ホームページへ戻る 前のページへ戻る  

新年度 予算案に対するわが会派の基本姿勢

日本共産党 政策調査委員長 渡辺 康信


   都税の増収をつかって、
   切実な都民要求の実現を

 長引く不況と自公保政権による社会保障のあいつぐ後退など、都民のくらしと営業は深刻です。こうしたもとで石原知事が編成した来年度予算案の最大の問題点は、昨年の三月議会で強行した福祉切り捨てを実行する予算になっていることです。

とうてい容認できない福祉切り捨ての実行予算

 いくつかを紹介すると、老人医療費助成(マル福)と老人福祉手当が廃止にむけて今年度に続き削減され、老人医療費助成の対象は、66歳からだったのが69歳からとなり、新規に対象となる人はいなくなります。寝たきりの高齢者にとって命綱とも言える老人福祉手当は、55,000円だったものが今年度41,250円に減らされ、さらに来年度は27,500円にまで減らされ、2003年度以後には廃止されます。
 シルバーパスは、今年度に全面有料化され、負担額は所得によってそれぞれ20,510円、5,000円、1,000円となりましたが、そのうち経過措置で5,000円だった人が1万円に引き上げられます。
 重度障害者手当も所得制限が導入されて支給対象からはずされた人に直接的な被害が及びはじめます。月6万円の支給が来年度は4万円に減らされ、2003年度にはゼロになります。特養ホームへの補助は今年度121億円削減され、100億円の予算になりましたが、来年度はさらに30億円削られ70億円になってしまいます。
 石原都政や自民党、公明党などは、これらの福祉切り捨てに当たって「財政難だからしかたがない」と言ってきました。しかし、都税収入は今年度3,600億円、来年度は4,800億円もの増収が見込まれているのですから、もうこうした言い訳は通用しません。切り捨てられた福祉を復活するのに必要な財源は、約400億円もあれば足ります。増収の一部を回すだけですぐに復活できるのです。
福祉分野のほかにも、「財政再建推進プラン」に基づく新たな都民施策の廃止や、切り下げが進められていることも見過せません。女性財団や商工指導所の廃止などが打ち出され、都民の怒りが広がっています。


財政難の原因=大型開発は温存・拡大

 また、施策の切り捨ての一方で、財政難の原因である大型開発は温存、拡大しようとしていることも重大です。臨海副都心や汐留などの都市開発、大型幹線道路建設などを中心に、公共事業には引き続きバブル前の2倍近い1兆円もの税金をつぎ込もうとしています。
 首都高速道路公団への出資・無利子貸し付けは補正予算と合わせると今年度当初予算の3倍強の554億円にもなります。また、借金で破たんしている臨海開発会計を救済するため、「埋立」と「羽田沖埋立」の両会計と統合し、3,630億円の借金を棒引きにし、「埋立」会計が保有する2,500億円の資産も赤字の穴埋めに投入するという計画を盛りこんでいます。これでは問題を先送りするだけです。
 一方、都民に大切な生活基盤を整備する公共事業についてみると、都営住宅や公社一般賃貸住宅の新築は引き続きゼロ、中小河川の改修も35億円減らされるなど年々先細りとなっています。


一方で都民運動と結んで貴重な成果も

 このように、全体として容認できない問題点をもつ予算案ですが、その中でも、都民と日本共産党が手をたずさえた運動で、貴重な成果をかちとっています。
 乳幼児医療費助成の就学前までの拡充と所得制限の緩和は、都民にとって重要な前進です。わが党は一九七八年に本会議で制度創設を初めて提案し、八八年から四回、条例を提案しましたが、そのすべてに自民党、公明党が反対し否決されました。しかし、あきらめずに都民とともにねばり強く努力し、九四年から制度の実施を実現し、今回は対象年齢のさらなる拡大と所得制限の引き上げが実りました。
 毎年1,000億円の増収となる銀行への外形標準課税やディーゼル車の排ガス規制も、三年前のわが党の提案が実現したものです。臨海開発の破たんをとりつくろうためのむだ遣いである、「有明の丘」の買い取りが計上されなかったことも、都民運動と結んだわが党の追及が実ったものです。
 また、東部療育センター建設、高齢者在宅サービスセンター緊急整備支援事業、被爆者の介護保険利用料助成、障害者施設整備の拡充、区市町村の商店街支援事業への援助、小中学校の教職員定数改善の実現、「元気を出せ商店街事業」や都市計画税の二分の一減額の継続などの成果は、福祉切り捨てを徹底的に批判し、都税の増収は、都民のために使うべきだという私たちの提案と都民世論の反映だと思います。


切実な都民要求を掲げ実現に向け全力つくす

 新世紀を迎え、都民と心のかよう都政の実現が求められています。日本共産党は、予算を決める第一回定例会に向け、介護保険の保険料・利用料の減免、切り捨てられた福祉施策のこれ以上の削減を許さず、元に戻すことをはじめ、税金の使い方をあらため都財政の立て直しと切実な都民要求を実現するために、広範な都民と手をとりあって全力をつくす決意です。

ホームページへ戻る 前のページへ戻る