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第1回定例会・代表質問(要旨)

 自民党    佐藤 裕彦


  財政構造改革の更なる推進を
  首都にふさわしい都市づくりを


    基本的政治姿勢
    都財政
    行政改革
    都市づくり
    道路整備
    航空政策
    防災対策
    多摩地域振興
    住宅問題
    福祉改革
    介護保険
    ホームレス問題
    硫黄島遺骨収集
    都立病院改革
    中小企業へのIT化支援
    観光産業の振興
    築地市場の豊洲移転
    青少年の健全育成
    男女平等施策
    文化振興
    都立の大学改革


基本的政治姿勢

 知事は、施政方針で、「東京が直接実行できることは限られる」と言っているが、このような制約条件のもとで、明治維新に匹敵する内容が求められるような行動を起こそうとしているのか。

知 事 国は、非常に他国に類のない力を持ちながら、日本という国家としての戦略が余りはっきり見えないので、日本の心臓部であり、頭脳部である東京が、国に代わって様々な提案をしていきたい。


都財政

 〔1〕新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革への実行がますます重要となる十三年度予算編成に対する基本的な考え方を伺う。
 〔2〕増加が見込まれる都税収入は、東京再生のために真に必要な事業を選び、必要な財源を長期的視点に立ち、あらかじめ担保し、その事業を推進していくべきだが、十三年度予算ではどう対応したのか。
 〔3〕今回の税収増の具体的な要因と、今後の税収の見通しは。
 〔4〕十三年度予算において、財政構造改革の視点から、新たな取組に着手しているものは何か。
 〔5〕今後、「隠れ借金」をはじめとする都財政の圧迫要因に対して、財政再建推進プランの中で、改めて計画的な解消や将来への備えをいかに行うかを明らかにすべきと考えるが、所見を伺う。
 〔6〕首都東京から日本を変えるという意気込みで、財政再建の達成に向けて、財政構造改革の更なる推進に対する知事の決意を伺う。

知 事 〔1〕第一に財政再建推進プランに基づき、引き続き自ら厳しい内部努力を実施し、全ての施策について聖域なく見直しを行う。第二は財政構造改革を進める中、首都東京の再生を目指すための施策を厳選し、確実な実行を図ることを基本として編成をした。
 〔2〕ディーゼル車対策や秋葉原地区の開発、都市型駅前保育所の創設、東京ERなど、東京構想二〇〇〇とその三か年の推進プランで掲げた事業について、必要な財源を確保し、確実な予算化を図った。
 〔3〕今回の税の増収は、十三年度よりはじまる銀行業に対する外形標準課税やIT関連業種など一部の企業の好業績やリストラ効果によるものだ。本格的な景気の回復が見られない現況の中で、昨年後半から失速をはじめたアメリカの経済の影響などを勘案すると、今後の税収の増加は期待できない。
 〔4〕福祉改革推進プランに基づき福祉へ重点的に財源を配分する。事業収支の悪化した多摩ニュータウンの開発事業や市街地再開発事業については問題の先送りをせず、事業の見直しとその再構築など、新たな取組を行っていきたい。
 〔5〕今後、指摘の隠れ借金の解消など、計画的に進めるための方策を、財政再建推進プランを実行していく中で検討していく。
 〔6〕経済情勢は決して楽観できるものではなく、景気が後退することも覚悟しておくべきだ。今後も手を決して休めることなく、財政構造改革に全力で取り組んでいく。


行政改革

 〔1〕ア 鈴木知事時代以来、その時々に応じて数次の行政改革に取り組んできたが、行政運営の基本指針となる都庁改革アクションプランの策定により、今回の新たな行政改革のねらいと特徴は何か。イ 中長期的視点からの改革である都政改革ビジョンⅡでは、どの様な手順、方法で進めていくのか。
 〔2〕来年度からの行政評価制度の本格実施では、試行と同様、評価の実施対象を絞り、重点的に行うとしているが、こうしたことで膨大な都の施策、事業を見直していくことができるのか、所見を伺う。
 〔3〕アクションプランには、組織の見直しに係る項目として、多彩な事項が盛り込まれているが、今回示された組織の見直しは、どの様な執行体制を目指すものか。
 〔4〕監理団体改革実施計画を発表したが、業績を適正に評価し、経営改善へのインセンティブを高める必要があると考えるがどうか。
 〔5〕アクションプランで掲げた改革を実効性あるものとするためにどの様に取り組んでいくのか。

