トップ > 提出議案と議決結果 > 令和7年第2回定例会 > 陳情7第22号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

都立の産院における赤ちゃん取り違え案件への対応に関する陳情

番   号
付託委員会
 7第 22号   厚 生   委員会付託

(願  意)
 都において、都立の産院における赤ちゃん取り違え案件について、生みの親を特定す
る調査を行うとともに、生みの親に連絡先の交換について意思確認していただきたい。

(理  由)
 赤ちゃんの時に都立の産院で他の新生児と取り違えられたAさんは、出生の事実を知
ってから自力で血縁上の両親を探し求めるも、いまだにたどり着くことはできていない。
 Aさんが、生みの親を特定する調査を都が行わないのは人権侵害だとして、都を相手
取り東京地裁に提訴した。判決は、令和7年4月21日の午後に東京地方裁判所で言い
渡される。
 Aさんが疑問を抱いたのは、平成9年に母が体調を崩して検査した時だった。血液検
査の結果から、自分が両親からは生まれない血液型だと判明した。それでも、事実を受
け入れられず「そういうこともあると自分に言い聞かせていた」とAさんは振り返る。
7年後、Aさんと両親のDNA鑑定をしたところ、父親と母親のいずれとも血縁上のつ
ながりがないと分かった。Aさんは、「血のつながった父や母はどんな人なのか、きょ
うだいはいるのか。自分が何者なのかを知りたかった」と言うが、当時の産院は既に閉
院していた。役所に対応を求めても相手にされなかったという。
 Aさんと両親は平成16年、都を相手取り、不法行為による損害賠償を求めて提訴し
た。平成18年の二審判決で、東京高等裁判所は産院側の取り違えの事実を認定した。
また、都に対し、2,000万円の損害賠償の支払を命じる判決を言い渡し、判決が確定し
た。
 訴訟と並行して、Aさんは自力で生みの親を探した。自分の誕生日近くに生まれた人
で、墨田区内で暮らす人を一軒一軒訪ねたり、戸籍受附帳を開示請求したりと調べ続け
たが、手掛かりは得られなかった。母親は父親のいないところで、「産んだ子の顔だけ
でも見たいよ」とAさんに本心を打ち明けた。Aさんは、「もう手遅れかもしれない。
それでも、生きているうちに産んだ子どもにひと目でも会わせてあげたい」と言う。
 訴状によると、Aさんは都に対して、Aさんの生みの親を特定する調査をすることと、
生みの親に連絡先の交換について意思確認することを求めている。血縁上の両親の意向
を無視して直接訪ねるのではなく、飽くまでAさんが面会を希望していることを伝えた
上で、実際に対面するかを決めてもらいたいとAさんは話す。
 Aさんの代理人は、調査に協力しない都の対応が、分べん助産契約に付随する義務に
違反していると主張し、「子どもの権利条約」が定める子どもの出自を知る権利を侵害
していると指摘している。また、代理人は令和3年11月の記者会見で、「子が親を知
ることは基本的な人権で、アイデンティティーそのもの」と強調した。訴訟を通じて、
「親を知りたいと悩む人たちの出自を知る権利を保障する法的根拠ができるよう、議論
が進んでほしい」と訴えた。
 上記のように、「子どもの権利条約」が定める子どもの出自を知る権利が侵害されて
いるため、都は、Aさんの意志を尊重して誠意をもって対応すべきである。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。