(願 意)
都において、精神障害者保健福祉手帳及び自立支援医療受給者証の更新期日の到来に
関する事前案内を送付していただきたい。
(理 由)
現在、障害者手帳には3種類あり、身体障害者手帳及び愛の手帳は更新手続きが不要
であるが、精神障害者保健福祉手帳は2年ごと、精神通院医療に必要な自立支援医療受
給者証は1年ごとに更新手続きを取る必要がある。
これらの手帳等を取得している精神障害者の中で高次脳機能障害のある人は、注意力
や集中力の低下、古い記憶は保たれていても、新しいことが覚えられない症状等がある。
例えば、日時、場所、人の名前が覚えられない、スケジュール管理が苦手といった症状
が見られ、精神障害者保健福祉手帳等の更新期日の到来に気が付かず、3か月間を経過
して失効となり、再開申請せざるを得ないケースがある。また、当事者が重度であり身
内がいない場合(現在はいても、親は先にいなくなる。)もある。
都では、精神障害者保健福祉手帳及び自立支援医療受給者証の更新については、申請
主義ということで、各自治体に任せており、事前案内を行っていない。介護保険も申請
主義であるが、保険者である各自治体から認定を受けている人全員に、通知を送付して
もらっており、大変助かっている。参考までに、都内の介護保険認定者は538,604人(
平成26年10月現在)、精神障害者保健福祉手帳所持者は73,667人(平成25年3月
現在)で、案内に関する費用は多くないと思う。
港区では、行政サービスの一環として更新手続きの案内を希望する人は、申請時又は
更新時に、その都度、窓口に切手を貼付した封筒を提出することによって、3か月前に
期日到来の案内と申請書、診断書等の様式を送付してもらっているが、更に一歩進めて
もらえれば、当事者及び家族は助かる。
本件については、平成26年10月、港区議会にて満場一致で採択され、港区議会よ
り都に要望書が提出されていることは周知のことと思う。その後、事前案内の方法につ
いて、港区の障害福祉課とも話合いをしたが、各個人のデータは都で管理をしており、
港区は書類を経由するだけで、システム上、独自には進められないとの結論だった。
個人情報に関する問題点と対策については、次のとおりである。
1 一律に郵送すると親(身内)に内緒にしている当事者から苦情が出ると考えられる
ので、案内が要らない人には、申請時又は更新時に案内が必要かどうか確認して、案
内不要とし通知を送付しない。
2 福祉保健局という封書を郵送したことにより、トラブルになったケースが過去にあ
ったようであるが、期日到来のお知らせのみを必要な人だけに、はがきの裏面にシー
ルを貼付して郵送する。
都では、医療機関、介護事業所等に働き掛けて、協力を得ることも検討されているよ
うであるが、自立支援医療受給者証は医療を受けるために必要であり、医療機関等に提
示する際などに協力を得ることが可能かもしれないが、精神障害者保健福祉手帳は医療
を受けるためには不要であるため、協力を得ることはできず、あくまで自己管理するし
かない。
上記を勘案していただき、高次脳機能障害者を含め、精神障害者保健福祉手帳の所持
者及び自立支援医療費の受給者が、安心してサービスや必要な医療が受けられるように、
今後、期日到来を明確に知らせる分かりやすい更新手続きの構築に向けて、前向きに検
討すべきである。
厚生労働省にも要望したところ、「ご要望があったということで、類似の制度でどう
やっているのか考えてみたい。お知らせが来たほうが忘れなくていいと思う。知られた
くない人に送ってしまうと大変なケースもあるのでバランスとかも是非考えてみたい。」
(平成26年7月ヒアリングより)との回答もいただいている。
|