知 事 〔1〕ア これまでの取組を継続し、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを効果的に都民に提供できる都政をつくり上げることをねらいとした。そこで、「直ちに取り組むべき当面の改革」と「制度改革を視野に入れた中長期的視点での改革」に区分し、段階的に取り組んでいく。
 〔3〕トップマネジメント補佐機能の強化や、保健、医療、福祉の連携、産業政策の充実、IT化の推進など、今後の行政課題に的確に対応した執行体制を整備した。
 〔5〕行政改革は、実行してこそ意味があると認識している。改革をとにかくやり抜くという強い意志を持って、今日の都庁の危機を乗り越えるためにも、全庁を挙げて改革に取り組んでいきたい。

総務局長 〔1〕イ 東京及び東京圏における生活の広域化等の現状や不十分な地方分権など、自治制度を取り巻く問題を整理した上で、四月には専管組織を設け、早急に具体的な検討に入りたい。
 〔2〕来年度から本格実施に入る行政評価制度では、成果重視の視点に立ち、都政の重要課題を毎年、緊急性、必要性に応じて選定し、重点的に評価を行う。その他の事業についても、事業所管部署が自ら事業を徹底して点検する自己検証システムを導入し検証を行う。 
 〔4〕経営目標の達成度から役員の業績を評価し、業績に応じた報酬が支給される仕組みを導入することにより、経営改善へのインセンティブを高めていく。


都市づくり

 〔1〕東京都都市計画審議会において、社会経済情勢の変化を踏まえた東京の新しい都市づくりのあり方について審議をされ、三月に答申予定と聞く。都は、この答申を踏まえ、本年秋に東京の新しい都市づくりビジョンを策定するとしているが、この都市づくりビジョンの策定によって、首都にふさわしい東京の都市づくりが可能となるのか見解を伺う。
 〔2〕昨年五月に改正都市計画法が施行され、新たに都市計画マスタープランを策定すると聞くが、東京の新しい都市づくりビジョンを踏まえて策定すべきだ。策定に当たっては、区市町村のまちづくりの方針などを反映させることが重要だが、その役割及び内容は。

知 事 〔1〕国際的な都市間競争が激化し、人や企業が都市を選ぶ時代を迎えている中で、東京は、世界の中枢都市として揺るぎのない存在感を示し続けることが重要だ。年内に策定する東京の新しい都市づくりビジョンにおいて、国家的な課題でもある東京再生の道筋を明らかにし、首都東京にふさわしいまちづくりを実現していきたい。

都市計画局長 〔2〕「東京の新しい都市づくりビジョン」を踏まえ、区市町村のマスタープランを反映させるなど、区市町村とも連携を図り、個別の都市計画を政策的に誘導して首都東京の再生に努める。


