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第1回定例会・代表質問(要旨)

 日本共産党  秋田  かくお


  税収増をマル福などの復活と
  介護保険料・利用料の軽減に


    福祉・社会保障
    公共事業のあり方の見直し
    臨海副都心
    税制
    中小企業対策
    女性財団について
    子どもの権利条例
    三宅島避難島民への支援
    横田基地と横田空域

 今、国民の国政に対する怒りの声が渦巻いている。アメリカの原子力潜水艦による水産高校の実習船の衝突事故に対する政府の態度。中小企業の皆さんがこの不況の中で血のにじむような思いで払ってきた共済掛金が、自民党の本部や議員に流されていたというKSD事件。また、機密費事件では、何十億円という国民の血税が、国会対策費や国会議員の海外視察の餞別などに何十年間も使われていたという問題など、日本の政治に未来はない。二十一世紀に国民と心が通う政治を切り開くために、わが党は、金権・腐敗に一切無縁な政党、国民そっちのけの自民党政治を一日も早く終わらせ、国民が主人公という新しい日本への道を切り開く決意を表明する。
 さて、わが党は、都民が主人公の立場から、都民に良い事には賛成し、積極的に推進をする。しかし、悪い事にはきっぱり反対する態度を貫いてきた。この立場から、都民にとって切実な幾つかの問題に絞って知事の見解を伺う。


福祉・社会保障

 〔1〕都民要望の第一位は、高齢者福祉の充実だ。国の社会保障は、年金も老人医療制度も大幅負担増と給付の切下げが相次いで都民に押し寄せている。マル福や老人福祉手当などを開始した昭和四十年代に比べて、社会経済状態が変化し、経済給付的事業は時代遅れになったとの理由は説得力に欠ける。国の対応にとどまらず、自治体としても経済的支援の福祉事業に取り組む必要があるのではないか。見解を伺う。
 〔2〕経済給付的事業は都民の支えであり、拡充こそ切実な要求だ。乳幼児や子育てには経済給付が必要だが、高齢者には時代遅れだなどという話が通用するとでも思っているのか。経済給付的事業もその他の福祉サービスも、両方充実させる必要があるのではないか。
 〔3〕都は、財政再建団体転落の危機だと宣伝し、ない袖は振れないと言って福祉切下げを強行した。
しかし、今年度と来年度合わせれば都税の増収が八、四○○億円も見込まれる。高齢者福祉のシルバーパス、マル福、老人福祉手当の三つの施策を元に戻すには、一三七億円、増収分の一・六%を振り向けるだけで良い。答弁を。
 〔4〕マル福は二〇〇七年六月三○日をもって廃止される。そして、非常に複雑な経過措置がとられており、今六十五歳の誕生日を迎えた人は、以前なら誕生日のその日から受け取ることができたのに、二〇〇二年七月一日まで待たなければならない。もともと日本の公的保険制度の医療費の患者負担割合は、ヨーロッパ諸国と比べて重く、イギリスが二・四%、ドイツが六%に対し、日本は一五・四%にも及び、老人医療の場合でも七
・二%だ。マル福の削減・廃止どころか、医療費の患者負担軽減は国民的課題だ。目先の財源対策のために、都民の健康を削ることは、何年か先に医療費や介護費用の増大を招く結果にしかならない。現時点に立って老人医療費助成の意義を位置付けし直し、マル福を六十五歳からの制度に戻すべきだ。  
 〔5〕障害者医療費助成の有料化と所得制限強化、重度手当への所得制限導入についても、事前の実態調査も見直し後の影響調査もしないで、どうして適正と言えるのか。
 〔6〕今年八月から実施予定の重度障害者手当の所得制限を超えた人の支給額二万円削減は直ちに中止し、さらに、障害者医療費助成や障害者福祉手当も元に戻すべき。
 〔7〕わが党は、議会のたびに介護保険の保険料、利用料の問題を取り上げてきたが、知事は、介護保険制度は概ね順調に滑り出したとか、保険料には低所得者へ配慮した仕組みがあるなどと言って、答えようとしなかった。しかし、この問題も実施一年たった現時点で見れば、到底順調とは言えない。とりわけ保険料、利用料の負担については是正が急務となっていることは明白ではないか。渋谷区が東京都と共同で行った介護保険利用者満足度調査の報告書によると、介護保険の開始で悪くなったことでは「経済的な負担が増えた」が最も多く、そして、サービス利用が減った人の理由で一番多いのも、「自己負担が増えたため」となっている。わが党は、広く都民の率直な声を聞こうとアンケートはがきで調査に取り組んでいるが、そこにも、保険料、利用料の負担軽減を願う声が寄せられている。健康保険料の上に介護保険料が加わり、年金のかなりの部分が吸い上げられてしまう。日常の生活さえままならないのに月五万円の年金から保険料が持っていかれる年寄りのことをもう少し考えてほしい。結局、病院にかかるお金を惜しんでひどくしてしまう。利用したくても高過ぎるので利用回数を減らしてしまうなどの声も上がっている。区民税が年間四、〇〇〇円でなぜ介護保険料を年四万円も払うのか、納得がいかないとの訴えもある。中でも、住民税非課税者や無年金の人にまで保険料を請求することは、あんまりだ、どこから払えというのかなどの批判が渦巻いている。保険料はまだ半額徴収だが、事態は深刻だ。その上、今年一○月から保険料の全額徴収が開始される高齢者、とりわけ住民税非課税など低所得の方
々の生活を知事は考えたことがあるのか。  
 〔8〕東京でも独自の軽減措置に踏み切る自治体が区市町村にまで広がっているが、制度の規模や内容はばらばらだ。区市町村単独では財政力に限界があり、対象人数も極めて限定されたものにとどまっている。利用料軽減を本格的に前進させるには都の制度実施が不可欠だ。全国に先駆けて介護保険の保険料、利用料減免制度の実施に踏み切り、国へも減免制度を強く要請すべきだ。
 〔9〕介護保険対象外の自立高齢者に対しても介護予防のためケアプランを作成して、総合的サービスを提供する取組を広げるために都として支援を。また、介護予防・生活支援事業の拡充も必要だ。

