トップ > 提出議案と議決結果 > 平成21年第4回定例会 > 陳情21第30号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

譲り合いマークの制定と優先席の活用に関する陳情

番   号
付託委員会
21第 30号   厚 生   委員会付託
(願  意)
 都において、公共交通機関の優先席使用を望む者のために、譲り合いマーク(直径5
センチメートル程度で、感謝の気持ちを入れることができる美的に統一的なデザインの
もの)を公募の上決定し、これを尊重するように都民のモラルアップの運動として普及
啓発を図り、公共交通のモデル都市となるように努力していただきたい。また、必要に
応じ周辺都市との連携を図っていただきたい。


(理  由)
 電車の中に優先席があるにもかかわらず、多くの高齢者、障害者、がん患者、難病患
者などが席を譲ってもらえず、譲り合いマークの必要性を訴えている。

 マタニティマークは、平成18年に厚生労働省が母子保健の全国計画の一環として、
「健やか親子21推進検討会」でデザイン募集の上決定され、団体としては東京都交通
局を含む首都圏の鉄道事業者16社局だけで実施されている。

 我々は、独自に特例子会社を中心に就業障害者のアンケートを試みたところ、優先席
が機能していない実態が見えてきた。また、譲り合いマークを是非実現してほしいとい
う声も強かった。
 電車内では、優先席どころか白いつえを折られながらも早めに出社し、健常者に負け
ないように勤務しているという例、進行性の難病患者が朝5時55分のバスに乗り、行
きは始発で座れるとしても、帰りは東西線も西武新宿線も座れず1時間くらい立ちっぱ
なしという例、などがあった。
 雇用主側の声の中にも、優先席へ是非座らせてあげたいという意見があった。先天性
脳性麻ひの方が、もし転ぶと労災の大きなけがになるのではと心配だ、ろうあ者の中で
バランス感覚の良くない人がいて座れないとつらそうだ、などである。
 首都圏の電車のラッシュ時における平均混雑率は、昭和50年に221%であった。と
いうことは、路線によっては最高は300%近い状況下、優先席の論議まで至らなかった
のではないだろうか。その後の地下鉄の延伸などで、平成15年には171%まで下がっ
ているが、最高は200%近くになっている。しかし、就業障害者の通勤事情は依然厳し
く、平均混雑率が一時期に比べ下がっている今こそ、優先席活用のマナー徹底の好機と
言える。

 平均的な電車で考えてみると、1両の定員が142名、座席が48席、優先席が6席あ
り、ここに定員の2倍として280人の乗客がいるという姿を描くことができる。この優
先席は現在、ほとんどの場合一般席同様に使われているが、席を必要とする人が現れた
ら、この優先席を1席か2席譲ってほしい、健常者が優先席に座るときは、そのような
意識で座ってほしいというのが、我々の希望である。

 平成7年に制定され、最近改正された「東京都福祉のまちづくり条例」では、「東京
に集うすべての人がありのままに、自らの意思で暮らし、社会参加をし、自己実現を図
ることができる、そのような社会の実現に向け、ユニバーサルデザインの理念に立った
まちづくりを進めることが必要である。」という前文の下で、都の責務として、第3条
では「都は総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。」と明記し、事業者及び都
民の意見の反映についても必要な措置を講ずるとしている。

 平成21年3月に、石原知事の下で策定された「東京都福祉のまちづくり推進計画」
では、ユニバーサルデザインの先進都市として、電車に乗るまでのバリアフリーとして
エレベーターやエスカレーターの設置を計画しているが、もう一歩進めて車内のノーマ
ライゼーションを図るために、譲り合いマークの制度化が必要である。これは、就業障
害者にとっては、日常生活における喫緊の課題と言える。

 これまで、団体からの要望が無いという当局の声があったが、団体や社会に優先席の
活用を訴える力を持たない社会的弱者が必死で通勤している実情は、バリアフリーやユ
ニバーサルデザイン以前の問題であると言えよう。

 当面は、マークの制定と大都市におけるモラルの再建運動として進め、必要に応じて
千代田区のタバコの例(路上喫煙)やニューヨークの例などを参考に考えていけばよい
のではないだろうか。



※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。