道路整備

 〔1〕一月一六日に、知事は扇国土交通大臣と三鷹市や武蔵野市の外環予定地の視察をした。今後の整備へ向け、大きな転換となると考えるが、今後の取組は。
 〔2〕首都高速中央環状線南側の品川線の整備について、都の積極的な取組が必要だが、所見を伺う。
 〔3〕首都圏中央連絡道路は、多摩地域における周辺道路の渋滞緩和、人々の行動範囲の拡大やまちづくりに貢献することが期待される。都内区間の供用予定について伺う。
 〔4〕東京湾岸道路である国道三五七号線については、東京港トンネルの渋滞対策だけでなく、臨海地域の連携強化や羽田空港へのアクセス改善のためにも早期整備が不可欠だ。都の取組を伺う。
 〔5〕幹線道路のネットワーク網の早期完成を図るため、都民の理解と協力と思い切った多額の資金投入が必要であるが、見解を伺う。
 〔6〕二十一世紀には道路整備に際し、どの様な質の向上を図るのか。
 〔7〕都内には、緊急的に対処すべき「ボトルネック踏切」はどのくらいあり、都が重点的に解消すべきものは幾つあるのか。
 〔8〕未だ放置されたままになっている小田急線下北沢駅付近の連続立体交差事業を早期に進めるべきだが、事業化及び関連するまちづくり計画の具体化を図る上で、前提となる構造形式の選定など、現在の取組状況について伺う。
 〔9〕京浜急行蒲田駅付近の環状八号線に残された最後の踏切を解消する連続立体交差事業について、今後の取組について伺う。
 〔10〕短期間に踏切解消を図る「踏切すいすい事業」の内容と今後の進め方について伺う。

知 事 〔1〕計画の具体化を図るためには、凍結解除が必要であり、早期に国に要請していきたい。地元との話合いを更に精力的に進め、検討のたたき台となる案をできるだけ早く地元に示したい。
 〔5〕都の道路整備のスピードアップには、現況に合わない国の制度やルールを変えさせて、東京への国費の大幅な投入が不可欠である。短期間に集中投資が可能となる資金調達方法、例えば国費の無利子貸付制度の創設などを国に働きかけ、東京の危機を克服するため、都民の先頭に立って政府を動かす、そういう努力をしていきたい。

都市計画局長 〔2〕計画の具体化に向け、環状六号線や目黒川の地下など、公共空間を最大限に活用する方向で、ルートや構造などを検討している。今後、早期整備の実現に向け、同路線の都市計画手続を進めるなど、積極的に取り組む。 
 〔3〕都と地元区市町が連携し、整備促進を要望してきた結果、青梅インターチェンジから日の出インターチェンジ間は、当初の目標を一年間前倒しして、平成十三年度中に供用することとなった。
 〔4〕平成十三年度から整備に向けた調査を実施し、国と連携を図り、早期に整備されるよう努力する。
 〔8〕構造形式については、交差する井の頭線などの諸条件を考慮し、地下方式で整備する案が最適であると判断している。今後は、地下方式を前提として地元区等関係機関と協議を行い、連続立体交差事業の推進を図っていく。

建設局長 〔6〕ゆとりある歩行空間や緑の空間を創出し、少子高齢化に対応したバリアフリー化、歩道と分離した自転車道の設置、IT化に対応した電線類の地中化などを積極的に実施する。現在事業中の環状六号線山手通りや調布保谷線では、広幅員の歩道や環境施設帯の中で、これらの施策を実施し、二十一世紀の首都東京にふさわしい風格と魅力を持った利用しやすい道路を整備していく。
 〔7〕JR中央線や小田急線など八路線で連続立体交差事業を推進し、踏切解消に向け積極的に取り組む。その他のボトルネック踏切についても、鉄道事業者と連携して、踏切施設の改良を進める。
 〔9〕集中的な用地取得や工期短縮の工夫を行い、地元区、鉄道事業者と緊密に連携し、関係住民の理解と協力を得ながら、高架構造の仮線による平成一七年度の環八踏切の解消と、二六年度の全体事業の完成を極力短縮し前倒しする。  
 〔10〕平成十三年度は、京浜急行線の環八踏切、京王線の鶴川街道踏切及び小田急線の新宿駅付近踏切の三か所で事業を進める。実施に当たり、工法上の創意工夫を凝らし、地元の理解と協力を得て事業効果が発揮できるよう努める。