知 事 〔1〕都が果たすべき役割は、従来の独自施策を抜本的に見直した上で、少子高齢社会における都民のニーズに応えられる福祉サービスの整備に全力を挙げることだと心得ている。
 〔2〕経済給付的事業の見直しは、都が独自に行ってきた各種福祉手当や医療費助成制度について、制度間の整合性や負担の公平性の確保などの観点に立って実施したもの。これを踏まえ、福祉改革推進プランを策定し、福祉サービスの充実に向けた基盤整備などに取り組むこととした。なお、乳幼児医療費助成制度については、十三年度予算案においても対象年齢を拡大し、就学前までとした。
 〔3〕福祉改革は、利用者本位の新しい福祉を構築するための改革だ。都が今日推進しているこの改革は、長期的、歴史的視野に立った取組であり、その時々の税収の動向に右顧左べんして短期的に変更するような性格のものではない。   
 〔4〕見直しに際しては、議会で十分な審議をいただいた。今回の見直しを元に戻す考え方は全くない。 
 〔6〕元に戻す考え方は全くない。 
 〔7〕高齢者も能力に応じて負担を分かち合うことは必要だ。本来、制度開始当初から全額を徴収すべきところ、国の特別対策によって、手厚い軽減措置が実施されたもの。 
 〔8〕介護保険料については前項のとおり、利用料についても負担が著しく高額とならないための仕組みが設けられているほか、特別対策として利用者負担の減免も可能だ。したがって、都としては、保険料、利用料に新たな減免制度をつくる必要があるとは考えていない。

