(願 意)
都議会において、選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を国に提出していただ
きたい。
(理 由)
民法第750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」
と定め、夫婦同姓を義務付けている。その結果、多くの女性が婚姻に際して改姓し、ア
イデンティティの喪失に直面したり、仕事や研究等で築いた信用や評価を損なったりす
るなど、様々な場面で不利益を被っている現実がある。
これらは「婚姻の自由」や「氏名の変更を強制されない自由」などの人権や憲法に関
わる問題であり、国際社会からも「女性差別撤廃条約・自由権規約に反する」との指摘
を受けている。とりわけ、国連女性差別撤廃委員会は、日本政府に対し、平成15年7
月以降4回にもわたり、女性が婚姻前の姓を保持することを可能にする法整備を強く勧
告しているところである。
これに対し、政府は、旧姓の通称使用拡大の取組を進めているものの、令和3年9月
30日開催の男女共同参画会議第3回計画実行・監視専門調査会配布資料において、旧
姓の通称使用を拡大したとしても、例えば金融機関等との取引や海外渡航の際の本人確
認、公的機関・企業とのやり取り等での困難は避けられないなど、7分野にもわたる旧
姓使用の限界が存在することを内閣府自身がまとめている。また、経済団体・労働団体
等の各種団体からも、「通称使用は企業にとってビジネス上のリスク」であるとする意
見等が述べられている。さらに、経団連会員企業の女性役員を対象にした令和6年の調
査でも、「旧姓の通称使用が可能な場合でも、何らかの不便さ・不都合、不利益が生じ
る」と回答した女性役員の割合は88%にも上っているのである。
この問題の根本的な解決のためには、国会で夫婦の姓に関し選択肢を設ける法制度の
設置が必要であるが、法務大臣の諮問機関である法制審議会において、選択的夫婦別姓
制度の導入などを含む民法の一部を改正する法律案要綱が答申されてから、既に四半世
紀以上が経過しているにもかかわらず、国会での議論は依然として進んでいない状態で
ある。
よって、国に対し、多様性が尊重される社会、男女共同参画社会を真に実現する観点
から、選択的夫婦別姓制度の法制化を強く要望する。
以上、都議会から国に選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書を、地方自治法第
99条の規定により発出することを求める請願を提出する。
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