航空政策

 〔1〕横田空域が都心から新潟県、伊豆半島まで及び、首都圏の空域の効率的な利用の妨げになっているが、どう影響を与えているのか。
 〔2〕知事は、横田空域について積極的に発言をしているが、今後、その返還に向けてどの様に取り組んでいくのか伺う。
 〔3〕都の提案した羽田空港の再拡張案は、基本的にどの様な点に着目して検討されたものなのか。
 〔4〕国の首都圏第三空港調査検討会の羽田空港B滑走路と平行な滑走路を建設する案に対して、どの様な見解を持つのか伺う。
 〔5〕羽田空港を有効活用するという点から、今後とも様々な再拡張案が出されることも考えられる。都は、都民にとって望ましい形での羽田空港の有効活用を検討すべきと考えるが所見を伺う。

知 事 〔1〕羽田空港から西へ向かう、あるいは西から羽田にやってくる飛行機が不自然な飛行を余儀なくされ、本来なら八車線、一〇車線で走らせるべきところを、細
々とした二車線で通行しているため航空路の過密化を招いている。また、航空路の新設や複線化が困難となり、わが国の自主的かつ効率的な運用の妨げにもなっている。
 〔2〕わが国の空の安全を守るとともに、自主的かつ効率的な運用を確保するためには、横田空域の返還が不可欠である。国民や政府に対し強く訴えていきたい。更に、全面返還が実現するよう、都や首都圏を代表して、自らアメリカ政府と最初の交渉に当たりたい。
 〔5〕首都圏の空港機能充実のためには、再拡張など羽田空港の有効活用を早期に実現する必要がある。都の再拡張案が最良のものと考えており、国が一日も早く正式に決定し着工するよう強く訴えていく。

都市計画局長 〔3〕港湾機能との共存を図り、東京湾の環境を悪化させず、かつ、空港周辺地域に対する騒音の影響が少ないことなどに留意して検討を行った。
 〔4〕新しい滑走路の進入表面や進入灯が、コンテナ船等の大型船舶が航行する第一航路の機能に支障を及ぼす恐れがあることや、沖合を航行する小型船舶の航行ルートや安全の確保を図れるのかなどに加えて、多摩川の流れを阻害しないのか、新海面処分場に影響を及ぼさないのか、東京湾の環境悪化を生じさせることはないのかなど、検討を要する課題もある。


防災対策

 〔1〕ア 三宅島雄山の火山活動に伴い、村民の全島避難は六か月を迎えようとしているが、三宅島の復旧に向けた今後の取組についてどの様に考えるのか。イ 都として、更にもう一段きめ細かい就業対策を講じる必要があると考えるが、今後の具体策は。
 〔2〕今回の防災都市づくり推進計画の見直しの基本的な考え方は。また、今後どう取り組むのか。
 〔3〕震災後の都市復興像を描いた震災復興グランドデザインの策定のための私権制限を含めた法的課題の検討状況と、その具体的な内容について伺う。

総務局長 〔1〕ア 一日も早い復旧の実現には、火山観測の一層の強化と泥流対策の砂防工事などを進める必要がある。今後、国や関係機関の協力も得て、火山ガス等に万全の安全対策を取り、三月中を目途に試行的に夜間も島にとどまり、本格的復興につなげていく。

労働経済局長 〔1〕イ 都が発注する公共事業に三宅村の方々を積極的に採用するよう建設業者などに働きかけ、国や三宅村とも密接な連携をとりながら、避難者の方々の就業ニーズを的確に把握し、きめ細かな対策を講じていく。

都市計画局長 〔2〕幹線道路など延焼遮断帯の形成や木造密集地域の防災性の向上を図るため、より効果的な手法を活用することなどの整備を進める。自助や共助の考え方に基づき、都民との連携をより強化した防災都市づくりを進める。防災上優先的に整備すべき地域等については、地域危険度等市街地状況の最新の調査結果を反映して見直す必要がある。併せて、新たな防火地域制度などの手法の創設、民間活力の導入など多様な事業主体の参加、地方分権の進展を踏まえた適切な役割分担のあり方などの整備方策の検討を行い、平成一四年度を目途に改定していく。
 〔3〕学識経験者を含めた検討組織において、新たな私権制限を含む法的課題等について鋭意検討を進めている。これらの提言も踏まえ、近く震災復興グランドデザインを公表する予定である。


