東京都議会には、公式な議会活動の外に、各会派の議員で構成される議員連盟が結成されています。この議員連盟は任意団体ではありますが、そのほとんどが超党派の議員で結成されており、東京の抱える課題の解決や豊かな都民生活の実現のために、活発な活動を展開しています。
今回はこの議員連盟のうち、主なものについて活動の一端をご紹介します。(設立順)
東京都議会日韓議員連盟
東京都議会日韓議員連盟は、日本と韓国との友好親善を図ることを目的に、昭和五五年四月に設立され、現在九四名の議員が加入しています。
当議員連盟は、数ある東京都議会の議員連盟の中でも、最も長い歴史を有し、最近では平成一〇年秋に韓国を訪問し、ソウル特別市議会との意見交換などを通じて相互理解を深めました。
韓国では、日本文化の開放が大きな関心を集めていますが、二十一世紀を迎え、お互いの文化を十分理解し、尊重しあうことは友好の基礎となります。
折しも二〇〇二年には、日本と韓国でサッカーのワールドカップが共同開催されます。これを契機に、両国の関係が進展していくことが強く期待されています。
東京とソウルという両国の首都レベルの交流活動の進展は、二国間の友好親善にもつながります。
当議員連盟は、今後も朝鮮半島をめぐる関係改善の動きなどにも留意しつつ、両国の友好親善のための活動を展開していきます。
日朝友好促進東京都議会議員連盟
昭和六三年十二月に設立され、現在五九名の議員で構成されています。その活動目的は、文化、芸術、スポーツなどの交流事業を通し、日朝両国(東京都とピョンヤン市両都市間)の友好促進を図ることにあります。過去三回の訪朝団を派遣するなど友好促進のための活動に取り組んできました。
最近の主な活動としては、平成十一年に朝鮮大学校を視察し、平成十二年に四月と八月の二回にわたり、食糧支援として粉ミルク、乾パン、アルファ化米を朝鮮民主主義人民共和国へ送っています。十二月八日の総会では昨年度の事業と決算報告、役員改選に続き新年度の活動方針と予算案を了承しました。日朝両国の国交正常化はまだ実現していませんが、朝鮮半島をめぐる情勢には明るい兆しも見られ、南北関係改善への期待が高まっています。こうした時期こそ民間・市民レベルの友好親善をさらに推進していくことが重要との認識に立ち、新年度も様々な交流事業に取り組んでいきます。
東京都芸術文化振興議員連盟
当議員連盟は、音楽、演劇、舞踊および演芸を通じ都民の豊かな情操を養う機会の提供や芸術文化施設の整備等を促進して、東京都の芸術文化の振興に寄与していくために平成二年九月に設立されました。この連盟には都議会の全会派の都議会議員一一七人で構成され、東京の芸術文化団体の集まりである東京都芸術文化団体協議会や東京都寄席芸能協会と協力しながら芸術文化の振興に努めています。
平成十二年度の活動としては、平成十二年九月に総会を開催し、活動方針を決めました。その方針に基づき、関係する芸術文化団体の要望を踏まえ、議員連盟として都に要望を行いました。
また十一月には、会員の文化活動の成果を展示する「東京都議会芸術文化展」を開催しました。関係団体からの出品もあり、絵画や写真など色々なジャンルの作品を展示しました。
今回は中止となりましたが、毎年「芸術文化鑑賞会」を開催し、芸術文化に触れる機会を増やすとともに、隔年で都内の芸術文化施設の視察を行っています。
さらに議員連盟の会員と芸術団体関係者との懇談会を開催して、東京の芸術文化振興について協力し合っています。
今後も都の施策に文化芸術振興の面から積極的に要望を行い、東京が文化芸術の都市となるよう関係団体とともに活動していきます。
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東京都議会常磐新線・日暮里舎人線建設促進議員連盟
本議員連盟は、昭和六二年十二月に常磐新線建設促進東京都議会議員連盟として発足し、平成五年十二月に日暮里・舎人線の建設促進にも併せて取り組むため、東京都議会常磐新線・日暮里舎人線建設促進議員連盟として再結成したものです。
議員連盟は常磐新線と日暮里・舎人線の路線区域である千代田区、中央区、台東区、北区、荒川区および足立区の関係六区選出の都議会議員一七人で構成しています。
活動目的は常磐新線及び日暮里・舎人線の早期実現を図り、同線関係地域の調和ある発展を期することです。
平成十二年十一月一五日に総会が開かれ、常磐新線については都の都市計画局から進捗状況について説明がありました。東京都の区域では、工事は順調に進んでおり、残る小菅交差部の高架橋についても平成十二年の十二月に工事の発注をすることにより、都内の区間は一〇〇%工事に着手することとなります。
