(願 意)
都において、「東京都社会的責任調達指針」(以下「調達指針」という。)について、
次の事項を実現していただきたい。
1 適用範囲を早期に拡大し、都の発注工事における下請代金等の不払防止策を強化す
ること。
2 調達指針に係る通報受付窓口(以下「通報受付窓口」という。)の運用を強化し、
特に、都の発注工事における下請代金等の不払を行った事業者への対応を徹底するこ
と。
3 通報への対応の迅速化を図るため、通報受付窓口の拡充を図り、体制を強化するこ
と。
4 通報制度の透明性を高め、対応状況や結果を定期的に公表し、適切な事業者が選定
される環境を整備すること。
(理 由)
都は、調達指針を策定し、令和7年4月から適用が開始される。この調達指針により、
都の発注案件で環境・人権・労働・経済の分野において、適切な調達が促進されること
が期待される。
過去には、都の発注工事において、下請代金不払事案が複数発生し、下請事業者に深
刻な影響を及ぼした事例があった。都が発注する工事は、都民の税金によって実施され
るものであり、その事業において労働者や下請事業者への適正な代金支払が行われない
ことは許されるべきではない。不払が発生することで、誠実に業務を遂行する事業者が
不利益を被るばかりか、健全な建設業界の発展が妨げられることになる。こうした事態
を防ぎ、適切な対応と再発防止を図るためには、調達指針の運用強化が不可欠である。
令和7年4月から通報受付窓口が設置され、都の取組が開始されるが、当面、対象は財
務局経理部契約第一課及び契約第二課発注の案件に限定されている。しかし、これまで
都の発注工事においては、規模の大小を問わず不払が発生した事例があり、特に、財務
局契約以外の小規模工事で不払が発生している。したがって、適正な取引環境を確保す
るためには、工事金額の大小にかかわらず適切な対応を講ずることが必要である。今後、
対象が順次拡大される予定であるが、不払問題の深刻さを踏まえ、調達指針の適用範囲
を早期に拡大することが望まれる。
さらに、下請代金の不払を繰り返す事業者については、適正な基準に基づき把握し、再
発防止策を講ずる必要がある。通報受付窓口の対応力を向上させ、通報処理の迅速化や
透明化を図るとともに、窓口の周知を徹底し、事業者が相談しやすい環境を整える必要
がある。
|