多摩地域振興

 〔1〕都は、一月一八日に「多摩の将来像(仮称)」素案を発表したが、多摩地域の現状を踏まえ、今後どの様に多摩地域の振興を図っていくのか所見を伺う。
 〔2〕活力と魅力にあふれた多摩地域を創造していくために、今後の市町村振興交付金、調整交付金の果たす役割について所見を伺う。
 〔3〕「市町村合併に関する検討指針」策定の趣旨を改めて伺う。また、都は、市町村合併に今後どの様に取り組んでいくのか。
 〔4〕ア都は、これまで多摩地域の拠点として育成整備を図ってきた「多摩の心」の名称を「核都市」に変更したことを契機に、今後、核都市における都市づくりを具体的にどの様に展開されるのか。イ今後、多摩ニュータウンのまちづくりをどの様に進めるのか。 
 〔5〕ア国民体育大会の多摩開催について、知事の基本的認識を伺う。
イ国体は、スポーツの振興と国民の健康の向上に大きな役割を果たしたが、大会運営に当たり、経費の増大など幾つかの問題も指摘されている。開催に当たり、どの様な大会運営を目指していくのか。

知 事 〔1〕今後「活力と魅力に満ちた多摩」の実現に向けて市町村と協働・連携しつつ、環状方向のネットワークを視野に入れながら、都市基盤の整備や新たな産業振興などに積極的に取り組んでいく。
 〔5〕ア東京再生の一環として、千客万来の都市東京を創造するために、国体の開催は意義がある。青少年のスポーツ活動を活発にし、青少年に夢と希望を与え、郷土意識を培い、多摩地域の振興のみならず、都全体の活性化に寄与する。

教育長 〔5〕イ日本体育協会の国体簡素化に関する基本的な考え方を踏まえ、公立の体育施設や民間企業等のスポーツ施設を総合的に活用し、大会の簡素化に取り組む。

総務局長 〔2〕市町村振興交付金、調整交付金は、地方分権の進展に伴う新たな行政課題に対応するなど、多摩・島しょ地域の振興に極めて重要であると認識している。
 〔3〕合併に関する様々な情報を都民や市町村に提供し、都内市町村が合併を検討する際に活用できるよう、今回「市町村合併に関する検討指針」を策定した。都は広域的団体として、本指針を活用して市町村や都民の中で合併に関する検討が活発に行われるよう積極的に働きかけ、合併に向け市町村の取組に対し支援策を検討していく。

都市計画局長 〔4〕ア核都市への変更は、社会経済情勢が安定成熟型へと変化する中で、神奈川、埼玉などの隣接県や核都市相互間の交流、連携を重視し、業務、商業、文化など多様な機能の集積を進め、職と住のバランスのとれた自立性の高い拠点として整備を図るもの。

多摩都市整備本部長 〔4〕イ研究開発機能を持つハイテク産業等を積極的に誘致していきたい。昨年十二月に地元四市、都市基盤整備公団とともに立ち上げた多摩ニュータウンまちづくり検討会の場も活用して多様なビジネスや地域活動を支援し、人・物・情報が交流する複合拠点の育成に努める。


住宅問題

 〔1〕都民住宅や高齢者向け優良賃貸住宅では、民間による建設管理の供給方式が定着しているが、公営住宅に民設・民営方式を導入するべきと考えるが、所見を伺う。
 〔2〕都営南青山一丁目団地建て替えプロジェクトにおける民間活力は、具体的にどう生かされるのか。知 事 〔1〕高齢者向け優良賃貸住宅などには、既に民設・民営方式が導入されていることもあり、他の自治体と連携を図り、公営住宅についても制度が活用できるように国に働きかけていく。

住宅局長 〔2〕定期借地権制度を活用し、事業者に敷地を貸し付け、事業者が住宅・保育園・図書館・商業施設から成る複合施設を建設し、施設完成後に住宅の一部を、都営住宅として供給するものである。


