トップ > 提出議案と議決結果 > 平成31年第1回定例会 > 陳情30第86号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

犯罪被害者等を支援する条例の制定に関する陳情

番   号
付託委員会
30第 86号   総 務   委員会付託

(願  意)
 犯罪被害者等を支援する条例を制定していただきたい。

(理  由)
 東京都は、人口と同じく、犯罪件数も全国で最も多い。平成29年における都内の刑
法犯の認知件数12万5,251件のうち、凶悪犯は692件、粗暴犯は8,345件であり、これ
は、全国で起きている刑法犯の約14%に上る。毎日約25件の凶悪・粗暴事件が起き
ているのが現実である。
 犯罪被害者等基本法第5条は「地方公共団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者
等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況
に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」と定めている。これまで、都は
法に基づき、数年ごとに犯罪被害者等を支援する計画を策定している。ニーズの変化や
被害者の声をその都度取り入れ、反映させるというメリットはあるが、これらの計画は
あくまでも時限的なものであり、継続性を担保してはいない。どこかで計画が終了した
り、変容してしまう危険性を秘めている。都がそんなことをするはずがないという人も
いるかもしれないが、誰にも、何十年先のことなど分からないし、責任は持てない。
 平成30年4月1日時点で、北海道、埼玉県、神奈川県、福岡県などの14道県が
犯罪被害者等を支援する条例を制定している。多くはないが、少なくともこれらの道県
は、犯罪被害者への恒久的・永続的支援の必要性・重要性を認識し、適切に動いている
ということである。本来、先陣を切るべき首都たる東京都が遅れを取っているという状
況は、都民にとって歯がゆいと言わざるを得ない。また、都において条例が制定されて
いないためか、都内の区市町村で条例を制定しているのは1区3市、6.5%と少ないこ
とも残念な現実である。
 無論、条例は形でしかなく、中身が伴わなければならない。例えば、神奈川県では、
神奈川県犯罪被害者等支援条例第10条の、知事及び公安委員会は、民間支援団体と連
携し、及び協力して、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、犯
罪被害者等支援を一体となって実施するために必要な総合的な支援体制を整備するもの
とするという規定に基づき、かながわ犯罪被害者サポートステーションを開設し、県、
県警察及びNPO法人神奈川被害者支援センターが一体となって被害者支援を実施して
いる。予算措置も十分に行われ、被害者は、法律相談、カウンセリング、付添い支援を
無料で受けることができる。都においては、公益社団法人被害者支援都民センターはあ
るが、ここまでの体制の充実はない。
 残念ながら事件に遭ってしまった場合にも、都民ができるだけ安心を得られるよう、
支援の基礎を固め、そして拡充させることが重要である。現状の支援策があるからよい
のではない。都民のために永続的に犯罪被害者を支援するには、条例という法形式で定
めることが必要である。




※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。