二十一世紀の幕開けであります平成十三年の年頭にあたり、都議会民主党を代表して、都民の皆様に謹んで新年のお慶びを申し上げます。
行政評価で都民の声を
二十世紀最後の五年間、私たちは、危機に瀕した都財政の再建に懸命に取り組んできました。昨年来、IT産業の活性化などにより、わずかではありますが光明が見えてくるようになりました。確かに、現在の都財政は未だ七兆円を超える借金を抱え、歳出構造も転換途上にあるため、まだまだ手綱を緩められるような状況にはありません。しかし、二十一世紀の東京を活性化させるため、財政再建を成し遂げながら、新しい産業の創出や福祉・医療の改革などの施策を厳選し、確実に実行していかなければなりません。
幸い、私たちの長年の要求でありました行政評価制度も平成十三年度から本格的に実施されることになり、施策選択に際しても、都民の声を積極的に取り入れていく道筋が今まで以上に開かれることになりました。
都民の目線からの明確な評価基準の設定や第三者の目から行政側の評価を再評価し改善を促す行政評価委員会の設置など、今後の課題も少なくありませんが、改善を積み重ね、都政を真に都民の都政に変えていくために、私たちももっと知恵を出していこうと考えています。
また、昨年十一月には、東京都税制調査会答申がまとめられました。マスコミでは、ホテル税やパチンコ税など法定外税がもてはやされていますが、この答申の神髄は、自治体の自主的・自律的運営を歪めている地方交付税制度や国庫支出金などの制度的な問題をえぐり出し、これを抜本的に見直すことによって、国から自治体に七兆円規模の税源を移譲しようというものです。
税源を国民に身近な自治体に移すことによって、自治体の創意工夫を促すとともに、国民の監視で無駄をなくしていこうとするものです。私たちは、この地方税財政制度の抜本的な見直しに全力を挙げる決意です。
社会保障制度の改革を
景気回復が遅れ、消費活動が停滞しているのは、社会保障の将来像が見えないからだとも言われています。
しかし、二十一世紀を迎えた現在においても、政府与党は、社会保障全体の将来像を明確に示すことができず、自助努力をいたずらに強調する声も一部に聞かれています。
私たちは、特に心配されている年金制度について、国庫負担の割合を引き上げるとともに、五年以内に基礎年金を全額税方式に移行することなどを掲げておりますが、医療や介護、雇用などについても安心できる社会保障制度改革を着実に実行していきたいと思います。
また、昨年末に石原知事は、福祉改革推進プランを発表しました。福祉サービスの量の拡大と質の向上を図るため、駅前保育の推進や心身障害者の入所施設・生活寮等の重点的整備、痴呆性高齢者グループホームの整備など、前向きな提案がされています。私たちは、これらの提案が確実に実現できるよう取り組んでいきたいと思っています。
都市環境の改善に向けて
都心部では、特に夏季に気温が異常に上昇するヒートアイランド現象が進行しています。これは、都心部で大量の二酸化炭素と熱を排出している一方、街がコンクリートで覆い尽くされ、二酸化炭素と熱を吸収する緑が少ないために起こる現象です。
私たちは、この深刻な状況を食い止めるため、都心部における緑化の推進に全力で取り組んでいきます。特に建物の密集している都心部では空地の確保に工夫が必要となります。
例えば、学校の敷地を利用した自然空間の回復、いわゆる学校ビオトープの創造や建物の屋上などを利用する屋上緑化の推進など、少ない空間を活用した緑化を推進し、快適な都市環境の回復に努めます。
また、東京の旺盛な事業活動を支えるには膨大なエネルギーを必要としますが、大量のエネルギー消費すなわち二酸化炭素の排出のもとで、地球の温暖化が進行しています。地球規模の深刻な問題に対し、大都市東京の責務は重大です。私たちは無駄なエネルギー消費の解消、二酸化炭素排出の抑制に向けて、自動車公害はもちろんのこと、企業によるエネルギー浪費対策、深夜営業店などによる過度の照明の問題など、一つ一つは小規模でも、全体としては大きな環境影響を与える問題に対して対策をとることを推し進めます。
さて、本年は十二年に一度、参議院議員と都議会議員の選挙が同じ時期に行われる年です。私たちは、都民の利便性や経費の削減を考えるならば、同じ日に投票できるようにすべきと考えていますが、政府与党は逆のようです。いずれにしても私たち民主党は、参議院においても都議会においても、自民党・公明党による過半数体制を打破し、この国を変え、都政を前進させるために全力を挙げる決意です。
都民の皆様のご支援・ご協力を心よりお願い申し上げます。
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