福祉改革

 〔1〕戦後五十余年もの間、根本的な見直しが行われず拡充されてきたシステムを根本から改める取組は、都政にとって大事業である。「福祉改革推進プラン」が示す福祉改革の意義と今後の進め方について基本的な考え方を伺う。
 〔2〕施設運営などにもNPOなど多様な供給主体の参入を図っていくべきと考えるが、取組を伺う。 
 〔3〕福祉改革を先導する他の施策とも有機的な連携を図り、特色ある取組を「がんばろう東京福祉」の活用により、都として積極的に支援すべきと考えるが所見を伺う。

知 事 〔1〕都民が自らサービスを選択・利用できるよう、全国に先駆け東京から新しい福祉を実現することが福祉改革だ。
福祉改革推進プランに基づき区市町村と連携し、限られた財源を集中的に投入し、戦略的な取組を実行する。

福祉局長 〔2〕新たに創設する都独自の認証保育所制度や高齢者の介護付き住まいを整備するケアリビング事業を実施し、株式会社を含む多様な事業主体の参入を促進する。民間参入にハードルがある高齢者施設の運営や障害者福祉サービスへの参入拡大に向け検討を進め、多様化・高度化したニーズに応え、開かれた福祉を実現する。 
 〔3〕本年三月には、本年度の先進的な事例を紹介し、区市町村相互の交流を深める目的で、先進事例集の発行や成果発表会を開催する予定である。認証保育所の整備や心身障害者の施設の整備など、福祉改革推進プランの戦略プロジェクトの推進を図り、包括補助の補助方式について工夫を凝らす。


介護保険

 〔1〕介護保険制度がスタートして一年が経過しようとする今、介護保険事業の現状と課題を、都としてどの様に認識しているか。
 〔2〕介護療養型医療施設などで、高齢者が安心して療養できるベット数を確保するため、容積率などの建築規制の緩和ができないか。 
 〔3〕介護療養型医療施設に転換する病院に対して施設整備の補助を充実すべきと考えるが所見を伺う。
 〔4〕都としての低所得者対策についての見解を伺う。

知 事 〔1〕介護保険制度は、都民の理解も着実に深まっていると認識している。しかし、重要な役割を担う介護支援専門員への支援など、解決すべき課題が生じていることも事実である。「東京の介護保険を育む会」を設置して、都民により使いやすく分かりやすい制度になるよう積極的に取り組む。

都市計画局長 〔2〕施設の増改築が進められるよう、容積率など建築規制の緩和措置の検討を行い、ベッド数の確保などに応えていく。

衛生局長 〔3〕平成十三年度から、新たに介護保険が適用となる医療施設に重点的に補助を行う介護療養型医療施設整備事業を創設し、一層の転換を誘導、促進する。

高齢者施策推進室長 〔4〕制度上、所得に応じた保険料の設定方式や、利用者負担が著しく高額とならない仕組みが設けられているが、保険料率などの弾力化や特別対策としての利用者負担の減免も可能とされる。保険者である区市町村等が、制度の根幹は堅持しつつ、必要な場合には工夫を凝らし、これらを活用することは意義がある。


ホームレス問題

 基本は本人の自立の覚悟と努力である。その上で、本人だけでは解決し得ない課題について、行政の支援を検討することが重要である。また、何よりも実態を十分に把握し、地に足のついた議論を行い、対策を考えるべきだが所見を。

福祉局長 毎年二回、二十三区内の路上生活者の概数調査を行っているが、昨年、別に、約一、〇〇〇人に対する聞き取り調査を実施した。調査結果に基づき早期に東京のホームレス白書というべきものを作成し、実態を明らかにする。


硫黄島遺骨収集

 国の責任で、より強化した体制をとり、早急に硫黄島の遺骨収集を行うとともに、不発弾処理を促進するよう強く国に働きかけるべきと考えるが、見解を伺う。

知 事 硫黄島で亡くなられた二万余の方々を慰霊して、遺族の方々の戦後を一日も早く終わらせることが重要であり、遺骨収集をはじめとする手だてを尽くすよう国に対し要求する。また、硫黄島全体を一つの戦争のモニュメントとして祭って慰霊することも良い。