次いで、日暮里・舎人線について建設局から説明がありました。工事についてはすべて契約が完了し、足立区、荒川区、北区の工事に着手したことが報告されました。
その後、質疑を行い、常磐新線について他県の状況等について質問がありました。
今後の活動についてですが、路線区域の調和あるまちづくりについて取り組むとともに、常磐新線、日暮里・舎人線の早期完成に向けて活動していきます。
営団地下鉄十三号線建設促進議員連盟
当議員連盟は、営団地下鉄十三号線の路線区間である豊島区、新宿区、渋谷区から選出された国会議員十一人、都議会議員九人、区議会議員六八人で構成し、平成七年十二月に営団地下鉄十三号線の建設促進を図るため設立されました。
営団地下鉄十三号線は、昭和六〇年に、志木から池袋、新宿を経由し渋谷に至る路線として計画されました。しかし、現在は志木から池袋までの運行となっており、池袋から新宿を経由して渋谷までの間は工事着手に向かっての手続きを進めている段階です。
議員連盟のこれまでの活動ですが、設立の当初は営団地下鉄十三号線の早期着工を目指し、平成八年には建設促進総決起大会への参加、平成九年には現地を視察、同年六月に内閣官房長官、運輸大臣および、東京都知事へ要請を行いました。
平成一〇年に再度都知事へ要請を行いました。その後、平成十一年一月に、営団が運輸大臣より事業免許を取得し、事業着手することとなりました。
今後の活動ですが、平成十三年度にはいよいよ工事着手の予定となっています。周辺地域のまちづくりや環境問題など、地下鉄十三号線の開通に向けて、様々な課題について議員連盟として取り組んでいきます。
防災都市づくり推進計画・促進東京都議会議員連盟
東京の木造住宅密集地域は、都市基盤整備が十分でないまま市街化し、防災上多くの問題を抱えています。このような状況を踏まえ、東京都は平成九年三月、災害に強いまちづくりを目指し、「防災都市づくり推進計画」を策定しました。
当議員連盟は、この計画促進を通じ東京都における防災都市づくりの強化と財源を確保するため、平成八年六月に設立されました。現在の会員数は、計画に定める重点整備地域選出の議員を中心に七三名です。
最近の活動の主なものとしては、昨年十一月に荒川区内の木造密集地域の現地視察を行い、区との意見交換や協議を行うとともに、年末には石原知事に対し、財源確保への要請活動を行いました。
都民の生命と安全を守ることは、行政の最大の課題です。防災都市づくりの事業の進展には莫大な費用と時間がかかりますが、災害は待ってはくれません。
当議員連盟は、地域関係者の要望などに配慮しつつ、災害に強い東京の実現に向け、精力的な活動を展開していきます。
東京都議会区部環状公共交通網建設促進議員連盟
当議員連盟は平成九年九月に設立され、環状公共交通(エイトライナー・メトロセブン)が構想されている大田区、世田谷区、杉並区、北区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区の関係九区から選出された都議会議員四七人で構成されています。
活動目的は、区部周辺の環状公共交通網の早期実現を図り、同線関係地域の調和ある発展を期することにあります。
最近の活動状況ですが、平成十一年十二月に運輸大臣に要請行動を行いました。翌平成十二年一月二七日の運輸政策審議会答申で区部環状線については、「今後整備について検討すべき路線」となりました。同年八月には、議員連盟の会員十二名が名古屋に赴き、環状公共交通の有力な輸送手段として考えられる「HSST」(常電導磁気浮上式リニアモーターカー)の試乗会を行いました。
これを受け、議員連盟会長がエイトライナー・メトロセブン合同促進大会での挨拶の中で、この試乗会について報告しました。
十一月の総会ではこれまでの活動報告がなされ、都においても「
HSST」を検討対象の中に加えるよう都知事への要望書が採択され、関係局長に手渡しました。
今後の活動ですが、国などの関係機関に対する陳情要請行動を行うとともに、エイトライナー・メトロセブン促進協議会などの関係団体と情報交換を行っていきます。さらに調査や視察などの活動を必要に応じて行っていきます。
東京都男女共同参画社会推進議員連盟
当議員連盟は、平成十一年二月に設立され、現在全会派の一一五名の議員で構成しています。
活動目的は、男女平等社会の実現を当然の前提とした上で、さらに、男女が各人の個性に基づいて能力を十分に発揮できる「男女共同参画社会」の実現を目指し、具体的な取組を行うことにあります。
設立後から活発に活動し、平成十一年に「男女平等社会を考える地方自治体議員サミット」を開催した成果を踏まえ、平成十二年七月一九日、当議連が近県の議員連盟に呼びかけ、「第一回男女共同参画社会推進議員連盟・都県連絡会」を開催しました。この会議には、東京都のほか千葉、埼玉、長野県から参加があり、各議員連盟相互の連携を強化することができました。第二回の地方自治体議員サミットは平成十三年二月に埼玉県で開催されました。