福祉局長 〔5〕実施には区市町村や関係団体の要望を十分に配慮し、都議会での審議を経て決定したもの。見直しは適正な内容と考える。

高齢者施策推進室長 〔9〕都は、かねてから区市町村と連携し、介護予防のための種々のサービスを実施してきた。今後も大幅に充実していく方針だ。


公共事業のあり方の見直し

 今定例会に提案している予算案は、まず、今年度の最終補正予算案では、一、四一○億円の事業費のうち九九%の一、三九○億円が国の補正予算に伴う公共事業費によって占められている。しかもその内容は、本来国が負担すべき国道など、直轄事業負担金がどの幹線道路に使うかも明らかにされないままに計上され、国の言いなりの首都高速道路公団への無利子貸付金が二六六億円も計上されるという有様だ。来年度予算案では、幹線道路や環状二号線、市街地再開発、汐留区画整理事業などの大型開発や、首都高速道路公団への貸付けなどを中心とした投資型経費が一兆一、○○○億円と、バブル前の二倍近く計上され、過去の投資のツケである公債費を合わせると、投資関連経費は一兆六、○○○億円を超える。このため、都債残高は、一般会計だけで二、八八○億円も増え、残高は七兆七、五八○億円と、史上最高の記録をまた塗りかえようとしている。また、臨海開発には相変わらず一、○○○億円もつぎ込んでいる。知事は、今日の社会資本整備は遅れていると言うが、何が遅れ、何が進んでいるのか吟味が必要だ。社会資本についても、必要な整備を進めることは大切だが、遅れていると言うなら、高齢者の介護施設など社会福祉施設こそ挙げ、この整備に全力を尽くすべきだと思う。老人保健施設やショートステイは全国最低ではないか。無駄をどう省くのか、財政状況や都民要望から見て不要不急な事業は何かと言う二つの角度から、公共事業の見直しが重要だ。
 〔1〕圏央道や臨海部の湾岸道路など、国が当然負担すべき事業についても、都が直轄事業負担金の名で安易に都財政をつぎ込んだり、首都高速道路公団に対し、国の言いなりになって無利子貸付けを行うなどはきっぱりやめるべきだ。
 〔2〕都が行うべき事業でも、大型幹線道路や大企業のための都市再開発中心の公共事業については、改めて抜本的な再検討が必要だ。
 〔3〕また、東京でも過大な水需給計画に基づいて計画されている八ッ場ダム、戸倉ダム等をはじめ、今後新たに建設するという三つのダムの計画も見直すことが必要だ。
 〔4〕東京の社会資本として、整備の遅れている住宅や公園、介護基盤施設など、景気効果の高い生活密着型事業こそ東京都の公共事業の中心に据えるべきだ。

知 事 〔1〕投資的経費については、都の財政力で対応可能な範囲に抑制し、都債についても、世代間の負担の公平性に配慮しつつ、将来の財政負担の軽減を図るため、十二年度に引き続き減額を行った。圏央道等は、東京の活力向上に不可欠で重要な都市基盤だ。今後ともその整備を着実に進めていく。
 〔2〕厳しい財政状況を踏まえつつ、今後とも、限りのある財源を投資効果の高い事業に重点的に配分し、整備に努めていく。
 〔3〕都の水源の約八割を占める利根川、荒川水系において、過去十年間で五回もの取水制限が行われた。このため、将来の水需要への対応はもとより、渇水時に極力安定した給水が行えるよう、引き続き、八ッ場ダムなどの必要な水源の確保に努める。
 〔4〕分離分割発注や共同企業体方式の活用など、中小企業の受注機会の確保に努めてきた。今後とも、こうした観点に留意しつつ、着実に公共事業の実施を図っていく。


臨海副都心

 知事が東京都の負の遺産として挙げたのは、都施行の市街地再開発と多摩ニュータウンであり、これらについては巨額の欠損の発生が避けられず、事業の見直しに着手すると述べた。ならば、なぜ都政の最大の負の遺産である臨海副都心開発の抜本的見直しを行わないのか。この臨海副都心開発に、都は既に三兆円もの都財政を投入したが、今後、さらに一兆八、○○○億円近い都財政投入が予定されている。都財政のどこにその様なゆとりがあるのか。
 〔1〕知事が最終決断を下した臨海開発事業会計と二つの埋立事業会計などとの統合はやめ、都のこれ以上の財政負担をどう抑えていくのか、臨海部をどう都民の貴重な財産として活用していくのかという立場に立って、都民参加での抜本的な見直しを決断すべきだ。
 〔2〕有明北地区の埋立ての見直しも緊急の課題だ。都心に残された貴重な自然を破壊するものにほかならない。埋立てを中断し、計画を再検討すべきと考えるが。
 〔3〕エドハゼを、自然保護条例に新たに盛り込まれた東京都希少野生動植物種に指定して保全するよう求めるが。見解を伺う。