都立病院改革

 〔1〕新たな「行政的医療」と従来の「高度医療、専門医療、行政対応が必要な医療」とはどの様な違いがあるのか。
 〔2〕都立病院の医療機能の集約化によって、どの様な効果が期待されるのか。また、都民サービスの低下につながることはないのか。
 〔3〕都立病院改革に向けての基本的考え方について伺う。

知 事 〔3〕東京発の医療改革の三つの方針である「開かれた医療」「安心できる医療」「無駄のない医療」を都立病院改革全体を貫く理念として位置付けて取り組む。

衛生局長 〔1〕都立病院の担うべき医療として、感染症医療など「法令等に基づき対応が求められる医療」、難病医療など「社会的要請から特に対策を講じなければならない医療」そして、エイズ医療など「新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療」の三つの柱に整理し、新たに「行政的医療」として位置付けている。
 〔2〕医療機能を集約化することにより、各病院の専門性が高まり、その結果、人的配置や設備投資において、各病院の役割に応じた効率的な医療提供体制の整備が可能になる。都立病院間の連携を強化することにより、様々な疾患に対応できる医療提供体制を整備することが可能となる。


中小企業へのIT化支援

 今後、中小企業に対するIT化対応の支援や、働く人々のIT職業能力の習得機会を拡大する必要があると考えるが、所見を伺う。

労働経済局長 取組が遅れている業界を対象としたIT化促進支援事業やEビジネス関連の訓練科目の設置など新たな施策の展開を図り、中小企業のIT化対応とIT職業能力の向上を支援していく。


観光産業の振興

 東京の活性化のために、観光産業の振興を図ることは重要であり、活性化という視点からどの様に取り組んでいくのか。

知 事 都市そのものが観光資源であり、東京の魅力のある資源として幅広くとらえる必要がある。これらの観点を踏まえた基本方針を早期に策定し、具体的な施策の検討に全庁的に取り組んでいく。


築地市場の豊洲移転

 〔1〕今回の施政方針において、豊洲を新しい市場の候補地とし、今後関係者と本格的な協議を進めていくと述べたが、移転に取り組む決意と受け止めてよいのか。 
 〔2〕環状二号線と晴海通りの早期整備について所見を伺う。
 〔3〕築地市場の移転に当たり、地権者、中央区、江東区、関係者にも十分配慮し、積極的に進める必要があるが、所見を伺う。

知 事 〔1〕地権者である東京ガスと、移転に関する具体的な問題について協議することで合意した。築地市場の豊洲移転に全力を尽す。 
 〔3〕関係区、関係業界、場外市場への配慮も重要であると認識する。
建設局長 〔2〕晴海通りの晴豊一号橋は既に工事中であり、環状二号線の東雲二号橋は平成十三年度から着工する予定である。国費の無利子貸付制度の創設を国に強く働きかけ、早期整備に努めていく。


青少年の健全育成

 〔1〕今回の青少年健全育成条例改正の主旨について伺う。
 〔2〕不健全図書指定事由に自殺、犯罪を誘発するおそれが認められるものを追加した理由は。
 〔3〕コンビニエンスストアでの有害な雑誌、漫画等の氾濫も目に余る。対策として適切な区分陳列の実施が求められるが、その方策は。 
 〔4〕青少年の健全育成と有害な情報について基本的な考えを伺う。

知 事 〔4〕昨今の青少年を取り巻く有害情報の氾濫は度を超え、青少年の人間性さえ損ないかねないことから条例による規制強化もやむを得ない。情報に対する青少年自身の主体性、自律性を高めていくことも大切であり、新たな時代に対応した施策を適切に進めていく。

