トップ > 提出議案と議決結果 > 令和4年第3回定例会 > 陳情4第41号

請願・陳情の要旨

審査結果 意見付採択
備  考 (意 見)趣旨にそうよう努力されたい。


件  名

都営地下鉄の全路線・全編成への女性専用車両の導入に関する陳情

番   号
付託委員会
 4第 41号   公営企業  委員会付託

(願  意)
 都において、都営地下鉄の全路線・全編成に女性専用車両を導入していただきたい。

(理  由)
 痴漢は、日常に存在する最も身近な性犯罪である。
 法務省の令和元年版犯罪白書によると、平成31年調査における性的事件(過去5年
間)被害内容別被害者数では、痴漢が最も多い結果となっている。
 また、セコム株式会社が令和3年に実施した調査においても、女性が経験した犯罪被
害では痴漢が最も多い結果となっている。
 さらに、私立岩倉高等学校の1年生と2年生の生徒を対象として、令和4年1月に実
施された調査によると、コロナ禍で乗客が少なかった時期にもかかわらず、女子生徒の
26.5%、4人に一人が痴漢被害に遭っていたことが分かった。その上、被害に遭った生
徒の40%は「誰にも相談しなかった」と回答している。こうした実態を踏まえると、
政府の統計などに表れる痴漢被害の件数はごく一部であり、実際はもっと多くの被害者
がいると考えられる。
 このように、多数の女性が被害を受けているにもかかわらず、痴漢は長年にわたって
軽視され続け、具体的な対策が余り採られていない。泣き寝入りをしている被害者が多
い状況で、この問題は「仕方がない」の一言で済まされるものではない。
 日本若者協議会には、当事者(大学生の女性)から次のような声が届いている。
 「私は痴漢に遭ったことがなかったので、今まで痴漢はそこまで問題ではないと思っ
ていました。しかし、高校1年生の時に、およそクラスの女子の半分が痴漢被害に遭っ
ていたことを知り、痴漢被害は頻繁に起きていることを知りました。明日の被害者は私
かもしれないと思い、インターネットで痴漢の対策などについて調べましたが、具体的
な対策としては、痴漢バッジしか見つかりませんでした。痴漢は自分の友達の半分も経
験したことがある性犯罪なのにもかかわらず、具体的な対策がポスターやバッジしかな
いことに大きな怒りを感じました。もっとできることがあるはずです。安心した交通移
動は、私たちの守られるべき権利です。」
 私たちは、令和3年8月から、「本気の痴漢対策」を求めてオンラインで署名を集め、
内閣府などに対して要望を重ねてきた。令和4年6月7日時点の署名人数は、約3万人
となっている。そして内閣府では、痴漢被害の実態調査が行われ、女性活躍・男女共同
参画の重点方針2022(女性版骨太の方針2022)に「痴漢撲滅パッケージ」 (仮称)の策
定が盛り込まれるなど、本格的に対策が進められようとしている。
 警視庁のデータによると、痴漢の発生場所は電車内が約25%、駅構内が約26%で
あり、半数以上の痴漢被害が鉄道関連の場所で起きていることが分かる。
 女性専用車両に乗らなければ、安心して目的地まで行くことができない女性が多数い
る状況で、女性専用車両の数は少ない。都営地下鉄では、朝の通勤・通学ラッシュ時に
新宿線で女性専用車両を導入しているが、浅草線、三田線、大江戸線は未導入となって
いる。
 都議会で、都は女性専用車両の導入拡大を検討すると答弁している。女性が安心して
公共交通機関を利用できるよう、他の鉄道事業者と相互直通運転をしていない大江戸線
に早期に女性専用車両を導入するとともに、浅草線と三田線への導入についても検討し、
他の鉄道事業者とも連携して対策を進めていく必要がある。

※ 採択されたものについて、要旨を掲載しています。