知 事 〔1〕臨海副都心開発は、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業と心得ている。また、臨海副都心を中心とする東京臨海地域を、総合的・一体的に開発していく上で、財政基盤の強化は不可欠であり、三会計統合は、そのための有効な手法の一つだ。今後とも、社会経済状況の変化に弾力的に対応しながら、開発を着実に進めていく。
 〔2〕地権者や地元区の合意を得て、昨年、埋立免許を取得した上で工事に着手した。埋立規模を縮小し、水域の三分の一強を残すなど、水生生物への環境対策も十分行うこととしている。この事業は、臨海副都心の発展のみならず、東京の活性化にも資するものであり、再検討を行う考えはない。

環境局長 〔3〕生息地である干潟も安定が認められる。現状では、自然保護条例に基づく東京都希少野生動植物種に指定する考えはない。


税制

 先日の衆議院予算委員会で、宮沢財務相は、財政改革を巡り、国民負担が増えざるを得なくなった時の対応について、「税制なり保険料なりで負担することになる、いずれの場合も消費税率の引上げは不可避」との考えを打ち出した。これ以上の増税は、なんとしてもやめさせなければならない。東京都税制調査会の答申は、中小企業の負担増の方向を打ち出すばかりか、個人事業税や個人所得税の課税最低限の引下げまで打ち出している。まさに都民にとって見過ごすことのできない重大問題だ。
 〔1〕都税制調査会の答申では、「
有力な武器として最大限活用し、東京から新しい税の形をつくる」と述べた。都がこんな増税に旗振りをしようと言うのか。消費税率引上げについて、そして住民税、所得税の庶民増税についてどう考えているのか。明快な答弁を。  
 〔2〕東京の中小企業は事業所数では、九九%を占めており、法人事業税への外形標準課税は、全都民に影響する重大問題だ。このような中小企業への大増税を国に要求すること自体、間違いではないか。
 〔3〕しかも、この外形標準課税は、都独自に実施することのできるもの。知事、東京都独自にやらないと約束できるのか。答弁を求める。

知 事 〔1〕わが国の歳入歳出の行く先を見通しつつ、国民的な議論を重ねることが重要だ。
 〔2〕一般的な外形標準課税が国の制度として、近い将来実現するとは思わない。
 〔3〕外形標準課税を都独自に銀行業等以外への拡大は考えていない。


中小企業対策

 東京都がこの戦後最悪の不況の下で行うべきは増税ではなく、血の通った中小企業支援の方策に全力を尽くすことではないか。その第一が、大型店の出店だ。大店法廃止に向けた駆け込み出店が相次ぎ、こうした出店ラッシュは地域商店街を破壊するだけでなく、大型店同士の過剰競争によって閉店や撤退など、消費者である都民の生活にも深刻な影響を与えている。大型店の好き勝手な横暴がまかり通っているのは、先進国の中でも日本くらいのもの。フランスでは無秩序な出店を規制するロワイエ法があって、三○○m2以上の大型店は許可制で、日曜日は原則閉店などの厳しい規制がある。日本でもルールをつくって守らせてほしいとの訴えもある。
 〔1〕出店の許可制、地元関係者との合意、開店時間の制限などを内容とした新大店法が必要となっていると思うが。また、ある自治体からは、立地法に基づく大規模小売店舗審議会を区市町村へ権限委任してほしいとの要望が寄せられている。知事が国に発信するというのなら、こうしたルールづくりこそ国に求めるべきではないか。
 〔2〕さらに、都としての商業版東京ルールの策定も提案するが。
 〔3〕東京の地場産業である靴や野菜などの生産者から、輸入攻勢から産業を守るためのセーフガード発動の要請があるが、都の見解は。 
 〔4〕都として行うべきは商店街支援だ。商店街活性化総合支援事業については、すべての区市町村の予算を用意すること、また、計画ができたらすぐに実行に移せるように、事業のための予算を来年度予算で準備すべきだ。
 〔5〕アンケートによると、共通して区市町村が活用している都の施策は何といっても元気を出せ商店街事業だ。予算が限られていることもあって、今年度の一件当たりの実績は九九年度より平均一○万円も低い。元気を出せ商店街事業の予算を増額し、補助率も上限額も事業開始のときに戻すとともに、申込みのあった商店街すべてに希望額どおりの支給を。また、通年受付を実施し、補助金の支給も敏速かつ対象事業も柔軟にすることなど、改善を求めるが。