生活文化局長 〔1〕自殺や犯罪を不健全図書類の指定事由に追加すること。また、書店などに対し、区分陳列規制を設けること、及び自動販売機の設置の際の届出制などを導入する。
 〔2〕こうした規制は、自殺や犯罪はいけないという大人からのメッセージを伝える効果もある。
 〔3〕発行者がその旨を表示した図書類も区分陳列の対象とし、違反に対し罰則や勧告の制度を設け、実効性の確保を図るものである。今後、関係業界等へ周知などを積極的に行い区分陳列の徹底を図る。


男女平等施策

 〔1〕男女平等参画のための行動計画を早急に策定し、積極的な施策展開を図るべきと考えるが、計画策定について基本的な考え方とは。
 〔2〕女性財団事業を直営化するとしたら、新たな民間との連携方策についてどう取り組んでいくのか。
 〔3〕女性財団のあり方については、早急に結論を出すのではなく、その存廃を含め、改めて根本から見直すべきと考えるが、所見を伺う。

知 事 〔3〕男女平等参画の新たな段階に対応するため、行政として責任を持って施策を推進していく必要があり、四月より直営化することにした。基本的には財団自らが存廃を含めて見直し、十三年度内に結論を出していただきたい。

生活文化局長 〔1〕これまでの成果の上に参画の促進や性別による権利侵害の禁止という新たな視点を加え、現下の重要課題である企業における参画の促進や家庭内等における暴力等に関する具体的な施策を盛り込んだものとしていく。
 〔2〕直営化を契機として、家庭内等における暴力に関する相談の充実など、行政としての取組を強化し、男女平等参画に関する情報提供や活動助成などを通じて、NPOなど民間との連携を図っていく。


文化振興

 〔1〕パリやローマは、世界に通用する文化を持っている。世界に通用するという点で、東京の文化の現状と今後のあり方について伺う。 
 〔2〕都は、昨年十二月に文化施策の新しい考え方を発表したが、今後、特にどこに重点を置くのか。知 事 〔1〕東京は文化を発展させる要素があるにも関わらず、文化都市として独自の存在感を示していない。東京が新しい世紀をリードしていくためには、東京独自の文化を生み出せる状況を行政が創り、世界に発信することが必要だ。

生活文化局長 〔2〕文化の創造の環境の整備、伝統文化の継承等を図り、文化の発信力を強化する。市民や企業の文化支援活動を支える基盤のすそ野を広げ、都立文化施設の発信拠点機能を強化し、企画運営機能を充実させることが重要だ。民間団体、企業等と力を合わせ、東京の文化を育てる支援の仕組みが必要である。


都立の大学改革

 〔1〕都立の大学の運営全般にわたる改革を戦略的かつ大胆に進めるべきだが、所見を伺う。
 〔2〕大学改革を進める中で、教育の質を高め、教員の意識を改革する仕組みづくりについて伺う。
 〔3〕改革の具体策の策定と実のある成果を実現する進め方とは。
 〔4〕基本方針を受け都立大学ではどの様に改革を進めていくのか。

知 事 〔1〕第三者の意見や評価が大学運営に反映される仕組みを来年度早期に導入する。都立の大学にふさわしい法人化の実現と四大再編統合を目指すが、その具体的なあり方は、現況にとらわれず、白紙の状況から考え、学生・世間にも人気のある大学につくり直す。

教育長 〔2〕第三者による評価システムを導入し、その結果を教員の処遇に反映して、成果主義を導入することで改革を進めていく。外部の有識者による「運営監理委員会」を平成十三年度の早期に発足させ、教員の意識改革について、評価システムと合わせ外部からの厳しい目を通すことで進めていく。
 〔3〕夏までに、改革の具体策とその実現のためのスケジュールを盛り込んだ「東京都大学改革大綱」を策定する。関係局長と各大学の学長から成る検討組織を立ち上げたが、第三者の意見も取り入れながら改革の具体化を図っていく。

都立大学事務局長 〔4〕大学改革基本方針に沿い、大胆な学部教育の改革をはじめ、都立四大学全体の改革をリードする積極的な取組を行い、本年夏の大綱策定に向け、教育庁や他の大学と連携をとり、改革の中心的役割を担っていく。

 
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