を伺う。
 〔4〕将来、負担が都民のものとならないよう、絶えず取り組んでいく必要がある。今後の会計健全化に向けての決意を伺う。
 〔5〕臨海副都心開発についても、包括的外部監査を実施するなど外部の専門家の知恵を活用し、会計の健全化を図っていくべき。

知 事 〔5〕外部監査というのは、世間の常識というものを踏まえた厳しい監査であり、私たちは真摯にこのアドバイスに耳を傾けなくてはいけないと思う。臨海副都心開発を今後とも着実に推進していく上で、外部の専門家の知恵も大いに活用し、事業の収入及び支出の両面にわたる見直しを徹底的に行い、大胆な改革に取り組んでいかないと、都民の不信を買うだけだと心得ている。

港湾局長 〔1〕総合的、一体的な再編整備を進めるに当たり、水生生物の生息に配慮した護岸の整備や運河沿いの緑化を進めるなど、自然環境の保全、回復や親水空間の確保に一層努める。
 〔2〕大規模海浜公園の整備など、自然環境の保全や回復に配慮するとともに、社会経済状況の変化に応じた多様な機能がバランスよく配置された土地利用を図っていく。
 〔3〕関係局による協議・検討機関を設置し、財政基盤強化のためのあらゆる対策を検討していくこととしている。なお、その際には、外部の専門家の知恵も借りていきたいと考えている。こうした検討を踏まえ、三会計統合後の長期収支を試算し、できるだけ早期に都民に明らかにする。
 〔4〕臨海副都心開発は、これまでも、道路、公園等の地域内都市基盤を開発者負担により整備するなど、開発利益の還元方式により進めることで極力都民負担を抑制してきた。財政基盤を強化するためのあらゆる対策を早期に講じ、極力都民負担を増やすことのないよう努めていく。


三宅島避難島民への支援

 全島避難から既に七か月が経過し、避難生活の中で新年を迎えるという事態のもとで、多くの島民が収入を断たれている。雇用保険も切れ、義援金も使い果たし、これまで取り崩してきた預金も限界となるなど、新たな困難に直面している。今日の状況にふさわしい支援策の見直しと、拡充強化を。 
 〔1〕被災者への食費や生活費を直ちに支給すべきだ。
 〔2〕児童生徒の給食費や学用品については、秋川高校を利用している以外の生徒にも支給すべきだ。 
 〔3〕債務を抱えた島民に対する利払い猶予や、有珠山噴火災害では借り換えのための無担保無保証人融資制度がつくられたし、台湾大震災では主要銀行が住宅再建対策として、全壊した住宅のローンについて債務を免除している。ところが、三宅島避難者に対しては、元金の返済は一時据え置きとなったが、利払いは免れることはできない。その支払いに追われているのが現状で、民宿とダイビングを営む中堅の業者は、利払いだけで毎月二○万円、もう取り崩す預金も底をついたと訴えている。融資についても利払いの猶予を金融機関に申し入れるとともに、借換えのための無担保無保証人の緊急特別融資制度など、今日の事態に見合った支援策を講じることを強く求めるが。   

教育長 〔2〕都教育委員会は、各区市町村教育委員会に対して、三宅村の児童生徒の就学援助の認定及び支給手続について、弾力的な対応を依頼している。今後とも、その周知徹底を図っていく。

福祉局長 〔1〕生活福祉資金の無利子貸付け、国制度の対象とならない世帯への生活再建支援金の支給、都営住宅等の無償提供などに加え、今回新たに、老人医療費助成制度の一部負担金の免除などの措置を講じた。今後とも、避難島民の方
々への支援は、村と密接に連絡をとりながら、国等関係機関と連携し、適切に対応していく。

労働経済局長 〔3〕三宅島避難島民の融資に関する支援策について都としては、現在、島外避難が長期化する中で、資金繰りに支障を来している中小企業者の金融の円滑化を図るため、被害の甚大さを考慮し、貸付期間の全期間を無利子とする、災害復旧資金融資を実施している。また、関係金融機関等に対して、既往の信用保証付き融資の返済猶予措置の協力要請を行っており、事業者の実情に応じた条件変更が実施されている。


横田基地と横田空域

 戦後半世紀以上たった今も米軍が支配し、航空機の安全な航行を図る上で最大の障害となっている広大な横田空域を返還させ、日本の空の安全と主権を取り戻すことは、米軍横田基地の返還とともに、わが党が一貫して主張し続けてきたことだ。しかし、政府の外交姿勢はアメリカの言いなりで、横田空域の全面返還を要求するという基本的立場さえ確立していない。一方のアメリカ政府は、戦後一貫して首都の空に居座り続けていることを見ても、日本を属国扱いしていることは明らかだ。こうした日米両国政府の態度を改めさせなければならない。今、この問題で、東京から声を上げ、国を動かすには、大きな世論と運動をつくっていくことが重要だ。まず、広く都民に、横田空域の弊害や問題点について知らせていくとともに、首都圏七都県市や長野、静岡、新潟など、横田空域の影響を受けている自治体に共同を呼びかけ、横田空域の返還を目的とした国民的な大集会を開催するなど、多彩な行動を起こしていくことが必要だ。知事の見解を求める。 

知 事 横田空域の問題について、様々な機会をとらえ、都民をはじめ、国民や政府に訴えていく。また、返還が実現するように、私自身がアメリカ政府との交渉を行うつもりだ。更に、国に対しても働きかけていくが、その中で、必要に応じて関係する地方自治体とも連携しながら推進していきたい。

 
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