知 事 〔1〕昨年六月に、新たに地域の生活環境の保持を目的とした大店立地法が施行された。都は、新法の趣旨を踏まえ、引き続き、大型店の出店の適正化に努める。

労働経済局長 〔2〕都は、大店立地法が都市計画法や中心市街地活性化法とともに、地域の生活環境保持のための重要な施策の一つと考え、その適正な運用に努めていく。 
 〔3〕政府は、ネギ、生シイタケ及び畳表の三品目に、セーフガード措置の発動手続としての調査を実施しており、昭和六一年から関税割当て制度により、輸入枠を設けて国内生産者を保護してきた。制度の維持を都はこれまでも関係府県とともに国に要請している。
 〔4〕現在、都が検討中の二十一世紀商店街づくり振興プランを踏まえ、区市町村が商店街の振興計画を主体的に策定することが期待される。平成十三年度から、希望する全ての区市町村の計画づくりを二か年に分けて支援していく。  
 〔5〕平成十三年度においても、引き続き厳しい財政状況の中で前年度と同額の予算を計上した。また、通年受付けは実務上困難だが、迅速な審査と執行に努めていく。


女性財団について

 女性財団は、設立以後五年経ち、この間に男女平等施策の啓発や女性問題での相談、女性団体の交流や発展に大きな役割を果たしてきた。しかも、財団ならではの仕組みとして、役員会や評議員会が設置され、研究者や弁護士、民間団体の役員などが参加して、広く専門的な立場から、意見をウィメンズプラザの運営に生かしている。同時に、男女平等の本格的な取組は二十一世紀の重要な課題であり、運動団体や民間の力が結集される女性財団の役割は一層重要になっている。今求められているのは、女性財団をもっと支援していくことであり、都はそのことと併せて、本来、都が責任を負うべき事業について、予算と体制を確立して、女性財団と協力して男女平等の取組を一気に引き上げることであり、財団廃止は逆行だ。男女平等の普及啓発、情報の収集、発信、研究、女性団体の交流など、行政と民間が連携して、創意ある多様な活動を柔軟に展開できる東京女性財団の役割は、一層重みを増していると思わないか。女性財団の廃止方針は撤回し、予算を復活すべきではないか。

知 事 女性財団は自立した組織としての体をなしているとは言い難い。監理団体総点検の結果、その存続は困難と判断した。今回提出している予算案どおり、四月から財団事業を直営化する。


子どもの権利条例

 子どもの権利保障を一層推進するために条例制定が一番有効と、平成十二年度、すなわち今年度までの制定が表明されていたが、一向に条例制定の動きがない。都民から条例制定を求める請願も出され、この一五日に開かれた厚生委員会では、六○人に及ぶ傍聴者が見守る中で大いに議論を行い、すべての会派が条例制定を推進すべきとの意見を表明した。既に、都の児童福祉審議会は一九九八年に子どもの権利条例制定を求める意見具申を行い、続いて青少年問題協議会も同様の答申を行った。その後、児童虐待などの問題は一層深刻となり、子どもの意見表明権や社会参加の権利、さらには子どもの権利保障のための総合的な施策の推進を定める条例制定の必要性は高まっている。早期制定を求めるが、見解を伺う。 
福祉局長 権利条例の制定が児童の福祉増進に有効か否か、様々な角度から慎重に検討する必要がある。今後、東京の児童の実態、児童を巡る環境の変化などを幅広い視点から適切に対応していく。