平成十一年六月の「男女共同参画社会基本法」制定に続き、東京都が全国に先駆けて平成十二年三月、「東京都男女平等参画基本条例」を制定したことを受けて、当議連は、平成十二年一〇月二五日に、条例制定記念イベント「創造する男女平等のまち・東京を目指して」を開催しました。潮谷義子熊本県知事とペマ・ギャルポ岐阜女子大学教授の記念講演と、富永一夫NPOフュージョン長池理事長、マリ・クリステイーヌ異文化コミュニケーター、吉岡睦子弁護士、渡辺照子フリーライターの四名によるパネルディスカッションからなるこのイベントには、都議会議員の外、千葉・埼玉の県議会、各区市町村議会、関係団体、都民など幅広い分野から合計約一三〇名が集い、有意義な意見交換を行い盛況のうちに終了しました。
また十二月二二日には、男女平等参画施策の推進にかかる予算要望を都知事あてに行いました。
今後も都の施策に積極的に提言していくとともに、他自治体議員との連携・交流を一層深めていきます。
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地方税財政制度の改善を目指す東京都議会議員連盟
地方自治体の財政は、長引く不況による税収の落ち込みなどにより、深刻な事態が続いています。
東京都も危機的な財政状況下にあり、地方分権の視点から制度上の諸問題等を抜本的に改善するため、平成十一年八月に全会派・全議員の参加のもとに当議員連盟が設立されました。
設立趣意書では、〔1〕現行の地方税財政制度を地方分権の観点から抜本的に見直す〔2〕東京都に対する不当な財源カットの撤廃 などをうたい、設立以来、自治大臣をはじめとした国の関係機関への要請を再三にわたり展開してきました。
今年度の主な活動としては、昨年八月に自治大臣と内閣官房長官に要請を行い、地方税財政制度の改革とともに、東京都が受けている不合理な財政調整措置の是正を強く申し入れました。この結果、昨年末に発表された政府の予算原案では、一昨年に引き続き、義務教育にかかわる国庫負担金の削減措置が改善され、両年度で七〇億円もの増額を獲得することができました。
地方分権を推進し、住民に身近なサービスを自治体が担うためには、その前提となる財源が国と自治体との間で適正に配分される必要があります。現在の自治体と国との仕事配分割合は、概ね六対四と言われていますが、税源の配分はその逆になっています。この点を是正しない限り、国による自治体への過度な関与が続き、真の地方自治は確立しません。
当議員連盟は、分権型社会の実現に向け、今後とも粘り強く国からの税源移譲や現行税財政制度のひずみの是正を求め、関係機関に強く働きかけていきます。
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首都移転に反対する東京都議会議員連盟
首都機能の移転は、東京はもとより、わが国の発展と国民生活に大きな影響を及ぼす問題です。
東京都議会は、莫大な財政負担を伴うこの構想はバブル時代の発想であり、東京への一極集中の是正や防災対策の充実という移転理由に対しては、地方分権の推進や東京圏全体の再編整備によりその解決を図るべきとして、この計画に強く反対してきました。
一方、国においては、東京都や国民各界の批判にもかかわらず、首都の移転先候補地の絞り込みを進めてきました。
当議員連盟は、このような国の動きに反対し、構想の白紙撤回を求めて、平成十一年九月に設立されました。現在、一一三名の都議会議員とともに多くの東京都選出の国会議員も参加し、活発な活動を展開しています。
これまでの主な活動としては、この問題を所管していた国土庁長官や内閣官房長官への要請を行うとともに、昨年一〇月には現在審議が行われている衆参両院の特別委員会委員長に移転反対を申し入れました。
首都機能の移転問題は、今後、国会において、現在の三か所から最終的な候補地一か所を選定し、国民の合意形成の状況や社会経済情勢などを勘案しながら、候補地と東京都との比較考量を通じ、移転の検討が行われることになっています。
そして移転を正式に決定する場合には、移転先について改めて法律で定めることとされています。
当議員連盟では、今後の国会審議の状況等を見極めつつ、首都圏を構成する他の自治体とも十分に連携しながら、首都機能の移転反対に向けた内外の世論をさらに盛り上げ、移転が白紙撤回されるまで粘り強く関係機関に対する働きかけを強めていきます。
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