トップ > 提出議案と議決結果 > 平成21年第4回定例会 > 陳情21第37号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

優先席「譲り合い統一マーク」制定に関する陳情

番   号
付託委員会
21第 37号   厚 生   委員会付託
(願  意)
 都において、交通機関の優先席の有効活用を「譲り合いマーク」により定着していた
だきたい。


(理  由)
 首都圏を走る電車には、座席54のうち6席の優先席を備えた幾つかの車両がある。
運転中の安全保護上、立っていることの困難な高齢者、妊婦、幼児、病弱者、障害を持
つ方々等に用意された席であるが、一般席と何ら変わりない実態にある。外見上、障害
が見えない難病患者や心臓ペースメーカー等を装着している方もいるが、携帯電話の電
源OFFを促すアナウンスもイヤホンを付けていては聞こえるはずもなく、ガラスには
られた幾つもの障害を表すマークに表示された「優先席」の意味は、あたかも自分自身
に与えられた専有席とでも思っているかのようである。優先席はいす取りゲームで勝ち
残りに与えられる席ではないのである。優先席の意味は伝わっていないようである。
 「席を譲っていただけますか」と声を掛けて座れたとしても、さらに、胸に心臓ペー
スメーカーを装着している人が、携帯に熱中する人に「携帯の電源を切ってください。」
と声を掛けるには勇気が必要である。
 そこで、優先席を必要とする人々に、統一の「譲り合い」マークを制定し、身に付け
てもらい「譲り合い」を促す手懸りとし、もって、社会的謙譲精神をかん養したいと思
う。

 マタニティマークは、平成18年に厚生労働省が母子保健全国計画の一環として「健
やか親子21推進検討会」がデザインを公募し、国土交通省とともに認定をして、首都
圏の鉄道事業者16社局で使われている。国土交通省鉄道局は、「譲り合いマーク」に
も積極的である。

 特例子会社の就業障害者に試みたアンケートでも、優先席は機能していない。
 白いつえを折られた体験者は、早めに出社し、健常者に負けないように勤務している
例や、進行性の難病患者は、隣県の住まい近くから、朝5時台のバスと始発電車で乗換
駅までは座れるが、地下鉄は運次第。帰りはまず座れないまま1時間くらい立ちっぱな
しと記している。
 雇用主の声で、先天性脳性麻ひの社員が、通勤中に転ぶのが心配だ、ろうあ者の社員
にバランス感覚の良くない社員がいて、座れないとつらそうだ、と記している。

 大都市交通センサスによれば、終日の鉄道総輸送人員は、東京が3,950万人、近畿圏
が1,300万人、中京圏が300万人という。こうした実情が物語ることは、優先席の問題は
首都圏の問題なのである。

 国の政策に、重度障害者等通勤対策助成金がある(通勤用バス1台700万円、通勤用
自動車1台150万円、駐車場月5万円、通勤援助者への委嘱助成金1回2,000円などで、
いずれも助成率は4分の3)。総額8億4,000万円余が高齢・障害者雇用支援機構から
支出されている。

 首都圏の電車の混雑率は、昭和50年の221%をピークに平成15年以降は、ほぼ170
%で推移している。

 1両の定員は、約150名(座席が48席と優先席6席)で、200%とは300人(座席に
54名、立客246名、うち94名分のつり革がある。)。平成14年の統計調査では、
障害者は665万人で人口の5から6%であるが、これには難病者は含まれていない。優
先席6席は、座席の11%なので、ほぼ障害者の席は確保できている。座るべき人が座
っていない現実は、規制法で健常者は障害者に席を譲らなければならないとするよりも、
見分けやすい譲り合いマークで教育環境を整えたほうが良い。

 石原知事の下で策定された「東京都福祉のまちづくり推進計画」(条例)は、ユニバ
ーサルデザインの視座に立ち、電車に乗るまでのエレベーターやエスカレーターを整備
し、乗車の手助けも得られるが、車内での席の譲り合いが自然に行われることこそが、
だれもが安心安全な生活の可能な、国際都市東京都と言えよう。

 譲り合いマークは、国際モデル都市「東京」の謙譲の心、優しき心情を啓発する運動
ツールとして当面必要とするが、必要としない社会に育つことを目的とするものである。


※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。