三宅島避難島民への支援

 全島避難から既に七か月が経過し、避難生活の中で新年を迎えるという事態のもとで、多くの島民が収入を断たれている。雇用保険も切れ、義援金も使い果たし、これまで取り崩してきた預金も限界となるなど、新たな困難に直面している。今日の状況にふさわしい支援策の見直しと、拡充強化を。 
 〔1〕被災者への食費や生活費を直ちに支給すべきだ。
 〔2〕児童生徒の給食費や学用品については、秋川高校を利用している以外の生徒にも支給すべきだ。 
 〔3〕債務を抱えた島民に対する利払い猶予や、有珠山噴火災害では借り換えのための無担保無保証人融資制度がつくられたし、台湾大震災では主要銀行が住宅再建対策として、全壊した住宅のローンについて債務を免除している。ところが、三宅島避難者に対しては、元金の返済は一時据え置きとなったが、利払いは免れることはできない。その支払いに追われているのが現状で、民宿とダイビングを営む中堅の業者は、利払いだけで毎月二○万円、もう取り崩す預金も底をついたと訴えている。融資についても利払いの猶予を金融機関に申し入れるとともに、借換えのための無担保無保証人の緊急特別融資制度など、今日の事態に見合った支援策を講じることを強く求めるが。   

教育長 〔2〕都教育委員会は、各区市町村教育委員会に対して、三宅村の児童生徒の就学援助の認定及び支給手続について、弾力的な対応を依頼している。今後とも、その周知徹底を図っていく。

福祉局長 〔1〕生活福祉資金の無利子貸付け、国制度の対象とならない世帯への生活再建支援金の支給、都営住宅等の無償提供などに加え、今回新たに、老人医療費助成制度の一部負担金の免除などの措置を講じた。今後とも、避難島民の方
々への支援は、村と密接に連絡をとりながら、国等関係機関と連携し、適切に対応していく。

労働経済局長 〔3〕三宅島避難島民の融資に関する支援策について都としては、現在、島外避難が長期化する中で、資金繰りに支障を来している中小企業者の金融の円滑化を図るため、被害の甚大さを考慮し、貸付期間の全期間を無利子とする、災害復旧資金融資を実施している。また、関係金融機関等に対して、既往の信用保証付き融資の返済猶予措置の協力要請を行っており、事業者の実情に応じた条件変更が実施されている。


横田基地と横田空域

 戦後半世紀以上たった今も米軍が支配し、航空機の安全な航行を図る上で最大の障害となっている広大な横田空域を返還させ、日本の空の安全と主権を取り戻すことは、米軍横田基地の返還とともに、わが党が一貫して主張し続けてきたことだ。しかし、政府の外交姿勢はアメリカの言いなりで、横田空域の全面返還を要求するという基本的立場さえ確立していない。一方のアメリカ政府は、戦後一貫して首都の空に居座り続けていることを見ても、日本を属国扱いしていることは明らかだ。こうした日米両国政府の態度を改めさせなければならない。今、この問題で、東京から声を上げ、国を動かすには、大きな世論と運動をつくっていくことが重要だ。まず、広く都民に、横田空域の弊害や問題点について知らせていくとともに、首都圏七都県市や長野、静岡、新潟など、横田空域の影響を受けている自治体に共同を呼びかけ、横田空域の返還を目的とした国民的な大集会を開催するなど、多彩な行動を起こしていくことが必要だ。知事の見解を求める。 

知 事 横田空域の問題について、様々な機会をとらえ、都民をはじめ、国民や政府に訴えていく。また、返還が実現するように、私自身がアメリカ政府との交渉を行うつもりだ。更に、国に対しても働きかけていくが、その中で、必要に応じて関係する地方自治体とも連携しながら推進していきたい。

 
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